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戒能通孝先生の発言、内閣委員会公聴会 第024回国会

必要があって、戒能通孝先生のことを調べていましたら、国会議事録のなかか
ら、自由党政府が、内閣に憲法調査会を設置する法案を提出する画策を1956年
に図った際、先生が国会で公述した発言収録部分を、偶然発見しました。

この時期に、こういうものが見つかったのは、実に不思議な感じです。
一読、このままにしておくのはもったいないと思い、みなさまにお知らせした
いと考えたしだいです。

以下に、貼り付けでお送りします。どうぞご高覧ください。
遠慮なく、あちこちに広めてください。

桂  拝

<以下が該当の議事録コピー>


内閣委員会公聴会 第024回国会
昭和31年3月16日 第1号



○戒能公述人 現在の憲法がマッカーサー憲法かどうかという議論につきましては、
私は今論じないつもりでおります。ただし先ほど神川彦松先生のおっしゃったような
理屈がもし通るといたしますと、日本の天皇は、自分の身の安全をはかるために、日
本の国をアメリカに売ったんだという結論になってくるようでございます。私は、そ
んなふうに考えたくございません。天皇は、自分の身を守るためにみずから国を売っ
たんだ、アメリカに売ってしまったんだ、マッカーサーに売ってしまったんだ、こん
なふうに考えたくはございません。これだけ一つ申し上げたいと思います。

 そして私自身がこの法案を拝見してみますと、私には、どうしても不合理であると
思われる点がしばしばございます。第一に、純粋に法的な立場から申しますと、なぜ憲
法調査会を内閣に置いて、その費用を国費から支出するのか、理由が薄弱であります。
憲法の改正は、御承知の通り内閣の提案すべき事項ではございません。内閣は憲法の忠
実な執行者であり、また憲法のもとにおいて法規をまじめに実行するところの行政機関
であります。従って、内閣が各種の法律を審査いたしまして、憲法に違反するかどうか
を調査することは十分できます。しかし憲法を批判し、憲法を検討して、そして憲法を
変えるような提案をすることは、内閣には何らの権限がないのであります。この点は、
内閣法の第五条におきましても、明確に認めているところでございます。
内閣法第五条
には「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に
提出」するというふうにありまして、どこにも憲法改正案の提出という問題は書いてご
ざいません。「その他」というふうな言葉がございますが、「その他」という中に憲法
の改正案を含むのだというふうに言うのは、あまりにも乱暴な解釈でありまして、ちょ
っと法律的常識では許さないというふうに考えているわけであります。内閣法のこの条
文は、事の自然の結果でありまして、内閣には、憲法の批判権がないということを明ら
かに意味しているものだと思います。なぜならば、内閣は一つの活動体であります。内
閣に憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関であ
る、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨を表わ
しているのだと思うのであります。憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。
内閣が国民を指導して憲法改正を全図するということは、むしろ憲法が禁じているとこ
ろであるというふうに私は感じております。
しかるにもかかわらず、この法案が、憲法
調査会を内閣に置いて、日本国憲法を検討させるということは、純粋の法理論の立場か
ら見ましても、はなはだ賛成できないことでございます。元来内閣に憲法の批判権がな
いということは、憲法そのものの立場からしまして当然でございます。内閣は、決し
て国権の最高機関ではございません。従って国権の最高機関でないものが、自分のよっ
て立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でござい
ます。

 第二に、内閣総理大臣以下の各国務大臣は、いずれも憲法自身によって任命された
行政官でありますから、従って憲法を擁護すべきところの法律上の義務が、憲法自身に
よって課せられているのでございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲
法を非難する、あるいは批判するということは、論理から申しましてもむしろ矛盾であ
ると言っていいと思います。従って、内閣がこのような義務を負いながら、現在の憲法
を改正するということを前提とするような憲法調査会を置くというのは、間違った考え
方ではないかと思います。もし、この憲法調査会が置かれた結果といたしまして、内閣
の希望しないような改正案、検討が加えられるということになりますと、内閣は、おそ
らくその結果を無視するでありましょう。内閣が希望するような憲法の改正を行うとす
れば、結局内閣そのものが憲法そのものに手を触れることになってしまうのではないか
、内閣が国民を動かして憲法改正を指導する結果になってしまうのではないかというふ
うに感ずるわけであります。憲法の改正は、決して国費によって内閣が行うべきもので
はございません。国民自身が行うべきものであるというふうに感じられているわけであ
ります。従って、形式的にいってみまして、どんなふうにつじつまを合せましても、と
もかくこの法案は、趣旨自身が間違っておるのではないかというふうに感じているわけ
です。

