バクダッド掃討作戦と映画「グアンタナモへの道」

バクダッド掃討作戦と映画「グアンタナモへの道」

 バクダット地域の掃討作戦が開始されてから、毎日のように米兵犠牲者が報道されているが、市民の犠牲者は不明である。米軍はグリーンカード兵や市民の犠牲者はカウントしないためである。この一ヶ月あまりで米兵100人が犠牲になり、累計で3100人を超えたと伝えられている。イラク民間人の犠牲者は米兵の十倍とみて間違いはなかろう。NHKの報道では民兵の米軍攻撃はテロと呼ばず単に攻撃と表現して、民間人への自爆攻撃をテロと呼称して区別しているという。米軍の民間人虐殺は何と呼ぶのだろうか。もっとも、カイロ発イラク情報では民間犠牲者は闇の中、NHKは報道すらしない。c0013092_17495023.jpgc0013092_17501257.jpg
 イラクの民間人は夜間の外出はもとより、昼間でも外出は命がけだ。
家の中にいて身を守ることしかできない。情報はもっぱらテレビを頼りにしている。米軍占領後、イラクのテレビにはレバノン現象が起こっている。
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国営放送はシーア派が占拠して自派に有利な情報しか流さない。スンニ派は「バクダットTV」から自派の情報を流す。「レジスタンスTV」は暴力シーンを繰り返し連日放送している。宗派別のテレビ局が乱立しているレバノンにイラクは似てきたと云う訳である。TVが宗派対立を増幅するプロパガンダに使われている。もともと、どの国でも宗派や政党間の対立は存在するが、それが殺し合いの脅威までエスカレートすることは異常なことだ。米軍が掃討作戦を成功させるために政治的に宗派対立の脅威を煽っているとしか思えない。
 今日(2月10日)の読売新聞の小さな記事にゲーツ国防長官が「イランが武器や武器技術の供与に深く関与している物的証拠を握っている」と記者団に明らかにしたと報じている。
 これで、親米であってもシーア派で武器を隠し持っていれば拘束する口実になる。市街戦の掃討作戦は陣地がある訳でなく、徹底的にやる場合は民家に軒並み踏み込んで疑わしき者を摘発、拘束する。いきなり戦場に送られてきた米兵がイラク人を見て宗派や民兵とテロ集団の区別ができるものだろうか。
 アメリカの将軍が「イラク人は厄介だね。朝起きると床下から銃を取り出し、このまま米兵を殺しに行こうか、それとも会社に出ようかと悩む奴ばかりなんだ」と記者団に語っていたことを思い出す。このような認識で命令を下す将軍の部下は「イラク人はすべて敵」と疑って掃討作戦に参加していることになる。
考えすぎだろうか。
 先日、映画「グアンタナモへの道」を見る機会があった。
何故か、「グアンタナモ米軍刑務所」はいまだにキューバにある。カストロ政府が立ち退きを要求しても、米軍は借地料を払いつづけて立ち退かない。
 この刑務所は9、11以後、アメリカがテロリストであると勝手に認定した人々を世界中から強制連行して、容赦のない虐待を行っている特殊な刑務所として世界中に知られるようになった。
c0013092_17533429.jpg 映画は刑務所の壮絶な尋問や虐待を再現しているが、恐ろしいのは映画の題名にあるようにパキスタン系イギリス人の青年がグアンタナモ刑務所に収容されるまでの道のりである。ストーリーの一部を話すことになるがご容赦願いたい。青年は両親の勧める縁談のためにイギリスからパキスタンに住む両親を訪ね、友人を結婚式に招待する。軽い気持ちで隣国アフガンの実情をこの目で見ておこうと友人たちを誘って国境を越えた。そのとき、アメリカのアフガン空爆が始まったのだ。
 最初は英語が話せるということで北部軍に拘束され、最後はアメリカ地上軍に引き渡され、グアンタナモまで空輸されることになる。単なる旅行者であるといくら主張しても無視され、兵士であることを自白するまで、米軍の虐待と尋問は続くのである。いまだに450人を超える人々がこの刑務所に収容され虐待を受けていると伝えられている。明日は我が身、別世界の出来事には思えないのだ。
 ブッシュが「テロ戦争」と独善的なカテゴリーを口にした途端、世界中が戦場になったのだ。
 掃討作戦とこの映画の映像が重なって見えてならない。「バクダット」と「グアンタナモ」は人々を殺戮するこの世の地獄としか思えないのだ。
「グアンタナモへの道」は同好会推薦映画。撮影はイランで行われた。東京はシャンテシネで上映中
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by daisukepro | 2007-02-10 17:57 | イラク戦争


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