シリーズ「沖縄番外地」米軍再編成の見える丘

シリーズ「沖縄番外地」米軍再編成の見える丘

ベトナム戦争の頃、嘉手名基地のフェンス越しから離発着する米軍機がよく見えた。小高くなったところがあって、観光客が写真を撮りにくる。その観光客目当てに、米軍の放出物資を売る店ができた。いつのまにかそこは「安保の見える丘」と呼ばれるようになった。米軍と防衛施設庁は思案して、フェンスの内側にコンクリートの壁をつくった。いまは、反対側の道路脇に「道の駅」ができて、そこの三階テラスから嘉手名基地全体が見渡せる。

さて、辺野古の話題にもどろう。
この美しい辺野古崎の風景が物語る情報は計り知れない。

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沖縄の基地を「負の遺産」などと呼ぶ評論家がいる。世界は危険がいっぱいだなどと云う人々がいる。中国や北朝鮮がいつ攻めてくるか分からない。日本は「平和ボケ」している。とんでもない、「平和ボケ」どころか、日本には危険と恐怖の下で暮らし続けている人々がいる。戦争は戦場だけではない。出兵する拠点がいる。弾薬や燃料を貯蔵する場所がなくて戦争は出来ない。兵士や物資を輸送する船や航空機が必要だ。兵士を訓練する場所がいる。毎日、兵士に食事を届けなければならない。何よりも膨大な戦費がいる。この費用は税金から調達される。額賀長官はイラクの自衛隊派遣はイラクの人々に新鮮な水を給付するためだと弁明するが、イラク人から見れば立派な占領軍のひとつだ。アメリカのイラク戦争のためにどうして三兆円以上も日本人が払わなければならないのか。アメリカが戦費調達に苦しんでいるから援助すと云うのならまだしも、納得いく説明を聞いたことがない。2プラス2合意以前から日米の合同軍事訓練が行われ、この米軍再編成で日米合同の作戦司令部が座間に設置されるらしい。毎朝、各基地では日米両国の国旗が掲揚されている。日本はアメリカ軍とともにイラクと戦争中なのだ。アメリカ軍が先制攻撃するために理由はいらない。テロを支援しているらしいとアメリカが思えばそれで十分なのだ。この状態を中国や北朝鮮の人々が見たら、日本はアメリカと一緒になって自分たちの国を攻める準備をしていると思うだろう。

案内してくれた人は、『私はここを「米軍再編の見える丘」と呼んでいる』と苦笑いをした。
勿論、中央に横たわる岬はキャンプ ・シュワブの全景でもある。基地施設はすべて日本の税金、思いやり予算で建設された。左端にみえる島々は「長島」で灯台がある。県民の反対を無視してV字型滑走路がこの岬の鼻面と「長島」の間に建設されようとしている。防衛施設庁は海上に滑走路を作る案でどうかと住民に働きかけて、受け入れやむなしとする住民が出てくると浅瀬にボーリング用のやぐらを組み始めた。反対する人々はこのやぐらに24時間座り込み抵抗を続けた。しかし、いつの間にかやぐらと海上案は消えて、基地は辺野古崎をV字に横切る沿岸案に変更された。海上案に賛成していた人々の善意は見事に裏切られ、分裂のにがいしこりだけが残った。
日本政府は普天間基地の危険性を軽減することを口実にしているが、キャンプ・シュワブの拡張計画はもともとあったものだ。額賀長官が普天間の全面返還と引き換えに、米軍の妥協を引き出したなどという人がいる。信じる者は誰もいない。普天間住民の安全を考えてと云うが、移転を始めるのは7年後だと云う。安全は明日の命の問題だ。額賀長官は沖縄の海兵隊員の8000人をガム島に移転させることを米軍に約束させたと自慢する。そのための費用7000億円は日本が分担する。一体、民意と世論を無視してこんな不合理がおこなわれていいのだろうか。

やがて、普天間のヘリは辺野古の滑走路から離発着することになる。乗り組むのは海兵隊員だ。辺野古地区の婦女子にとって、彼らはヘリよりも危険な存在なのだ。

海の深い青色をしたところは水深60メートルあり、港を作れば航空母艦が寄港できる。画面左端のジャングルには弾薬庫があり、核が隠されていると疑われている。
北朝鮮がいつミサイルのボタンを押すかどうか、北朝鮮の脅威を語る人がいる。日米軍事一体化の後では日本の脅威は北ではなくアメリカだ。戦争の最初のボタンを押すことができるのはアメリカ軍だから。日本のシビリアンコントロールはアメリカ軍には及ばない。
日本は絶えずアメリカ軍がいつボタンを押すかどうかおびえていなければならない。公明党が賛成して、防衛庁が防衛省かわる法案が提出さえようとしている。この状態では単なる省庁の格上げにとどまらない問題をはらんでいる。
画面からはずれた右の丘にはリゾートホテルを建設するための仮設小屋が立っていた。
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by daisukepro | 2006-06-11 16:52 | 憲法


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