 第三に、この法案が提出される前に、すでに元の自由党の岸信介氏を主任者としま
しての改正案要綱のような、試案のようなものが発表され、改進党も清瀬私案という一
種の試案を発表するというふうなわけで、すでに多数の改正案、試案というものが公け
にされているわけでございまして、これとこの憲法調査会法案との間が全然無関係でな
いということは、当然予想していいだろうと思うのであります。ところが、今まで発表
されましたところの各試案によりますと、いずれも単に憲の立法技術的な改正のみにと
どまりません。憲法の根本に触れるような改正を企図していることは明らかであると言
っていいと思います。しかもその中におきまして問題になる点は、一体国民の主権をど
うするか、主権の存在をどうするかという問題が、第一に出て参ります。
そうして多く
の憲法学者の通説によりますと――ごく少数の人は別でありますが、通説によりまして
も、主権の所在、つまり政治的な組織を決定する権限の所在の移行は、憲法の改正とい
う手続によって行われるものではない、もし政治体制を決定するような決定権の所在を
移行させるような憲法の条文の改正をするということになると、これは憲法の改正とい
う観念ではなくて、むしろ革命とか反革命とかいうような観念である
というように説明
している書物が多いのであります。これは、ある程度まで正しいのでありまして、法律
論としてはともかくとして、観念的、常識的には確かに正しいのでありまして、主権の
所在を移行させるような憲法の改正ということになると、これは改正ではないのであり
ます。従って、むしろ革命なり反革命なりということになってくると言っていいと思い
ます。政党が、革命をやろうと反革命をやろうと、そんなことは自由でございましょう
。特にそれを憲法上の手続でやろうということになるならば、これは自由でございまし
ょう。しかし、それを調査すべきものは政党自身でございまして、決して内閣ではない
。内閣は、主権の所在点を変更するような改正案を企図すべき立場にはいないことは、
確かだと思います。主権の所在というものを規定する出発点と同様に、その前提といた
しましては、言論とか思想の自由とか、いわゆる基本的人権を含めて、つまり法律によ
っても制限できないところの思想の自由、言論の自由、表現の自由、結社の自由という
ものを認めなければ、政治体制の決定権が国民にあるとは申せないのであります。従っ
て、主権の所在を変えるのは、当然基本的人権の問題につながっていくわけでございま
す。基本的人権の所在点を変えて、法律の制限の中での言論の自由、法律によるところ
の、法律の監視の中での言論の自由、思想の自由というものを認めることになりますと
、やはり何といっても、根本的に申しまして、憲法の改正ではなくして、むしろ革命な
いし反革命ということにならざるを得ないと思うのであります
。今まで発表された各種
の試案によりますと、言論の自由やおそらく思想の自由を含めてまでも、法律によって
制限できるという案が出てきているわけでございます。この案を前提とするような改正
論ということになって参りますと、これは、おそらく内閣のもとに置かれるところの憲
法調査会の権限をはるかに越えるといわなければならないと信じております。

 さらに日本国憲法というものは、非常に基本的な一つの政策を持っております。こ
れは、要するに戦争をしないという政策でございます。またこの基本的政策があればこ
そ、他方におきまして社会保障、それから最低限度ではあるにせよ、健康にして文化的
な生活の保障というものができるのでございます。これがなかったら戦争――をするこ
とを前提としたら、おそらく経済的な面、財政的な面から申しまして、社会保障は全然
やめなければならないことになるのは当然の話だと思うのであります。少くとも健康に
して文化的な生活の保障というふうなことは、言えなくなってくるわけでございます。

従って、現在の憲法が持っておる基本政策を変えるような憲法の変更ということになる
と、これも同じような意味におきまして、憲法の改正ではなくて、やはり変革なんだ、
従って、これは内閣の所管事項からはずれる、というふうに考えなければならないと思

のであります。のみならず、現在すでに内閣総理大臣も、国会の中などで、しばしばは
っきり言っておられるわけであります。憲法を変えたい、その憲法を変える内容は、軍
備を持つんだということを、しばしば言っておられるようであります。このことは、す
でに内閣が、この調査会の人選に当りましても、クリーン・ハンドでなくなっている、
いわゆる清き手でなくなっているということじゃなかろうかと思うのであります。すで
に自分自身で一つの方向がある、その方向に合致するような委員の選出をすることを前
提としているんじゃなかろうかと思うのであります。従って、内閣に憲法調査会委員を
置きましても、それは決して公正で、客観的で、純粋に基礎から積み上げていくような
改正論を論議するのではなくて、むしろ一定の方向づけられた改革論、改正論を権威づ
けるための手段になるにすぎないといっていいかと思うのであります。この意味におき
まして、現在の憲法調査会法案というものは、それ自身すでにクリーン・ハンドでなく
なっていると感ぜられるわけでございます。

 第四番目に、憲法を改正するとかしないとかいうふうな調査の仕事をするにつきま
して、現在の時期ははなはだ適切でないというふうに感じております。ということは、
日本の現在の状態は、決して独立した状態ではないからであります。このことは、私自
身が申したというのではかえって悪いのであります。自由党の方がおっしゃったのを、
私自身がはっきり聞いたのでございます。しかもそれは、国内でおっしゃったことでは
ございません。国外に行かれて、外国の総理大臣の前で言われたことを、私自身聞いて
いるわけでございます。
 一昨年のことでありますが、私中国に参りまして、議員団の方と一緒に、向うの総理
大臣の周恩来氏と会見したことがございます。そのときにその席上で、当時自由党に所
属しておられた山口喜久一郎氏が、このように言っておられます。

 周総理及び日本側の代表も申しました通り、中日両国が仲よく手をつながねばならぬ
ことは、だれしも一致した考えであります。これがどうして早くその希望を達しないか
ということは、いろいろ故障がありますが、今後は、これを一日も早く取り除いていか
ねばならぬと、私は国会議員として考えております。たとえば東京から北京まで飛行機
で四時間しかかからないのに、わざわざ香港を経由しなければならぬというような隘路
があると思います。これについては、中国よりも日本の方に非常な困難があります。と
申しますのは、中国はソビエトと今回の大戦ではともに戦い、ともに戦勝国という立場
にあります。この関係でいうならば、アメリカと日本とは戦勝国と戦敗国の立場にある
ことは御存じの通りです。ここに中国側よりも日本政府もしくは日本人側に困難がある
ということを御了解いただきたいと思います。というふうに述べておられます。これを
受けまして周恩来氏は、次のように申しました。中国人民は日本政府と平和関係を求め
ています。しかし日本政府はわれわれを承認しない。この困難の根本原因は、ただし日
本政府にあるのではなく、その頭の上に一人の太上皇帝がいるからだと思います。すな
わちアメリカがおるからだと思います。天皇が日本を支配しているのではなくて、アメ
リカが支配している、日本人が天皇を尊敬しても、それは自由である、しかし日本天皇
の上にアメリカがおる、これがわれわれと日本との関係を妨げておるものである、とい
うふうに周恩来氏は言ったのであります。これは、外国の総理大臣が日本の議員に言っ
た言葉でありまして、非常に失礼な言葉であると私は感じました。しかし、その失礼な
言葉に対しまして、そこにおられました当時の自由党並びに改進党の議員は、何ら反駁
されておりませんでした。ということは、結果において見ますと、現在の日本が決して
完全な独立国ではない、文字通りの独立国ではない。形の上では独立したような形をと
っておりますけれども、実際におきまして、独立の状態に達していないということを意
味しておると思う。また山口さんも、いかにしたら日本の独立を達成するかということ
に努力されておるというふうに私は感じたわけであります。現在独立しないのに、あた
かも独立しておるということを前提にして憲法の改正を論議するということは、私は間
違っておると思うのであります。いかにして独立するかが第一でありまして、憲法の改
正はその次の問題であるということにならざるを得ないだろうと思うのであります。

