カテゴリ:演劇( 6 )

文学座公演「ガリレオの生涯」をみる。

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『ガリレイの生涯』
2013年6月14日(金)~25日(火)
東池袋・あうるすぽっと 
作◆ベルトルト・ブレヒト
訳◆岩淵達治
演出◆髙瀬久男

装置◆石井強司
照明◆賀澤礼子
音楽◆芳垣安洋、高良久美子
音響効果◆藤田赤目
衣裳◆前田文子
舞台監督◆寺田 修
演出補◆五戸真理枝
宣伝美術◆太田克己
宣伝イラスト◆石井強司
映画も劇場で見る機会が激減した。体力がいるからである。まして。観劇となると年一回あるかないかである。演劇を見るのも数10年ぶり、文学座のブレヒト劇は初演であるというから不思議なご縁である。60年代はブレヒト劇が花盛り、異化効果がどうのこうのと議論したものである。
ナチの時代の民衆心理を描いた「第3帝国の恐怖と貧困」を上演した劇団は数限りない。日本人の心にファシズムの恐怖と貧困が生々しい体験として生きていた頃の話である。
もし、ブレヒトが今いるとしたら書き直したと思われる戯曲である。今、オレたちは東京電力福島第1原発事故の時代を生きている。物理学者や科学者が存在を問われている。憲法学者に沈黙はゆるされない。転向論か科学者の倫理か、ガリレオの生涯から共産主義者ブレヒトがどう考えていたかの選択を問われる。ここには異化効果が入る余地がないとおもうのだがどうだろうか。娘の婚約者、貴族の青年の好演が印象に残った。
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by daisukepro | 2013-06-21 22:43 | 演劇

かみかけて歌舞伎讃歌   鶴屋南北「盟三五大切」(かみかけてさんごの大切)

かみかけて歌舞伎讃歌   鶴屋南北「盟三五大切」(かみかけてさんごの大切)をBSで

土曜日の夜はろくな番組がない。ぼんやりと新聞の番組表をながめる。と、11時30分、歌舞伎通し狂言「盟三五大切」の文字が目に飛び込んできた。
NHKBSハイビジョンだ。「鶴屋南北だから見てみるかーーー」。すでに放送は始まっていた。子供の頃は親につれられて歌舞伎を見ることがあったが、表を通ることがあっても歌舞伎をみたいとは思わなかった。演目「盟三五大切」はかみかけてさんごのたいせつと読む。去年の11月公演昼の部で上演された。c0013092_21402375.jpg
序幕は船頭の三五郎が芸者小万をのせて川を下ってくる。実は芸者小万は三五郎の妻である。金のため三五郎が遊郭に身売りしたのである。しかし、なぜか二人は仲睦まじい。沖に向かって三五郎は人目を避けるように船を漕出して行く。舞台全面、青の世界、二人は抱き合って舟底に倒れ込むのだ。
これほど見事なエロティズムを表現した舞台を見たことがない。ドラマの大詰め、その謎が明らかになる。
劇の筋書きに無駄がなく、ユーモラスな南北流儀の人間模様をスピーディな演出で展開して行く。主役は浪人薩摩源五郎、真っ黒な衣装に白塗りのメーク、かっこ良く登場するのだ。片岡仁左衛門(片岡孝夫)が熱演している。c0013092_21331655.jpgできるだけ鑑賞の妨げにならないように筋書きの一部を紹介することをご容赦下さい。
浪人源五郎の家屋は借金取りに畳まで取り上げられ、家財道具、何一つ残っていない。芸者小万に入れあげたからだ。さらに、小万は源五郎に身請けを迫るのだ。まくってみせた小万の腕には「五大力」と入れ墨が入っていた。仕組まれた芝居とも知らず、源五郎は高級武士と張り合って小万の身請金百両を出してしまう。百両は叔父から預かったものだ。このあたりは近松門左衛門の冥土の飛脚、内田吐夢の浪花の恋の物語が思い浮かぶ。

そして、裏切られたと知った源五郎は殺人鬼に変身、舞台は一転、凄惨な復讐劇が一気呵成に展開されるのだ。あっという間に、大詰めを迎える。まさに、これこそ鶴屋南北の世界だ。気がつけば真夜中の2時15分を過ぎていた。歌舞伎の表現形式は世界に類をみない演劇芸術として完成され、現代に引き継がれている。見事と言うしかない。源五郎は5人を斬り殺し、番傘をさして雨の中を立ち去って行くーーーー。源五郎の花道は観客に強いインパクトを与えるだろう。通し狂言こそ歌舞伎の神髄を伝えるものだ。
いま、歌舞伎座は4月公演を最後に改築されることが報道されているが、8月に延期されたという話もある。大船撮影所を裏切った松竹の経営者が歌舞伎までも裏切らないよう祈っている。
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by daisukepro | 2009-02-03 21:36 | 演劇

ユージンオニール作「日陰者に照る月」(A moon for the misbeforgotten)


