楽天vsTBS

楽天vsTBS

ヒルズ族と呼ばれる人類がいろいろテレビに登場している。メディアは株式の取得と経営権をめぐる問題に視点をおいて、成金守銭奴たちを追い回している。西武の社訓にあるように所詮は「会社乗っ取りに注意しろ」にすぎないが、この買収劇が放送となると別の問題がでてくる。
麻生元総務大臣は「株主を選べる会社がありますか」と楽天の背中を押したが、放送の許認可権を握っている権力者の言葉としてはいささか乱暴だ。たしかに会社が上場していれば誰が株を購入してもそれは自由だ。コンビニでおにぎりを買うのと同じ原理だが、おにぎりを買い占める人はいない。
ギョロ目ファンドは「会社は株主のもの。貴重なお金を投資する方々のために利益を出すのが私の仕事。株主のために利益を出すのが会社の仕事」という。彼の顧客は10億円以上、立場は理解できるがどうせ言うなら『会社は大株主のもの』と言うべきだ。今を盛りのインターネット個人株主などを証券会社はお金をドブに捨てるようなものという意味で「ドブ」と呼んでいた。いまも小銭を稼ぐ場合があるのでIT投資家が倍増して株の上下で一喜一憂しているが、賭博と同じ心理に追い込まれかならず90%は破綻する憂き目に遭う。最初は3000円、次は3万円、アンカーがやってくる。30万利益を出す。同じ指先一つで3000万稼げるとなったら誘惑に勝てる人は少ない。リホーム詐欺と同じ手口ではないか。競馬や宝くじと同じで当てた人は話題になるが、すった奴が話題になることはない。
さて、買収に乗り出した守銭奴たちが必ず言うことがある。「放送とITの融合をはかればシナジー効果でもっと儲かる」
しかし、ことはそんな単純ではない。ITは通信事業である。総務省はホリエモンとフジTVのときは沈黙していたが、TBSと楽天になるとどうやら発言は微妙になってきた。これらの動きの背後にはNTTなど民営化した通信事業の放送事業への参入という大問題がある。
ここには会社は誰のものかという社会的命題が横たわっている。
USENの日活買収ではIT企業なるものの実態を勉強させてもらったが、同じことをいまやNTTがやっている時代になった。
確かに会社の所有権は大株主のもの、会社は社長のものだといったナムコと日活の名誉顧問もいたが、会社の経営者には執行権がある。そこで指揮命令に従って働いて生活している従業員は働く権利がある。そして、その従業員が生産したものを購入する顧客をつうじて会社は社会に貢献しているともいえる。所有権があり会社を支配できるから会社は株主のものと考えることは自由だが、現実はそうはいかない。放送事業は公共の電波を使って事業を行うので放送法に基づいて企業活動することが前提になっている。社会貢献を求められて当然だ。
楽天がTBSを買収したいのは分かったが、買収して何をしたいのか、してくれるのか、社会はそれを知りたいのだ。しかし、何度聞いても聞こえてくるのは共通して「シナジー、シナジー」というセミの声だけ。これではただ単に買収して儲けたいと言っていると同じだ。守銭奴ホリエモンはCX買収という株式の売買で大もうけして、宇宙旅行という個人の欲望の実現に向かって、望み通りに天国への階段を一段上った。「楽天よ、おまえもか」、「白馬の騎士」とか、「ポイズンピル」とか、あれは一体なんだったのか。悪魔の化身コイズミも「ワカンネーな」と首を傾げてみせた。
[PR]
by daisukepro | 2005-11-09 09:54 | テレビ


<< いま、自衛隊が駐留しているイラ... 死に至る病、日本アニメの産業構造 >>