 憲法調査会法案というふうなことは、現在の国内の政治情勢から申しましても、はな
はだ不当のように感じております。というのは、明日あたり小選挙区法が出るというこ
とでござます。私にある新聞記者が話してくれたのでありますけれども、自民党案とし
て前に発表された小選挙区の区割り制度がもし実現されるということになりますと、社
会党、共産党、労農党は、前の選挙の経験にかんがみて、おそらく千三、四百万票ぐら
いはとれるであろう。しかし確実にとれる議席はせいぜい五、六十にすぎない。しかも
その五、六十のうちかなりの議員の人が、まかり間違うと五百票とか千票足りなくて落
選をして、ほんとうに確実にとれるのは十人前後かもしれないよと言っておるのでござ
います。一方におきまして千数百万票もとれる票がある。ところが議席は十だ、あるい
は五十だ、他方には二千万票の投票で、しかも議席が四百五十だ、四百九十だというふ
うになって参りまして、しかもその国会の多数で憲法の改正が押し切られてしまうとい
うことになって参りますと、一体議会制度に対する国民の信頼というものはどうなるで
ございましょうか。


 どなたにしましても、国会においでになっておる以上は、議会制度というのを十分御
尊重になり、そうして議会の信頼がいかにしたら保持できるかということを、最も大き
な関心の対象にしておられると思います。ところが現在の憲法の改正案を作り上げよう

しかも改正案を作るところの原案の基礎になる調査会は、これは社会党のいる時分に作
った法律だというふうな形で押し切られてくるということになって参りますと、国内の
相互的対立が非常に激化することになるのではなかろうかと思うのでございます。従っ
て、かりに小選挙区制度がとられた結果として生じる、投票と議席のアンバランスが消
えるまでは、少くともその間の調整のできるまでというものは、憲法の改正に手をつけ
ないという立場をとるべきではないかと思うのでございます。これらの意味におきまし
て、私としては、この憲法調査会法案が否決されることを非常に希望しておるわけであ
ります。(拍手)
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by daisukepro | 2013-02-11 22:10 | 憲法

講演「強まる改憲策動とその狙い」小森陽一東大教授

講演「強まる改憲策動とその狙い」小森陽一東大教授

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上の画像をクリックしてくください。小森講演のビデオが視聴できます。

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by daisukepro | 2012-11-01 20:09 | 憲法

「フクシマの心、オキナワの心」小森陽一(東大教授)の講演

「フクシマの心、オキナワの心」小森陽一(東大教授)の講演






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by daisukepro | 2011-12-15 10:22 | 憲法

11月13日、「東京・9条まつり」のチラシが出来たよ!


11月13日、
「東京・9条まつり」の報告チラシが出来たよ!

みんなで力を合わせて、
戦争のない社会をつくろう。


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by daisukepro | 2010-12-09 16:57 | 憲法

11月13日、オバマ大統領初来日 大田区産業プラザで「東京9条まつり」開催!

11月13日、オバマ大統領初来日大田区産業プラザで「東京9条まつり」開催!
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 11月12日はオバマ大統領が来る日です。13日はAPECの最高首脳会議が横浜で開かれます。オバマ大統領はそれに出席する予定です。なので羽田界隈は非常警戒体制のようです。地域内で開催予定のいろいろな集会が延期させられていると伝えられています。APECとは(Asia Pacific Economic Cooperation )の略称です。日本語では「アジア太平洋経済協力」と翻訳されています。アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組みのことです。経済規模で世界全体のGDPの約5割,世界全体の貿易量及び 世界人口の約4割を占める当該地域の持続可能な成長と繁栄に向けて,貿易・投資の自由化,ビジネスの円滑化,人間の安全保障,経済・技術協力等の活動を 行うことが目的とされています。中国の著しい経済成長でにわかにクローズアップされ、各国首脳の公式非公式の対話や発言が政治的に利用されるようになってきました。オバマ大統領も初来日なので核兵器や広島長崎に対してどのような発言をするか注目される所です。オバマ大統領は日本に続いて、シンガポール、中国、韓国とアジア諸国を歴訪が予定されています。c0013092_18382358.gif
タイミングよく、11月13日は九条の会東京連絡会が『東京9条まつりを』を開催します。場所は羽田空港近くの蒲田駅近くにある大田産業プラザを1日借りきりで多彩な催しが企画されています。映画、演芸、コンサート、憲法講演、寄席、コーラス、ジャズトークショー、ビッグ対談、70ブースの出店、若者から高齢者まで1日ゆっくり楽しめます。映画はなんと、本邦初演「ハーツアンドマインヅ(ベトナム戦争の真実)」が特別上映されます。出演予定の著名人はジェームス三木、小森陽一、雨宮処凛、蓮池透、伊勢崎賢司、崔 善愛、大西進、高橋哲哉、山内敏弘 杉原泰雄、内藤功、橋本左内、日野原重明など多士済々、オールスターキャストです。c0013092_1842277.gif
モダンアート展、ベトナム戦争写真展も場内で展示されます。発見の同好会もボランティアで陰ながら協力しています。成功協力券方式で入場は無料になっていますが 当日でも入場できます。レストラン、コーヒーショップ、弁当販売も開いています。決して損はしません。ご来場をお待ちしていますと隣でスタッフが申しておりますよ。daisukeproをフォローしましょう
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by daisukepro | 2010-10-20 18:47 | 憲法

