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1995年から23年間で7268億8645万円。受け取った政党は40党。


グラフ:1995~2017年で各党が受け取った政党助成金額(億円)

 年額約320億円の国民の税金を政党が山分けする政党助成金の累計額が、1995年の制度開始から今年までの23年間で7268億8645万円にのぼることが本紙の調べでわかりました。23年間に受け取った政党は40党。うち31党が、政党助成金を手にすると分裂・合併・再分裂を繰り返し解散・消滅しました。何の苦労もせずに国から巨費が転がり込む政党助成金は、政治の腐敗、政党の堕落をもたらしています。

40党受け取り、税金依存

 制度開始から党名を変えず一貫して受け取り続けている自民党の累計額は、全体の半数近くの3395億2715万円に達しました。次いで民進党(16年3月まで民主党)2106億261万円、公明党562億5439万円となっています。

 政党助成金は、政治腐敗の“温床”と批判されてきた企業・団体献金の「廃止」を口実に導入されましたが、自民党は企業・団体献金と政党助成金の“二重取り”を23年間続けています。自民党本部収入に占める政党助成金の割合は、制度開始時の95年は56・7%でしたが、現在は72・3%(2016年)です。

 安倍自公政権は、来年10月から3年かけて、食費や光熱費など日常生活にあてる生活保護の「生活扶助」などを160億円も減らそうとしています。今年自民党が受け取った政党助成金は「生活扶助」削減幅を上回り、制度開始以来最高額の176億296万円です。

 政党助成金は、政党助成法に基づき総務省が毎年予算に計上していますが、政党が同省に受け取りを申請しなければその政党に支給されません。自ら税金で懐を豊かにしながら歯止めない大軍拡を進め、生活保護や医療・介護など社会保障を削減する政党のあり方が問われています。

 安倍政権は22日に閣議決定した18年度予算案に、今年と同じ317億7300万円の政党助成金を計上しています。

共産党、国民の浄財で賄う

 国民1人あたり250円で計算される政党助成金は、政党を支持するかしないか、どの政党を支持するかといった考慮は一切なく、国民が“強制献金”させられるものです。

 日本共産党は、政党助成制度は「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を侵す、憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否。カネの力で政治をゆがめる企業・団体献金も受け取らず、党員が納める党費、「しんぶん赤旗」読者からの購読料、個人からの寄付など、党員と支持者、国民から寄せられる浄財のみですべての活動資金をまかなっています。


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by daisukepro | 2017-12-31 22:46 | 政治

ミシュランラーメンがあっても 美味しいラーメンには恵まれない 元祖竹炭ラーメン故郷に帰る

大晦日、裏庭に初雪が降る。
去る12月28日 元祖竹炭ラーメン「はと車」閉店、長野の故郷(野沢温泉村)に帰る。ちと寂しいな
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by daisukepro | 2017-12-31 13:12 | 食文化

日本IBMの「ロックアウト解雇」事件で、画期的な職場復帰

2017年、労働者と労働組合の粘り強いたたかいが、解雇撤回や労働条件の改善に結実しています。本紙報道で振り返ります。


裁判すべてに勝利

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(写真)日本IBMロックアウト解雇撤回裁判で全面勝訴の垂れ幕を掲げるJMITU組合員と弁護士たち=3月8日、東京地裁前

 突然の解雇通告で労働者を会社から閉め出す日本IBMの「ロックアウト解雇」事件で、画期的な職場復帰が実現しました。解雇撤回裁判は、原告11人中10人が和解し、3人が職場復帰。東京地裁で出された判決はすべて労働者が勝利しました。

残業代の支払いへ

 ヤマト運輸の元運転者が未払い残業代を請求した労働審判は3月、横浜地裁で調停が成立。残業代未払いで労働基準監督署からの是正勧告を受け、ヤマトホールディングスはグループ全体の未払い残業代を調査し、6月に合計で230億円の支払いを発表。日本共産党の田村智子副委員長が国会で追及し、安倍首相に「徹底的に調査しなければいけない」と答弁させました。

妊娠中の勤務に道

 妊娠した客室乗務員に一方的な無給休職を命令した日本航空。当事者と日航キャビンクルーユニオンのたたかいで6月、希望者全員が地上勤務につけるようになりました。

格差の是正へ一歩

 日本郵便の期間雇用社員が正社員との手当や休暇の格差是正を求めた裁判は9月、東京地裁が「まったく支給されないのは不合理」と判決。正社員と期間雇用社員が団結して勝訴につながりました。

無期雇用勝ち取る

 東京大学は12月、非常勤職員を契約5年で雇い止めする規定を廃止。東京大学職員組合と首都圏大学非常勤講師組合が共同で運動を展開しました。全国で無期転換を求める運動が広がっています。



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by daisukepro | 2017-12-31 10:19 | 労働運動

腹心の友」首相の意向はどう働いたのかなど、疑惑の徹底解明は不可欠(赤旗主張)

