もうひとつの「天空の城ラピュタ」
阿佐ヶ谷にラピュタという映画館がある。宮崎駿の名作アニメ映画「天空の城ラピュタ」からいただいたものだ。経営者は川邊龍雄という。才谷遼、というペンネームで漫画を書いていたことがある。若い頃は三里塚闘争に関わっていたという話もあるが定かではない。東宝で岡本喜八の助監督をやっていたことを自慢げ語ることもあるそうだ。いずれも伝聞の域をでないのでその経歴はわからない。1982年に資本金1200万円で(株)フユージョンプロダクトを設立して、アニメ情報誌などを手がける。親が資産家らしく、その金を元手に現在の映画館を建て、1998年にオープンした。 映画館をオープンして間もなく、才谷氏は世田谷の工務店サイト情報誌のインタビューに次のように答えていた。 「ラピュタをつくる際、特に大切にしたことは何ですか?」 才谷「建築というのは基本的に自然破壊の宿命を背負っています。だからこそ、 建物があることで自然と繋がっていく、それによって人がホッとできる空間をつくりたい、と考えたのです。」 「ラピュタを通して人の暮らしについて思うことは?」 才谷「今の人たちは、日本人が昔から持っていたゆったりとした感覚や、ホッ とする空間の存在を忘れてしまったんじゃないかと思うんです。そろそろ、それをもう一度見直す時代になって来た気がします。だから、杉並の人がラピュタに来て、それぞれに感じるものが街を良い方に変えていければいいと思っています。」 10年ほど前、この取材時に撮影された写真である。猜疑心や我が強くて話のつけにくい男にはみえない。こわばった縮れ毛を頭の上にのせ、口のまわりに無精髭をたくわえている。身なりにはかなり無頓着な様子。ぽっちゃりした顔に縁なし眼鏡、そのレンズの奥で目が得体の知れない笑いを作っていた。 映画館「阿佐ヶ谷ラピュタ」を支えている観客は日本映画ファンで、しかも常連が多い。 才谷氏は「人をほっとさせる建物、空間をつくった」と云うが、入場者の目の前で、従業員を大声で怒鳴りつける。観客は入り口からロビーに入った途端、ほっとさせられるどころか、怒鳴り声を聞いて気分が悪くなる。不快で映画鑑賞どころではなくなった。その日から、映画館に足を運ぶ時にはそれとなく才谷氏の振る舞を観察するようになったとその人は語った。「従業員には接客するのでスーツを着せ、服装にはやかましく注意していたが、本人の身だしなみは常に薄汚れていた」という。 ある日、客席で上映を待っていると才谷氏が突然客席に入ってきて、今日は上映を中止すると言い出した。驚いた観客が理由を質すと「共産党がここに入り込んでいる」などと訳の分からぬことを興奮してわめき「兎に角,俺が社長だ。かえってくれ」と追い出された。従業員が入場料を払い戻して詫びたので我慢したが、こんな劇場二度と来るかと思ったという。 この男は出版界では極めて、評判が悪いのである。「何かとケチをつけて原稿料は払わない。無断で海賊版を出す」という噂が流れていた。 平成10年には漫画家須藤真澄氏との間で裁判沙汰が起こった。 「須藤氏はフユージョンから単行本を2冊出版した。数年後、アスキーから復刻版を出すことになり、預けていた原稿の返却を求めたが、才谷氏がこれを拒んだため、復刻版を出すことが出来なくなった。須藤氏は作品の返却と損害賠償を求める仮処分を申請した。裁判所は仮処分命令を下したが、才谷氏がこれを拒否したため、本訴になった。見かねた、松本零士氏(日本漫画家協会の著作権部長)が仲介に入り、ようやく原稿は返却されたものの、アスキーからの出版は出来なくなった。裁判所は原告の主張を認め、仮執行付きで被告才谷氏に賠償金の支払いを命じた。」これが事件の顛末である。 さらに、才谷氏が経営資質を問われる社会的な事件が起こった。 これは毎日新聞などで報道されたので知る人がいるかもしれないが、出版社の名前が伏せられていたので社名がフユージョンプロダクト、社長がラピュタの経営者と同一人物の才谷氏であることは誰も気がつかないだろう。 以下、新聞記事を紹介しよう 「過労自殺:逆転、労災認定…出版社アルバイト女性 」 東京都内の出版社でアルバイト勤務していた東京都杉並区の女性(当時26歳)がうつ病で 死亡したのは過労などが原因として遺族が起こした労災申請で、東京労働者災害補償保険審査官が、 新宿労働基準監督署の昨年1月の不認定処分を覆し、労災認定をしていたことが16日、分かった。 代理弁護人によると、うつ病などの過労死を巡る「逆転認定」のケースは異例という。 弁護人によると、女性は01年11月に都内の漫画雑誌の出版社に入社。3年後の04年10月から 別の社と掛け持ちしてアルバイトで働くようになった。女性は同29日に自殺したが、同月の2社 合計の労働時間は307時間(時間外労働147時間)に及んだ。 審査官の決定書では、長時間労働に加え、広告記事を巡る誤記載の責任を取らされた 心理的負担などを総合的に判断し、「労災認定」に相当すると判断した。 この日、八王子市内で会見した女性の母親は「娘のつらく、切羽詰まった感情が理解された。 