普天間は飛行場なのか、基地なのか

普天間は飛行場なのか、基地なのか

毎朝、新聞のテレビ欄を見てチェックを入れる。それからヘッドラインだけは必ず目を通す。NHKの日曜討論はテーマと顔ぶれで視聴するかどうかを決める。テレビ欄には普天間基地結論先送りとでている。あれほど年内に結論を出さないと日米関係が破綻すると岡田外務大臣を筆頭に囀っていた方々の虚言妄想はどこ終え消えてしまったのか不思議だ。常識的に見て、ベルリンの壁崩壊後、東西冷戦構造の枠組みがなくなり、アメリカ大統領がチェンジすればアメリカの世界戦略が転換することは軍事専門家でなくても分かる。c0013092_23543591.jpg(写真は普天間米軍基地嘉数高台から撮影)
それでなくても財政危機が深まるアメリカが世界中に点在している米軍基地を再編するためには膨大な経費がかかる。当たり前のことである。アメリカの価値観で世界を統一しよなどという考えは妄想でしかない。そうした角度でみると元高官の発言のお里が知れようと言うものだ。アメリカの政府高官すじがしばしばマスメディアに登場して普天間基地の移設が失敗するとアメリカの戦略が頓挫するかのようにインタビューに答えている。その人物にはきまって元が付いている。つまり、ブッシュ政権で高官だった人ばかりである。インタビューの人選はマスコミの主観で行われるとは知っていても、これほど露骨とは思わなかった。往生際が悪い。
読売新聞は12月20日の一面で日米亀裂という特集を組んでいるが、解説しているのはケントカルダー特別補佐官、彼も元が付いている。正式には元駐日大使特別補佐官だ。連載4回目の記事は「鳩山政権による米軍普天間飛行場移設問題の決着先送りは、ワシントンに不安と失望を読んでいる」から始まっている。
頭に米軍とついているから米軍の施設とは分かるが、略して表記すれば普天間飛行場となる。基地と飛行場の移設では終戦と敗戦程の違いがある。問題の核心は米軍再編成にともなう米軍基地再編成なのだがこれを米軍飛行場再編成と表現すれば問題の核心がぼんやりとかすむことになる。世界中で見れば米軍基地は再編成によって半減しているが、増加しているのは日本だけなのである。
米軍戦略上、必要がなくなった基地は即時無条件に撤退すべきものだ。経済的な理由で基地存続をのぞむ人でも、感情では他国の基地の共存をのぞむ人はいるだろうか。核の抑止力などという幻想でいつまでも米軍基地を置いておくことこそ不自然なのである。
日本の米軍基地は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争の出撃基地として活用されてきたが、日本防衛に使われたことは60年の長きわたって一度もないのである。
普天間基地からの米軍撤退はその第一歩になるのだ。普天間飛行場の移設問題などではない。すべての新聞がNHKのように普天間基地と記述する日がくれば、間違いなく米軍から接収された基地が沖縄の人々にもどってくる日になると思う。哀しいことに新聞記事で普天間基地という記述を見つけるのは砂地でダイヤモンドを発見するようなものだ。嘘だと思ったら近く図書館に行って探してみよう。
普天間基地が返還された日、嘉数高地の展望台に立って米軍ヘリコプターのいない元米軍飛行場をながめながら泡盛で祝杯をあげる日が来ることを楽しみにしている。そうなれば10年後に沖縄の米軍基地をすべてなくすことだって不可能ではない。
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by daisukepro | 2009-12-20 23:57 | 憲法

「日本政府は米核政策の転換に反対だ」

「日本政府は米核政策の転換に反対だ」

固い話ばかりで、申し訳ない。今日は長崎に原爆が投下された日なのでお許しください。

一昨日(8月7日)、読売新聞朝刊の一面の左隅の記事に目が止まった。
一面トップは「裁判員裁判初の判決」、黒地に白抜きの四段抜きの大見出し、その記事は2段抜きで「米大統領広島・長崎訪問困難に」と目立たないように掲載されていた。しかし、読んでみるとすこぶる面白い。
オバマ大統領が年内に来日するという噂が流れていたが、知っての通り、今年11月初来日することが決まった。オバマ大統領が核廃絶の決意表明をしたプラハ演説に感動して「できたら被爆地を訪問して欲しい」というのが日本人の気持ちだろう。デザイナーの三宅一生氏もオバマ大統領のプラハ演説に感動して自らの原爆体験に触れながら大統領が広島を訪問するよう訴えたメッセージを送った。チェ・ゲバラも広島を訪れて涙を流したではないか。普通の日本人はオバマ大統領の広島・長崎訪問を歓迎する。勿論、どこの国にもいるように、歓迎しない人もいる。いまだ原爆症で苦しむ人々をみると、日本人の心情は原爆投下の責任を追及するより、原爆で苦しむ人々を二度と再びみたくない、人間を原爆で苦しませてはいけない、そのためには原爆を投下させてはならない、持たせたてはいけない、つくらせてはいけない、地球上から核兵器を廃絶したいと望んでいると思う。だから、オバマ大統領にも原爆の悲劇を直視して欲しいと切望しているのだ。

