200億ドルの微笑、「在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する協定」の調印

ヒラリークリントン訪日の最大目的は「在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する協定」の調印である。c0013092_23295048.jpgしかも、その内容は日米安保条約を日米軍事同盟にチェンジするものだ。報道編成としてはトップに取り上げるニュースであるはずだ。アメリカはクリントン訪日の日程を日本のマスコミを研究して組み立てている。まず、ヒラリークリントン国務長官の最初の訪問国に選んだ。そして、中曽根外務大臣との会談後の記者会見で、日米首脳会談を発表した。さらに明治神宮参拝、皇后訪問、拉致家族との面談、東京大学での学生との対話、小沢民主党代表との会談など分刻みのスケジュールを編成、協定書の調印はその構成の一部に組み込まれた。まるでワイドーショーの番組構成台本のようだ。皆さん知っての通り、日本のニュース報道番組はワイドショー化している。分刻みに細分化された情報を流し、その間に感想とも解説とも分からないコメンテーターの対話が入る。そしてまた情報を流す。視聴者は論理的に考える余裕もなく、分かったような気分になっていく。しかもニュースに音楽や効果音が入り、至れり尽くせりである。外国人記者から見ると不思議な感じがするらしい。こうした特性を持っている日本のニュース番組では素材が断片化すればするほど編集しやすい。クリントン訪日を演出したスタッフはこのことをよく知っている。行動を断片化すればするほど、訪日の目的から国民の目をそらすことが不自然でなくできるからだ。
性格のねじれたぼくにはクリントン長官の微笑を素直に見ることができない。悪魔の微笑みに見える。
思い返せば、2006年から日米外務、防衛閣僚が協議を重ね、日米軍再編成のロードマップを策定した。ほとんど米軍の意向通りのものである。これをクリントン国務長官が慌ただしく来日して条約に署名して仕上げたのである。これでロードマップの推進は法的効力を持つことになる。オバマ大統領のアジア外交の初仕事をクリントン長官は無事つとめた。
これほど歴史的な大転換を日本のメディアは長官の訪日日程の一つとする報道として扱った。それに中川財務大臣の泥酔記者会見の付録がついたので、ますますベタ記事のようになった。アメリカは米軍基地建設費を日本の税金からわしづかみにすることができる。何万人の労働者が失職して路頭に迷い、高齢者が見殺しにされているにも関わらず、アメリカの軍事費に税金をばらまく。これほどお人好しの国は世界にたったひとつ、日本しかないだろう。クリントンは200億ドルの微笑を残して、あっという間に春一番のように去っていった。けれども春は来ず、春は遠のき、人心が枯れた荒野が続くだろう。顔は笑って、目は笑わず、「日本の歴史と文化を尊敬します」には恐れ入った。数年後、僕ら有権者が気づいた頃には5000億ドルの税金がアメリカ軍事戦略のために使われることになるだろう。確かにアメリカ海兵隊が沖縄からグアムに移転して、沖縄県民の負担軽減が目的のように記載されているが、完全撤退ではない。しかも、都市の中心地にある普天間基地を移転するために、同じ沖縄の辺野古沖に基地を移転することが条件になっている。わずかばかりの海兵隊を沖縄の大地の中で、たらい回しするために高価な立退料を払わされているのと同じことではないか。しかも、アジア諸国にいつでも先制攻撃可能な戦略拠点を2014年までに沖縄とグアムに建設することができる。これにプラス、厚木基地に日米共同の戦略司令部が機能すれば日本全土が米軍の前線基地となるではないか。国民は協定の全文を知らず、有権者が欺かれたと分かったときは手遅れなのである。協定の全文を紹介したのはたぶん「しんぶん赤旗」だけだ。2月17日は日米安保条約がチェンジ、日米軍事同盟になった歴史的記念日になるだろう。署名した日本側代表の外務大臣は日本を不沈空母にすると言い放ったあの中曽根ジュニアである。ヒラリー長官の不吉な微笑とともに決して忘れない。日本の外務省は地獄に堕ちた。
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by daisukepro | 2009-02-18 23:32 | 政治


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