こうした思いで亡くなる人がいなくなってほしい」と涙ながらに話した。 (2006年度の精神障害の労災申請件数は819人で前年比25%増、年々増加傾向にある) この女性を激しく罵倒、長時間にわたり叱責し続け、自殺に追い込んだのは才谷氏、その人だ。労災認定を聞いて社にもどった才谷氏の口から信じられない言葉を同僚たちは聞いた。「お前らがしっかりしていれば、彼女は自殺しないですんだのに」と。その翌日、頭に来た同僚たちは全員退職したという。 しかし、この事件を契機に才谷社長は反省するどころか暴言、暴力を続けている。マスコミ文化情報労組会議のチラシによると、「一昨年4 月、才谷氏が女性社員へ暴力を振るう事件という信じられない出来事が発生しました。 社長の横暴に耐えられず、辞めていく従業員は数知れず。名画座の内実は、横暴な経営者が不法行為を繰り返すとんでもない職場環境となっています。 社長の信じられない無法ぶりに、遂に立ち上がった従業員が一昨年6 月に組合を結成しました。暴言と暴力による人格攻撃を止めさせるため、労働審判を活用した法廷闘争も始めています」 賃金抑制のためにアルバイトや年契約社員を短期で雇い入れ、一年も経つと些細な仕事上の失態をとがめて、人格を傷つけるような暴言をはき、自分から退職していくようにしむけていく、従業員を使い捨てにする中小経営者が増えています。 才谷氏もその典型的な一人です。このようなタイプの経営者は極端に労働組合、共産党などを憎悪、敵視するものです。経営能力も、才能もないくせに、劣等感だけがやたら強く、弱いものに横暴にふるまいます。泣き寝入りはいけません。次の犠牲者がでます。母親の涙を見たくありません。労働審判の判決に注目しよう。
by daisukepro
| 2008-01-24 10:42
| 映画
|
以前の記事
2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 お気に入りブログ
カテゴリ
全体 憲法 文化 映画 テレビ 観光 演劇 イラク戦争 未設定 政治 裁判 人権 アメリカとトランプ大統領 拉致 中東問題 沖縄 モリカケ事件 コケタレポート クイズな人 裏路地の怪人 日活闘争 自由市場 本 核廃絶 米軍基地 労働運動 未知との遭遇 サヨナラ guess who 戦争への道 お知らせ 脱原発 有路地の出来事 夢 選挙 FmATVch 裏庭の園芸12ヶ月 潮流(赤旗) モリカケ事件 総理大臣の犯罪 地球温暖化 爆風 築地移転問題 大相撲改革 食文化 昆虫、植物、動物 宇宙、人間 北朝鮮問題と核 従軍慰安婦問題 自然 日常 災害 地方自治 戦争 歴史 核兵器廃絶 冤罪 談合事件 世界の情勢 中央日報 ハンギョレ 労働新聞 日米安保条約 朝鮮半島の非核化 南スーダン アベ政治の末路 筆洗 北東アジアの平和体制 TPP11 風刺画は力 SNS 市民運動 地震情報 経済 貧困なくすための政治 セクハラ パワハラ セクハラ パワハラ 朝鮮半島の統一 米朝首脳会談への道 オススメ映画掘り出し市 世論調査 言論表現の自由 マスコミ 米朝首脳会談への道 米朝首脳会談 たおせ!安倍政権 G7崩壊と世界経済 国会情報(立法) スポーツ 人権 カジノ 科学 SNS 日米安保と防衛 LGBT 韓国情勢 安保法制 高齢者のためのパソコン インターネット 科学 外国人労働者 日ロ領土問題 天皇制 福祉 年金問題 明日へのうたより転載 ノーベル賞 FTA 安倍政権の末路 中東情勢 ジャーナリスト キューバの革命 日米地位協定 民主主義 日米地位協定 北方領土問題 日産事件 植民地支配 欧州情勢 環境 中国情勢 水道民営化法案 ヨーロッパ情勢 北東アジアの平和体制 象徴天皇 日本の経済 にちぎん 不正入試問題 社説 ゴーン特別背任事件 アベノミクス 東京五輪 JAXA 勤労統計不正、偽装疑惑 明日へのうたより転載 軍拡 歴史 統計調査 「日の丸・君が代」強制 消費税 国保問題 過労死 統計調査 消費税増税 世界経済 選挙 安倍政権批判 香港市民運動 年金問題 未設定 産經新聞 東京新聞 赤旗 声明 ニア中央新幹線の日吉トンネル南垣外工区 徴用工問題 NewYorkTimes 市民と野党の共闘 日米貿易交渉 共同 桜を見る会 メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
マクロ経済スライド(7)
加計理事長(5) 八路軍(3) 腹心の友(2) 安保法制(2) 満州(2) 女性蔑視(2) 日報隠し(2) 民主主義の基本(2) 弾道ミサイル(2) 人種差別ノー(2) イージスアショア(2) 自民党改憲案(2) 証人喚問(2) ギャンブル依存(2) 首相案件(2) 原発ゼロ基本法案(2) イスラム教徒への差別(2) IR(2) デブリ(1) その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||