ところが、読売新聞の記事は以下のようになっている。
複数の日本政府関係者が6日、「オバマ大統領の被爆地訪問は困難であることを明らかにした。理由は原爆投下の意義をめぐる議論に発展しかねず米国内で反発を招く恐れがあるとの判断が強まった」のだという。滞在時間が1日程度となるから国内移動が難しくなったという事情もあるのだとか、日米関係筋は「初来日の際に歴史認識にかかわる問題を扱うのは難しい」とか、オバマ大統領の被爆地訪問を阻みたい思惑が見え見えではないか。

読売記事に出てくるこの複数の日本政府関係者、日米関係筋とは誰なのか。顔のないゴースト、その正体が見たい。「歴史認識にかかわる問題を扱うのは難しい」どころか大統領の歴史認識はプラハ演説ではっきりしている。オバマ大統領はプラハで下記のように演説している。

「私たちは、20世紀に自由のために戦ったように、21世紀には、世界中の人々が恐怖のない生活を送る権利を求めて共に戦わなければなりません。そして、核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があります。米国だけではこの活動で成功を収めることはできませんが、その先頭に立つことはできます。その活動を始めることはできます。従って本日、私は、米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言いたします。」
オバマ大統領は解決しなければならない課題を挙げた後
「いずれの課題も、すぐに、あるいは容易に解決できるものではありません。いずれも、解決するには、私たちが相互の意見に耳を傾けて協力すること、時に生じる意見の相違ではなく、共通の利害に重点を置くこと、そして私たちを分裂させ得るいかなる力よりも強い、共通の価値観を再確認することが必要な課題ばかりです。これこそ、私たちが続けていかなければならない取り組みです。私がヨーロッパへ来たのは、その取り組みを始めるためです。」と述べている。

オバマ大統領は日本に何のために来るのだろうか。毎年8月6日、広島の式典に来て核廃絶の決意をのべながら、核の傘強化を平然とのべる日本の首相とは違う。

ゴーストたちの話に戻ろう。

憂慮する科学者会議のカラキ−氏から3分間の緊急メッセージが日本に送られてきた。ユーチューブから静かな声が流れてくる。

「日本の皆さんが知らなければならない重要なことがあります。それは、日本の外務省や防衛省で、外交安保にかかわる官僚たちが、米国のカウンターパートに対し、「日本政府は米核政策の転換に反対だ」と訴えているという事実です。
米政府内ではオバマの核政策転換に反対を唱える人々がいます。とりわけ国務省や国防総省、そして国家安全保障会議のアジア専門家から反対の声が上がっています。これらの人々が、米核態勢に求められている転換に反対する最大の理由が、日本政府が表明する「懸念」なのです。
米国の新しい核兵器政策が決定するのは、今年9月あるいは10月です。残された時間はあとわずかです。米核政策の転換は、プラハ演説でオバマ大統領が述べたビジョンの実現に不可欠です。
もし、オバマ大統領がプラハで訴えた米核政策の転換というビジョンが、人類の歴史上で唯一、核攻撃の犠牲となった国の政府の反対で、打ち砕かれるとしたら、それはまさに皮肉であり悲劇にほかなりません。日本の皆さん、今こそ日本政府、そして米政府に向けて、「私たちはオバマ大統領がプラハで示した米核政策の転換を力強く支持します」と声を上げていくことが重要です。

読売新聞の記事に出てくる日米関係筋とか、政府関係者は日本の外務省や防衛省、外交安保にかかわる官僚たちであり、アメリカのロビーにも出没していることが明白ではないか。彼らはオバマ大統領の被爆地訪問に最大の懸念を持ち、阻みたいのです。

これまでのアメリカの世論によれば、60%が原爆投下は戦争を終わらせるために意義があったと考えているようだ。
しかし、事実が明らかになるにつれて、アメリカの世論は変わりつつある。
写真家中村悟郎さんが5月にアメリカで写真展を開きロサンゼルスの大学で講演を依頼された。中村さんはベトナム戦争で使われた枯れ葉剤の被害を追及している写真家として著名です。

以下、中村さんのエッセイからの引用をしておきます。オバマ大統領になってからアメリカでも変化が起こっていることが分かります。

私は思い切って私の考えかたを枯葉剤会議の聴衆に伝えた。 「被害はベトナムのほうが何百倍も深刻である。 それに対する補償を米連邦最高裁が今年2月に最終的に拒んだのは客観的に見て不当である」 「アメリカがベトナムで行なった枯葉作戦は明らかに戦争犯罪といえる」。

 そして私はオバマ演説を引用しながらこうしめくくった。 第2次大戦後の歴代米大統領は 「ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下は正しかった。 それによって何万という米兵の命が失われずに済んだのだから」 といい続けてきた。 だがオバマ新大統領は違った。 「最初に核を使用した国の道義的責任として、 核廃絶を目指す」 とプラハで述べている。 すばらしい演説である。

 ところが、 フロリダのエグリン米空軍基地には現在も、 ベトナムで枯葉作戦を行ったC-123散布機が展示されていて、 その脇にはブロンズ製の顕彰碑がある。 そこには 「枯葉作戦は崇高な作戦であった。 それによって何万というアメリカ兵の命が失われずにすんだのだから」 という文字が刻み込まれている。 いかなる残虐兵器を使おうと 「正しかった」 としてしまうこのような思想とは決別すべき時がきたのではないか、 と。

