憲法行脚の会 「憲法を潰すものは誰か」

憲法行脚の会「憲法を潰すものは誰か」
加藤紘一VS小森陽一VS佐高信

6月15日夜、井の頭線駒場東大前駅で下車、東大駒場キャンパスの正門を入る。
梅雨時の湿った空気の中を、かつて樺美智子さんが歩いたアスファルトの道を13号館に向かって歩く。2階1323教室は超満席、500席ほどだろうか。取材カメラも入ってざわついている。土井たか子、福島瑞穂、それに辻本元議員まで参加している。お目当ては加藤紘一だろう。憲法問題で何を考えているのだろうか。「入口を入るとすぐに出口男、(論理失調症の)小泉首相」(佐高の言葉)と違って自民党きっての「理論家」、「加藤の乱」に破れたといえ元自民党幹事長、内閣官房長官、防衛庁長官である。加藤氏は学生の頃、60年安保闘争に参加した経験を語った後、憲法問題について次のように話した。(要旨)『私は「憲法は時代や状況に応じて変えなければいけない」と思う。改憲について、自由に議論ができるのは環境問題、私学助成問題、プライバシーの問題だと思う。しかし、日本憲法は堅くできているから、国民のコンセンサスを得るためには相当議論と時間が必要でしょう。問題は九条です』『私は「自衛権は認めるべきだ」と思います。自衛隊は世界の中で五指に入る軍事力であることは誰でも知っている。c0013092_0155484.jpg
軍事力は保持しないといっても無理がある』『問題は集団的自衛権です。そのひとつは二国間の安全保障にともなう戦力の行使、集団的自衛権、海外における軍事力の行使と戦力の展開の問題です。具体的に考えるとかなり面白い。日本とロシアが安全保障条約を結ぶかといえばそれはない。南朝鮮もない、中国とはあと50年、100年かかるでしょう。台湾はどうか、中国と100年戦争になる。ソマリア、チリそれは地理上から見てもあり得ない。残るのは日米しかない。現在の日米条約は片務協定である。日本に何かあったらアメリカがやっつけてくれる。しかし、ニュヨークで何か起こっても日本はなにもしなくていい。アメリカがそれじゃいやだ、双務協定でやれとアメリカが言う場合、そのときに憲法改正論があると思います。しかし、10年から15年、日米安保条約はこのまま必要でしょう』『二番目はマルチの問題です。国連加盟国が義務として警察力をだし、中国もそうしましょうと、だから、日本にも出して欲しいと言われたときには、憲法改正がいるでしょう』『三つ目はNATOのようなものが北東アジア、ロシア、韓国、中国で安全条約ができて、日本だけできないと言うことはならないでしょう。しかし、アジア安保はできないでしょう』
次に、憲法九条について『アジア近隣諸国は「九条は法律規定であるけれども戦後日本の平和外交の基本方針宣言に近いもの」と見ている。近隣が安心していられるのは九条の不戦の誓い、条文の持つ決意を見ていたのではないかと思います。それを直そうとしたら、外国が日本を信じてくれるかどうか』と述べ、『靖国問題で日本は強引な方向に変わったのではないか、改正は早いのではないかというムードもでてくる。中国は靖国問題の本質を歴史認識の問題と言うが、私は「靖国問題は戦争責任の問題だ」と思います。ドイツはヒットラーおよびナチスドイツが戦争責任を負うことになっているけれども、日本はこの問題の総括ができていない』と語った。これ以上は推察してください。日本の現状についてもうひとつ別の視点から夏目漱石の小説「三四郎」のエピソードを引用して次のように話した。『三四郎が汽車で上京してくる。静岡県辺りにさしかかると変なおじさんが乗ってきて三四郎に語りかける。「きみはどこから来たのかね」「熊本からです」「そう、熊本ね。東京は熊本より広いよ。東京より日本はもっと広い。その日本より人間の頭の中はもっと広いんだ」という。「近頃の日本はだめになった。この国は滅びるね」三四郎は日露戦争に勝ったばかりなので「日本はこれから発展すると思います」と答える。
「いや、滅びるね。第一近頃の日本は外国の物まねばかりで自慢できるものがなくなった。自慢できるものはこの窓から見える富士山ぐらいしかなくなった。もっとも富士山とて自分で造ったものではないからね。」この話は明治41年の汽車の中、100年後の今の日本ではない。戦後日本人はジャンクフードを食うようになった。そのせいで、文化までアメリカナイズしてきたのか、反米感情が薄くなっていると安保世代は感じる。そうだ、ここは、東大駒場キャンパス、本郷キャンパスには三四郎池があることを思い出した。対談した小森陽一郎氏は夏目漱石の研究者。加藤発言に反論はあるが、外交の現場にいただけ、かなり触発された集会であった。この報告は集会のほんのさわりです。樺美智子さんに心からの哀悼の意を捧げます。
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by daisukepro | 2005-06-19 23:40 | 憲法


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