今年も間もなく幕を閉じますが、年明けから相次いで政治の大問題になってきた大阪の学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げ疑惑、岡山の学校法人「加計学園」の異常な獣医学部開設疑惑はいずれも解明されないまま、年を越します。「森友」疑惑は安倍晋三首相の妻、昭恵氏が名誉校長としてかかわり、「加計」疑惑は首相自身が加計孝太郎理事長と「腹心の友」であることを認めており、いずれも政権中枢部が関与し政治をゆがめたことが疑われた問題です。昭恵氏も加計理事長も国会で証言していません。安倍政権への国民の不信も、そのまま越年します。

7割超す「納得できない」

 「森友学園」や「加計学園」に関わる問題の真相解明について、安倍政権の姿勢を、評価しますか

  「評価する」11%

  「評価しない」74%(「朝日})

 あなたはこれまでの政府の説明に納得できますか

  「納得できない」

  森友78%、加計69%(「日経」)

 年末に発表された各新聞やテレビの世論調査の一部です。

 「森友」疑惑では、格安で手に入れた国有地に小学校を建設していた学園の計画は中止になり、籠池泰典前理事長らは補助金をだまし取った疑いなどで起訴されています。しかし財務省や国土交通省が関与した、破格の安値で国有地を払い下げた疑惑の核心部分は未解明です。財務省理財局長としてかかわった佐川宣寿氏は国税庁長官に栄転して、いまは税金を集める立場です。疑惑の徹底解明抜きに、税務行政でも国民の信頼が得られるはずがありません。

 会計検査院も9億円を超す土地の鑑定価格から8億円以上も値引きされた「根拠を確認できない」と指摘しました。値引きの口実になった建設用地からゴミが出てきたというのも、「森友」側と財務省、国交省の口裏合わせの結果だった疑いが濃くなっています。当時建設予定の小学校の名誉校長だった昭恵氏の関与が疑われているのに、昭恵氏や佐川氏の国会喚問などでの説明抜きに、国民の共有財産、国有地の格安払い下げの疑惑にふたをすることは許されません。

 「加計」疑惑も、安倍首相が推進した「国家戦略特区」の愛媛県今治市に、なぜ半世紀ぶりに獣医学部の新設が認められたのか―。「総理のご意向」などの文書が明らかになったのに、その解明も尽くさないまま、文部科学省が開設を認め、来年4月からの開校に向けて募集が始まっています。今治市から約37億円相当の用地が無償で提供され、施設整備費用のうち96億円を県と市が負担します。開校後は国民の税金から助成金も支給されます。どういう経過で開設が認められたのか、「腹心の友」首相の意向はどう働いたのかなど、疑惑の徹底解明は不可欠です。

首相にも喚問認めさせ

 安倍首相は「森友」疑惑の発覚当時、首相や昭恵氏の関与が明らかになれば「首相も国会議員もやめる」と国会答弁しました。「丁寧に説明する」などと言いながら国会答弁はおざなりで、昭恵氏らの喚問にも応じません。「加計」の獣医学部開設は、決定段階まで知らなかったとまで居直りました。

 国政がゆがめられた疑惑の解明のために、首相に関係者の国会召致を認めさせ、自らの説明責任も果たさせることが必要です。



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by daisukepro | 2017-12-31 10:14 | モリカケ事件

2016年度、私立大学への研究補助事業で、「加計(かけ)学園」だけが、運営する二校が選定

二〇一六年度に国が実施した私立大学への研究補助事業で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」だけが、運営する二校が選定されていたことが分かった。当時は、加計学園に有利な条件で国家戦略特区での獣医学部新設が決まったばかりの時期。所管する文部科学省は「加計学園を優遇したわけではない」と説明するが、識者は疑問を投げかけている。 (中根政人)

 補助事業は、文科省が一六年度に始めた「私立大学研究ブランディング事業」。「独自性の高い研究や事業に取り組む私大」に対して補助金を新たに交付したり、増額したりする。

 一六年度は計百九十八校の応募(応募主体の学校法人数は非公表)があり、同年十一月二十二日に四十校が選定された。この中で、加計学園が運営する岡山理科大(岡山市)が「恐竜研究の国際的な拠点形成」、同じく千葉科学大(千葉県銚子市)が「『大学発ブランド水産種』の生産」などの研究で、それぞれ選ばれた。同じ学校法人から複数選ばれたのはこの二校だけ。

 補助金の交付期間は少なくとも三年間で、中間評価の結果が良ければ最長五年間。一六年度の二校への補助金は計約一億一千六百万円に上った。

 一七年度(百八十八校応募、六十校選定)も、同じ学校法人から二校選ばれたケースが一例あった。加計学園ではない。

 一六年度の補助金交付が決まる約二週間前の一六年十一月九日、国家戦略特区諮問会議は、「広域的に獣医学部のない地域」を条件に獣医学部新設を決定。加計学園と競合する京都産業大(京都市)は関西圏に別の獣医学部があるため不利となり、今年一月に加計学園が事業者に選ばれた。

