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続「民主党の難破船CMと政党CMについて

どのようなCMを造り、宣伝するかは政党の自由だが、政党がイメージしたことが15秒や30秒の映像に集約されると逆にその組織の体質や文化が透けて見えるから、侮れない。政党CMの神髄はその政党の政策を宣伝することにあると誰でも考える。ところが、先の衆議院選挙における政党CMには奇妙な共通点があった。いずれの政党も党首の顔の売り込みに腐心した様子がうかがえる。党首は政党の顔であり、象徴でもある。だから、どの政党も短期間に政党のイメージを視聴者に印象づけるために、この方法を採用したのではないかと推測できる。キャッチコピーを試行錯誤したり、イメージを選択したりしても、意見がまとまらないだろう。悪意ではないが、製作を依頼された方にとっては党首の出演は誠に都合がいい。多少、表現が月並でも、演技がわざとらしくても、罵倒されることはない。「役者が気に入らないから変えろ」などといわれることはまずない。最終的な決定権は党首にある。大掛かりなロケーションは費用もかさみ天候に左右されるから無理だろう。おおむね、撮影は室内で行われる。多忙な党首はスケジュールを調整してカメラの前にたつ。黙って立っているだけではCMにならないと考えたのか、台詞が用意される。政策や主張を述べるにしては時間が足りない。当然のことながら、どんな状況で、どんなニュアンスで何を話すかという思考回路になる。政敵を論難する強面の表情では嫌われる。人間味や、人柄の良さも出さなければ政党の人気に影響する。そこで、人気時代劇の衣装をまとい見栄を切ったり、オヤジギャグを出したり、難破船の船長に扮したりする。テレビで難破船CMに難癖を付けられた民主党の議員は次のように弁解した。「小沢さんは表情がない。いつも同じ顔をしている。だからああでもしないとCMにならない」と。
しかし、これらはすべて無理筋というもの。学芸会か文士劇ならいざ知らず、
自然に演じることはそう簡単なことではない。だれでもできるなら俳優はいらない。どんな、スターでも脚本と演出が悪ければどうにもならない。
公明党が無難にこなして、「そうはいかんざき」とみえを切っても「だからどうした」でおしまいだ。共産党が「身が引き締まる思いです」とオヤジギャグのようなことをやっても目が笑っていない。
だから、いつものようにウソツキがウソをついただけのコイズミCMが漁父の利を得たのだ。そこで、私は政党に提案したい。党首なしのCMに挑戦してはいかがと。
少なくとも演技の不得手な政治家に演技を強いるのはヤメたらどうか。主張や政策に立ちもどって、どうリアリティのある表現したらいいのか考えたらどうか。そこに党首が必要だったら登場させるもよし、させなくてもよし、与党と野党では立場が違う、CMの性格も違う。あいまいな、政策しか持てない政党は曖昧なCMをつくる。
大向こうをうならせるような、ウイットに富んだCMが見たいものだ。
by daisukepro | 2007-01-24 21:54


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