 そのとたんに劇的な事態が起きた。 会場の人々が立ち上がりスタンディング・オベイションとなったのである。

会場にはいろんな立場いろんな考え方の人が居たはずである。 その人々がこうした反応を見せた。 言うべきことを言って良かったと思った。 アメリカは変化しているとも感じた。 この国の懐の深さに触れるとともに、 写真や言葉や、 さまざまな手段で臆せず働きかけることに充分意味があることを知ったのであった。

読売新聞の懸念はもはや幻想でしかない。世界は少しずつ変わろうとしているのだ。私たち日本人がオバマ大統領の広島・長崎訪問を切望していると声を上げよう。
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by daisukepro | 2009-08-09 13:43 | 憲法

横須賀、海賊、核の傘

横須賀、海賊、核の傘

日曜日の午後、横須賀軍港ツアーに参加した。一行は約30名、映画関連労働組合平和推進委員会の皆さんです。遊覧船は港内を45分で一周、停泊中の船舶をガイドしてくれる。1200円では安い。都心から参加すると交通費が往復2000円ほど加算される。帰りにはドブ板小路を抜けて三笠公園まで歩く。そこには戦艦三笠が保存されていて500円払うと艦内の見学ができる。ドブ板通りは観光地化して昔の面影はないが、それなりに終戦直後の占領ムードを漂わせている。c0013092_19504362.jpg日本人はとても買う気が起こらないような土産物を売っている店が並ぶ。私服の黒人兵や連れ立って歩く白い水兵服の海上自衛隊員とすれちがうこともある。
軍港は日米共同で使用している。一隻300億円もする自衛隊の潜水艦が係留されている。その奥にはアメリカ軍のイージス艦数隻が待機している。しかし、楽しみにしてきた原子力空母ジョージワシントンの姿はなかった。
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「核密約があった」という元外務次官の村田良平氏の証言を西日本新聞がスクープしたのは6月28日の朝刊。
日本政府はこれまで核密約はなかったと答弁してきた。麻生首相も「なかったというので調べるつもりはない」と記者会見で答えていた。もし、スクープが真実だとすれば、私たちが乗船した遊覧船がジョージワシントンの近くを通過すれば核兵器に最も接近した瞬間ということになる。サイトシーングも忘れがたいものに変貌するはずであった。

翌日のしんぶん赤旗をみると、不破哲三氏の談話が載っていた。大見出しでタイトル「これが核密約だ」、当時、共産党委員長だった不破氏は2000年の党首討論で密約全文を示し政府を追及した。不破さんが暴露した密約文書の表題は「相互協力及び安全保障条約討論記録」となっている。この奇妙な呼び名の条約表題がなぜ名付けられたか、米国の報告書には以下のように書かれている。「いかなる秘密取り決めの存在を否定するために日本政府の注文で討論記録と呼ぶことになった」と

今度のスクープ以後、新聞各社が歴代の外務次官を取材して証言を取っている。いずれも、密約を認め、歴代の外務大臣に手書きメモをわたして引き継ぎをしていたことが明らかになった。かくも長きにわたって政府は国民を欺いていたのである。これって、まさに二枚舌その一。
2000年に不破氏が密約を暴露した後、その翌年、田中眞紀子氏が外務大臣になったが、なぜか、この密約は報告されていない。メモが破棄されたともいわれている。

密約の仕組みと主な内容は2つある。岸首相とハーター国務長官が公式に取り交わした交換公文では「核兵器の持ち込みなど米軍の装備の重要な変更」「日本の基地を戦闘作戦行動への出撃に使うとき」(要約)は日本政府と事前協議する。となっているが密約では「核を積んだ軍艦や軍用機の立寄り、通過は、事前協議はいらない。米軍が日本から移動する場合は移動先が戦場であっても事前協議はいらない。米軍の自由である。」となっているのである。(全文参照)密約条文はマッカーサー駐日大使と藤山愛一郎外相が署名している。核の持ち込みとは「核兵器、中長距離ミサイル(短距離ミサイルは除く)のための基地の建設」と規定している。だから、米原子力空母は横須賀港に核兵器を搭載して自由に寄港していたのである。

しかし、今なぜ外務省高官が一斉に密約を認めた発言を始めたのかという素朴な疑問が浮かんでくる。元毎日新聞の池田龍夫氏によれば村田良平元外務次官は武器輸出三原則、非核三原則を批判、憲法を改正して集団的自衛権を鮮明にすることを切望している人物であるとマスコミ関連のホームページで解説している。あのテレビに出てきて「アメリカのいう通りにしていれば日本は安全です」という変なおじさん岡崎元駐米大使と同期の外務省エリートらしい。

すると、どうだろう4日提出された「安保防衛懇」の報告書を読むと北朝鮮の核開発と弾道ミサイルが脅威だとして、「専守防衛」「非核三原則」「PKO参加5原則」を見直してミサイル迎撃、敵基地攻撃の方策も必要だとして日本を「海外で戦争をする国に変える」提言を列挙しているではないか。

海上自衛隊の護衛艦2隻がソマリア沖に派遣されたのは3月、大量の武器弾薬を積載して佐世保港を出航して行った。この段階での武器使用は自衛隊法の枠内という制約があって自由に発砲することは出来ない。4月23日、海賊対処法案が可決、防衛省が必要と判断すれば恒久的に海外派兵が可能になり、武器の使用が認められる。そして、7月、恒久派兵法成立後、始めての第二次護衛艦が派遣されて行った。海外派兵は危険水域に入ったのだ。戦場はぐっと身近になった。歴史的な転換点といえる。

