海賊対処は名ばかり、闇の奥の奥ーアメリカの軍事的な枠組みに組み込まれる危険

「海賊対処」法案は4月23日午前中に総括質疑を終えて、委員会で採決した後、急遽本会議を開き自民党、公明党が採決を強行、賛成多数で可決した。わずか6日間の審議で質疑を打ち切り、自衛隊の恒久的海外派兵と武力行使に道を開いた。明らかに憲法九条2項に反する。私たちの理想、日本国憲法をいとも簡単に放り投げていいものだろうか。法案に賛成した国会議員たちを許すことはできない。

スマップの草薙事件報道がメディアの時間と空間をハイジャックしている間に、「海賊対処法案」はあっという間に衆院を通過して参議院に送られた。参議院の審議は「外交防衛員会」で行われる。現在、審議中の「グアム協定」が成立すれば、5月11日頃から「海賊対処法」の審議が開始される。もしここで徹底審議をすれば、会期延長が必要になる。世論の動向によっては廃案の可能性が出てくる。「海賊対処法」が解釈改憲であり、自衛隊が米国軍再編に組み込まれるようとしていることを明らかにすることがメディアの責任ではないか。責任は重大です。現在の世論調査では「海賊を退治するのがなぜ悪い」が過半数です。マスコミの報道姿勢に影響されたこれらの声が改憲したい勢力の背中を押している。

ソマリア沖に出没する海賊はマラッカ沖の海賊とは質が違う。マラッカ沖の海賊は船舶を襲って金品や積み荷を強奪するのが目的だが、ソマリア沖の海賊は金品には目もくれないで乗組員を人質に取り身代金を要求する。被害総額は約110億円に達していると国連が発表している。GPSと衛星電話を装備している大型母船を使い、自動小銃などで武装した海賊がいくつかの小型漁船に乗り込み船舶を襲う。身代金の受け取り方もヘリコプターを使用するなどきわめて組織的に行われていることが特徴と言われている。

獨協大学の竹田いさみ教授の論文(世界3月号、ソマリア海賊の真相に迫る)によれば、「2008年10月に海賊保険がイギリスで誕生した。海賊対策と海賊被害補償をパッケージにした商品を売る英国の民間安全保障コンサルタント会社のハートセキュリティとスウイングルハースト(1999年設立)である。ハートセキュリティを育てた人物はイギリス陸軍特殊空挺部隊出身のリチャードウエストベリー卿、フォークランド、北アイルランド、ソマリアなどの紛争地での経験が豊富であり、世界13カ国に事務所を構えている。9、11以後海洋テロ対策で業績を伸ばした。内戦下のソマリアでプントランド地方の有力者が一方的にプントランド自治政府を樹立したが、この自治政府のコーストガードの創設をハートセキュリティ社が請け負った。(写真はプントランドコーストガード)c0013092_22561239.jpg同社は沿岸警備のノウハウをソマリア人に教えた。しかし、契約金の支払いを巡り自治政府と対立して、2002年ハート社はプントランド自治政府から完全に撤退した。この頃から、ソマリア海賊が出没するようになった、プントランドのコーストガード出身者が変身したのがソマリア海賊の正体ではないか」という。また、「ソマリアの無政府状態を悪用してアフガニスタン、パキスタン、ソマリアを結ぶ国際犯罪シンジケートが結成され武器や麻薬の密輸ルートを形成している」と竹田教授は指摘する。

アジア、中東、アフリカを繋ぐ要にあるのがアデン湾なのである。ソマリアはこの地帯と東南アジアと日本、韓国、台湾を結ぶラインとアフガン、パキスタンのライン、そして紛争が頻発しているアフリカ諸国への軍事作戦などを展開するためのアメリカ世界戦略の要衝なのだ。

まだ、法案が審議中にも関わらず、自衛隊はP3Cの派遣を決めた。なぜ急ぐのか。ソマリアの隣国ジブチの国際空港を利用してP3Cを配置、既にジブチにある米軍基地と共同作戦が展開できる。さらに防衛のため特殊部隊を含む陸上自衛隊を約1000名派遣するという。これらの事実を報道するだけでも視聴者は今回の海賊対処法が単に海賊退治のための法案ではないことが推測できる。海賊対処とは名ばかりのこの法案でアメリカの軍事共同作戦へ参加の法的根拠が出来る。アメリカは特別にアフリカ総司令部を新設している。この司令部はアフリカ資源争奪戦をコントロールする軍事組織である。しかも、日本は海賊対処法によって国会の審議なしに、内閣の決定があれば自衛隊の参戦を決めることができる。アメリカの軍事行動に巻き込まれかねない危険な法案なのである。テロ対処や内紛対処の軍事行動は憲法に規定している国家間の戦争でないから憲法9条に違反しないとする、こんな詭弁的解釈が通るなら、日本国憲法は圧殺される。そして、いつでも、世界中どこでもアメリカの戦争に自衛隊は駆り出されることになる。現憲法がある限り許してはならない。私たち同好会員がこの海賊対処法案に反対する理由である。
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by daisukepro | 2009-04-26 23:04 | 憲法


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