石原都知事とナベツネの戦争責任論

石原都知事とナベツネの戦争責任論

TXTVというチャンネルがある。視聴者は少ない。
石原都知事の記者会見のライブを再放送していた。脈絡がないので知事の話は分かりにくい。聞き流していると、とんでもないことを話しだした。要約すると「零戦の撃墜王だった坂井三郎さんが夜十時過ぎに中央線の下りにのっていると目の前の座席に座っていた大学生が話し始めたという。「おい、田中、知ってるか、おまえ。なあ、60年前、日本とアメリカは戦争したんだぞ」と言ったら、田中の方が、「うそー」「ばか、本当だよ」と言ったら、「えーっ、マジか。日本とアメリカは戦争したのか。で、どっちが勝ったんだ」と言ったって。聞いたのが、これは坂井三郎さんだからね、私は同情したよ。次の駅で、高円寺かどっかで降りて、いたたまれなくて、ホームの隅っこでたばこを吸ってきたっていうけど—————」とこの話を聞いてショックを受けたと知事は述べて、歴史教育の批判を始めた。
「そういう戦争があったってことを知らないという教育の現況っていうのは、やっぱり国会は反省すべきだね。それで現代史、近代史を教えて、その中に植民地主義もあるでしょう。しかし、その前に続いた世界史の、近代史の原理ってのは、列強というか白人による有色人種の植民地支配だ。その身を自分にかぶりたくないから、日本人も頑張っているうちに、ミイラ取りがミイラになって、植民地をつくらざるを得なくなった。そういったものをずっと冷静に教えて、それに対して、知った学生が、若者たちが、どう批判するかってのは後のことだけど、それで初めて、他の国の歴史と比べながら愛着なり嫌悪なりが出てくると思うんだけど、そんなことも教えずにだね、大学生が60年前の敗戦に通じたその太平洋戦争も史実として知らずに、そんな子どもたちに愛国心、愛国心っていったって、それは、そんなもので事が済むもんじゃないでしょう」
さすがに「日本会議」の役員だけのことはある。知事は遊就館の「靖国史観」を教えろと言い捨てて退場していった。気分は大統領。石原慎太郎がつくる映画「君のためにこそ死ににいく」は見る前から想像ができる。
もうひとつのショックがある。読売新聞が戦争責任を検証する特集を連載している。ナベツネは憲法改正論者だから結論が予測できないでもないが、ナベツネはその動機を次のように語っていたことを思い出した。
ナベツネは軍隊経験があり、毎日なぐられていたという。だから、東条英機は許せない。合祀にも絶対反対だ。ある日、かれの親戚の子か孫が遊就館を見学して「日本は戦争に勝ったの?」と聞いたらしい。これにナベツネはショックを受けた。「遊就館、あれはいかんよ、考えてみれば日本は太平洋戦争責任を明らかにしてこなかった。読売はこれを検証して8月15日までに誰に責任があったのか明らかにするよ。お国のために命を捧げたなんてウソだ。みんな嫌々死んでいったんだ」
戦争経験のない人々に歴史を語る必要があることに異議はない。日本が戦争に勝ったのか。負けたのか。終戦という表現では分からない。戦争責任を追及すると必ずタブーにぶちあたることになる。いまでも大江健三郎の「沖縄ノート」や家永三郎の「戦争責任論」は日本会議派の標的にされている。
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by daisukepro | 2006-06-02 01:16 | マスコミ


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