自衛隊の海外派兵は1991年のPKO派遣に始まり、9・11以後、派兵先と期限を限定した特別措置法で実施されてきた。アフガンへ「テロ特措法」、インド洋へ「給油法」、イラクへ「イラク特措法」
そして、今回の「海賊対処法」。海賊退治とは見せかけの衣で、この法案の中身はいつでも、どこでも自衛隊の海外派兵ができ、紛争解決の手段として武力行使ができるようにするための「海外派兵恒久法」なのだ。そして、最後の障害物である海外派兵を禁じた憲法九条第二項の改正を切望しているのだ。二枚舌のその二

デッキの上で潮風に吹かれながら考えた。
「戦争ができる社会体制が着々と構築されている。
戦争は急には起こらない。なし崩し的に戦時体制へ転換がすすんでいる。なんか変だなと気付いたときにはどうにも止まらない。アメリカ軍の指揮命令のもとに海外派兵が常識となる日が接近していることを忘れないぞ」
内閣の調査で自衛隊の海賊対策について問うと肯定的に考える人が63%なのだ。人を見かけで判断するのは用心しないとね。

二枚舌その三は麻生発言だ。8月6日、麻生首相は広島の式典で「私は改めて日本が今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます」と事務方の用意した原稿を棒読みした。これは麻生首相に限らず、歴代首相が必ず読み上げるものだ。歴代にはない麻生首相の優れた才能は、その舌のねも乾かないうちに式典直後の記者会見で「日本はアメリカの核の傘が必要だ」と持論を展開できるこことだろう。まさに、二枚舌の朝青龍。

ガイドの声が聞こえてくる。「船の上からのカメラ、ビデオなどの撮影は・・・・・・・・自由です」
私は辺野古ではこうは行かないと思いながら、ビデオカメラを回した。

追記
ここまでの記事を投稿しようとして読売新聞の夕刊(8月7日)が置いてあったので、ちらっと見ると、核密約「確認は不能」と三段抜き記事が目に止まった。外務省はアメリカでは公開済みの文書が日本では1981年の調査で文書本体が確認できなかったので密約を否定する方針だという。引き継ぎメモは消去されたと村田氏は言っているが・・・・・・。この国の外務省はどうなっているのだろう。




相互協力及び安全保障条約討論記録
東京 1959年6月
 1、(日米安保)条約第6条の実施に関する交換公文案に言及された。その実効的内容は、次の通りである。
 「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国からおこなわれる戦闘作戦行動(前記の条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」
 2、同交換公文は、以下の諸点を考慮に入れ、かつ了解して作成された。
 A 「装備における重要な変更」は、核兵器及び中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)並びにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルを含む非核兵器(ノン・ニュクリア・ウェポンズ)の持ち込みは、それに当たらない。
 B 「条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く戦闘作戦行動」は、日本国以外の地域にたいして日本国から起こされる戦闘作戦行動を意味するものと解される。
 C 「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く。
 D 交換公文のいかなる内容も、合衆国軍隊の部隊とその装備の日本からの移動(トランスファー)に関し、「事前協議」を必要とするとは解釈されない。
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by daisukepro | 2009-08-07 20:08 | 憲法

海賊退治に飛び立ったオライオン

平成21年度補正予算が衆議院を通過、参議院で否決されたが60日ルールが適用されて予算案は成立することになった。
一般会計の中にはソマリア海賊対策費、182億3800万円が計上されている。5月15日、浜田防衛大臣はロキード社製哨戒機P3C、2機のソマリア派遣を命じた。
6月中旬から4ヶ月間、飛行隊はソマリア海域で哨戒の任務に就く。派遣航空部隊の編成は海自隊員100名(飛行隊40、整備補給隊30。基地業務隊40、警衛隊30)、陸自隊員50名、約150名っである。最高司令官は自衛艦隊司令官である。旧海軍の軍令部に相当するのだろうか、山本五十六連合艦隊司令長官の名が思い浮かぶ。
ソマリア対策費のうち自衛隊海賊対策費は145億500万円(含む 艦艇の諸経費45億円、P3C派遣の諸経費95億円)であるという。もちろん、兵士が使用するであろう武器弾薬の経費はこの中に含まれている。
P3C、その名をオライオンという。
c0013092_23593872.jpgギリシャ神話の神の名をつけた、2機の「オライオン」はジブチをめざして5月28日、雨降る厚木基地から飛び立った。そこで米軍と合流して、ソマリア沖で米第7艦隊との共同作戦に組み込まれる。何が起こるか。政府にとって都合の悪い事件は軍事機密としてベールに包まれることになる。武器密輸、麻薬ルートのソマリア近海における取材は命がけにならざるを得ないだろう。現在参議院で審議中の海賊対処法案は参議院で廃案にならない限り成立する見込みだ。海賊退治は警察行動だから憲法が禁止している軍隊の武力行使ではないという乱暴な解釈で武力行使が可能になる。すでに補正予算が成立する数ヶ月前から自衛隊は準備と訓練を実施して、国会審議を横目で見ながら、艦隊はソマリア沖で活動している。大量の武器弾薬を搭載していることは言うまでもない。この法案成立と同時に、いつでも現地実行部隊が海賊退治と判断すれば交戦することができる。兵士は遭遇した相手が、難民か、漁民か。それとも海賊か、敵かそうでないか、瞬時に決断しなければならない。世界中いたるところで闘うアメリカ特殊部隊の活動を描いた米国テレビ番組(「ザ ユニット米国特殊部隊」「24」など)が若者たちに人気だ。21世紀は国家と国家間の戦争はなくなったが地域紛争は激増し、超大国の目線で見た山賊、海賊、テロリストはいたるところに潜在している。テレビ番組の素材に事欠くことはない。アメリカ軍は世界中に基地を置き、軍事力でこの国境なき敵に対処しようとしてる。日本は国際紛争の解決に集団的自衛権と武力を行使しないという誇り高き憲法をもつ。「戦争をしない国」日本を「戦争をする国」、「終わりなき戦争をする醜い国」にしてはならないと思う。戦争は始めたら歯止めが利かない。日本が「戦争する国」になりたいなら、闘う価値のある敵はいたるところにある。海賊退治、テロ退治を選ぶ必要はない。ガン細胞退治、疫病退治、貧困退治、温暖化退治戦争に挑戦したらどうだろう。
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by daisukepro | 2009-06-04 00:03 | 憲法