ユージンオニール作「日陰者に照る月」(「A moon for the misbeforgotten」)
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文学座のアトリエ公演を吉祥寺シアターでみた。オニール晩年の長編戯曲である。(チャップリンの最後の妻はオニールの娘です)1923年9月、舞台はアメリカコネチカット州、月が農家の屋根を照らしている。娘ジョージは年老いた父親と貧しい農場を切り盛りしている。男兄弟は都会に出て行き、父娘二人で暮らしている。登場人物は5人だが、主な出演者は小作農の父娘とその恋人で地主の息子ジムティーロンの3人である。2場2時間半、対話の緊張感が絶えることは無い。ジムは母を亡くしたばかりで酒浸りの毎日である。母の死に目にも会わなかった自分を責めている。彼は小作農の娘を愛していた。二人は互いに愛し合っていたが、過去の苦しみから逃れることができないために、内心を率直に打ち明けることができない。
ジムは農園を売って、ニューヨークに出る決心をする。その日の夜
彼はジョージの家を訪ねた。二人は庭先でバーボンを飲み交わしながら夜通し語り合った。ジムとジョージを月が照らす。ジムは母に対する思い、心の苦しみを打ち明けた。夜が明ける。ジムは都会へ去っていった。そしてジョージと父親が残った。
翻訳は酒井洋子、演出西川信広、ホーガン(加藤武)  ジム(菅生隆之)
ジョージ(富沢亜古)いずれも好演。
去年の春、ブルックス アトキンソン劇場で上演されたが、そのときの主演はケビンスペーシーだった。(ユージンオニール劇場ではなかった)
ジムはオニールの兄がモデルだと云われている。原題の「A moon for the misbeforgotten」は私生児の意もある。

22日まで吉祥寺シアターで上演中
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by daisukepro | 2008-12-18 18:26 | 演劇

文学座公演「毒の香りー浅草オペラ物語」

文学座公演「毒の香りー浅草オペラ物語」

イルミネーションが彩る新宿タカシマヤスクエアー。クリスマス商戦の始まり。サザンシアターは紀伊国屋ビルの7Fにある。c0013092_365182.jpg

文学座公演「毒の香りー浅草オペラ物語」
星川清司、初戯曲『毒の香り』が上演された。音楽は池辺晋一郎、戌井市郎演出、主演江守徹、競演八木昌子と並ぶと文学座そのもの、杉村春子の匂いがする。時代は大正末期、浅草六区金龍館で一世風靡した浅草オペラが舞台、開幕前に田谷力三の美声が流れる。田谷力三と言っても今の人は知らない。時の民衆は西欧文化を熱狂的に吸収していた。震災、戦災がすぐそこに来るのも知らず。藤原義江、徳川夢声、溝口健二、サトー・ハチロー、沢田正二郎、ノスタルジックに死者の名が行進する。
浅草オペラという呼び名で西欧歌劇の神髄を大衆に伝えた先駆者たちの
心意気が偲ばれる。ベテランの好演が引き立つのも戯曲の力、熱狂的な拍手がなくても,観客の心はとらえた。技術水準は一級品。
楽は27日、再演の機会があればぜひ見て欲しい舞台と思う。
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by daisukepro | 2005-11-25 03:08 | 演劇

文学座公演「最果ての地よりさらに遠く」

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六本木の俳優座劇場で1月28日から2月6日まで上演中(地下鉄日比谷線六本木駅下車1分)
イギリスの新進劇作家ズウイニー・ハリスの作品(31歳)、本邦初演ー
ドラマの舞台は南大西洋の火山島、トリスタン・ダ・クーニャ(Tristan da Cuhna)実在する絶海の孤島である。面積は伊豆大島ほど、イギリス領だが南極に近く、人口300人、ペンギンが住む。ーーー写真は島発行の郵便切手ーーー
 この小さな島に、ひとりの若者が帰ってくるところから物語は始まる。自然災害、戦争と人間との葛藤にドラマの軸足が置かれている。舞台は効果音にこだわりをみせ、成功している。
火山の胎動、機械音、雑踏、そして連絡船の汽笛が文明社会との架け橋として効果的に使用された。
特に水音、土を掘る音は舞台上でなま音を聞かせる。視覚効果とともに心理的臨場感をねらった。粟野史浩、鬼頭典子の若い二人が好演。翻訳劇のため、方言や台詞に制約があるが、演技者が的確に動いて、ドラマを盛り上げている。
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by daisukepro | 2005-01-31 09:04 | 演劇

文学座アトリエ公演「クライシス」

東京/文学座のアトリエは信濃町にある。
客席数150ほどの小さな劇場だが、回り舞台の装置も備えてあり、多様な舞台表現ができる。建物の外観も感じがいい。なによりも、そこで、若い才能が育っている。
c0013092_22112777.jpg上演中の「クライシス」はジョンサマビル原作のキューバ危機を題材にしたドラマである。(20日まで)
ホワイトハウスの論争をわかりやすく単純化している。映画的手法と構成が手際よい。
ケネディが核戦争の危機から人類を救ったというお膳立てはどうかとおもうがーーーー
大統領秘書と実習生のエピソードでやや救われたかな
ケネディー大統領といえばあの忌まわしい平和維持部隊、ベトナム戦争、キューバ侵攻
そして暗殺というイメージが浮かぶ。さらに、大統領就任演説では恐ろしいことばを叫んだ。「国家が国民のために何をしてくれるかではなく、国民が国家のためにができるかを問うべき」とーーーこわいなーーー
いま、核弾頭の配備数、アメリカ7650 ロシア4850
人類の頭上にはこれだけの核兵器がつる下がっている。人類の危機はいまそこにある。
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by daisukepro | 2004-12-18 22:12 | 演劇