海賊対処は名ばかり、闇の奥の奥ーアメリカの軍事的な枠組みに組み込まれる危険

「海賊対処」法案は4月23日午前中に総括質疑を終えて、委員会で採決した後、急遽本会議を開き自民党、公明党が採決を強行、賛成多数で可決した。わずか6日間の審議で質疑を打ち切り、自衛隊の恒久的海外派兵と武力行使に道を開いた。明らかに憲法九条2項に反する。私たちの理想、日本国憲法をいとも簡単に放り投げていいものだろうか。法案に賛成した国会議員たちを許すことはできない。

スマップの草薙事件報道がメディアの時間と空間をハイジャックしている間に、「海賊対処法案」はあっという間に衆院を通過して参議院に送られた。参議院の審議は「外交防衛員会」で行われる。現在、審議中の「グアム協定」が成立すれば、5月11日頃から「海賊対処法」の審議が開始される。もしここで徹底審議をすれば、会期延長が必要になる。世論の動向によっては廃案の可能性が出てくる。「海賊対処法」が解釈改憲であり、自衛隊が米国軍再編に組み込まれるようとしていることを明らかにすることがメディアの責任ではないか。責任は重大です。現在の世論調査では「海賊を退治するのがなぜ悪い」が過半数です。マスコミの報道姿勢に影響されたこれらの声が改憲したい勢力の背中を押している。

ソマリア沖に出没する海賊はマラッカ沖の海賊とは質が違う。マラッカ沖の海賊は船舶を襲って金品や積み荷を強奪するのが目的だが、ソマリア沖の海賊は金品には目もくれないで乗組員を人質に取り身代金を要求する。被害総額は約110億円に達していると国連が発表している。GPSと衛星電話を装備している大型母船を使い、自動小銃などで武装した海賊がいくつかの小型漁船に乗り込み船舶を襲う。身代金の受け取り方もヘリコプターを使用するなどきわめて組織的に行われていることが特徴と言われている。

獨協大学の竹田いさみ教授の論文(世界3月号、ソマリア海賊の真相に迫る)によれば、「2008年10月に海賊保険がイギリスで誕生した。海賊対策と海賊被害補償をパッケージにした商品を売る英国の民間安全保障コンサルタント会社のハートセキュリティとスウイングルハースト(1999年設立)である。ハートセキュリティを育てた人物はイギリス陸軍特殊空挺部隊出身のリチャードウエストベリー卿、フォークランド、北アイルランド、ソマリアなどの紛争地での経験が豊富であり、世界13カ国に事務所を構えている。9、11以後海洋テロ対策で業績を伸ばした。内戦下のソマリアでプントランド地方の有力者が一方的にプントランド自治政府を樹立したが、この自治政府のコーストガードの創設をハートセキュリティ社が請け負った。(写真はプントランドコーストガード)c0013092_22561239.jpg同社は沿岸警備のノウハウをソマリア人に教えた。しかし、契約金の支払いを巡り自治政府と対立して、2002年ハート社はプントランド自治政府から完全に撤退した。この頃から、ソマリア海賊が出没するようになった、プントランドのコーストガード出身者が変身したのがソマリア海賊の正体ではないか」という。また、「ソマリアの無政府状態を悪用してアフガニスタン、パキスタン、ソマリアを結ぶ国際犯罪シンジケートが結成され武器や麻薬の密輸ルートを形成している」と竹田教授は指摘する。

アジア、中東、アフリカを繋ぐ要にあるのがアデン湾なのである。ソマリアはこの地帯と東南アジアと日本、韓国、台湾を結ぶラインとアフガン、パキスタンのライン、そして紛争が頻発しているアフリカ諸国への軍事作戦などを展開するためのアメリカ世界戦略の要衝なのだ。

まだ、法案が審議中にも関わらず、自衛隊はP3Cの派遣を決めた。なぜ急ぐのか。ソマリアの隣国ジブチの国際空港を利用してP3Cを配置、既にジブチにある米軍基地と共同作戦が展開できる。さらに防衛のため特殊部隊を含む陸上自衛隊を約1000名派遣するという。これらの事実を報道するだけでも視聴者は今回の海賊対処法が単に海賊退治のための法案ではないことが推測できる。海賊対処とは名ばかりのこの法案でアメリカの軍事共同作戦へ参加の法的根拠が出来る。アメリカは特別にアフリカ総司令部を新設している。この司令部はアフリカ資源争奪戦をコントロールする軍事組織である。しかも、日本は海賊対処法によって国会の審議なしに、内閣の決定があれば自衛隊の参戦を決めることができる。アメリカの軍事行動に巻き込まれかねない危険な法案なのである。テロ対処や内紛対処の軍事行動は憲法に規定している国家間の戦争でないから憲法9条に違反しないとする、こんな詭弁的解釈が通るなら、日本国憲法は圧殺される。そして、いつでも、世界中どこでもアメリカの戦争に自衛隊は駆り出されることになる。現憲法がある限り許してはならない。私たち同好会員がこの海賊対処法案に反対する理由である。
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by daisukepro | 2009-04-26 23:04 | 憲法