 補助金交付は学識経験者らの委員会が審査したが、委員名や議事内容は公表されていない。文科省の担当者は、加計学園だけ二校に補助金が決まったことについて「応募は大学単位なので意識していなかった。獣医学部の検討状況はまったく知らなかった」と説明。加計学園は「適切に申請した」とコメントしている。

◆決定理由、公表すべき

<市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聡(だいご・さとし)・東大名誉教授の話> 加計学園が提案していた獣医学部新設の検討状況を知らなかったとの文部科学省の説明は、当時の政府内の作業を考えると通用しない。文科省は補助金の決定理由を大学別に公表すべきだ。

(東京新聞)

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by daisukepro | 2017-12-31 10:09 | モリカケ事件

赤旗主張

2017年は、「核兵器のない世界」をめざす市民社会と運動にとって歴史に刻まれる1年となりました。7月には人類史上初めて核兵器を違法とする核兵器禁止条約が採択され、12月には条約採択に貢献した国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しました。この画期的成果をさらにすすめることが重要になっています。

核保有国への批判相次ぎ

 核保有国が、いっそう厳しい立場に追い詰められた1年でもあります。核保有国は核兵器禁止条約を交渉した国連会議をボイコットしましたが、国連総会では批判の矢面にたたされました。安全保障にとって「核抑止力」が必要だと強調して禁止条約を非難したアメリカなどに対し、非核保有国からは「核抑止のいかなる失敗も、必ず壊滅的な結果になる」「情勢が厳しいからこそ、核軍縮が必要だ」と批判と反論の声が上がりました。

 北朝鮮の核・ミサイル開発も深刻化するもとで、核兵器の危険をリアルにとらえ、根絶する真剣な姿勢が問われています。核保有国には、全ての国に安全を保障する「核兵器のない世界」に向けた決断が迫られています。核保有国がかたくなに禁止条約を拒否している状況を打破しなければ、さらなる前進はありません。

 核兵器禁止条約にはこれまでに56カ国が署名し、4カ国が批准しています。条約発効の基準となる50カ国の批准を早期に達成することが、今後の大きな焦点です。核保有国や同盟国での運動と世論の発展が強く求められます。

 18年には、首脳や閣僚級の政府代表が参加する核軍縮についての国連総会ハイレベル会合が開かれ、20年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備も行われます。非同盟諸国は、核兵器廃絶への手順も含めた包括的な条約も求めています。18年は、今年の歴史的成果を力に、核兵器廃絶をめざすあらゆる流れを大きく進展させ、合流させていくことが不可欠です。

 なかでもカギをにぎるのが被爆国・日本の政府です。日本政府が禁止条約の署名・批准へとすすむならば、国際的に大きな影響を与えることは明らかです。それは核保有国やその同盟国が、禁止条約を真剣に検討する重要な契機にもなるでしょう。

 ところが安倍晋三政権は先の国連総会で核兵器禁止条約に一切触れず、核兵器廃絶を未来永劫(えいごう)に先送りする、これまで以上に核保有国にすりよった決議案を提出しました。これは少なくない非核保有国から批判を浴びる異例の事態となりました。世界の流れに逆行する恥ずべき姿勢を変え、禁止条約に署名・批准する政府を実現することは、世界的な意義があります。

世界的な運動に力尽くし

 禁止条約は、世界の構造変化の力を示しました。いまや大国だけでなく、多数の諸国と市民社会の声によって、世界が動く時代に入りつつあります。

 ノーベル平和賞授賞式やローマ法王と被爆者との謁見(えっけん)など、世界の人々が被爆者に注目し、その訴えに耳を傾けようとしています。

 「ヒバクシャ国際署名」は20年までに世界で数億人を目標にしています。2018年を、この目標達成に向けた世界的な運動が、さらに大きく発展した年とするために、力を尽くしましょう。



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by daisukepro | 2017-12-30 21:44 | 核廃絶

パレスチナ人610人が拘束され、18歳未満の子ども170人

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【カイロ=奥田哲平】エルサレムをイスラエルの首都と認定したトランプ米大統領の宣言から三週間余りで、パレスチナ自治区で抗議デモなどに参加したパレスチナ人六百十人が拘束され、十八歳未満の子ども百七十人が含まれることが分かった。パレスチナのメディアが二十六日に伝えた。

 十一月末時点でイスラエルの刑務所に収監中の子どもは三百十一人だったが、デモ多発後に急増した形だ。パレスチナ赤新月社によると、治安部隊との衝突での負傷者は三千六百人。子どもに限ると、今月五~十八日に三百四十五人が負傷した。パレスチナで子どもの人権保護に取り組む非政府組織(NGO)のハリド・コズマール事務局長は「イスラエル軍の子どもへの対応が以前よりも攻撃的になっている」と指摘する。

 投石する参加者に対して治安部隊がゴム弾や催涙ガスで鎮圧する抗議デモでは従来はゴム弾で下半身を狙っていたが、コズマール氏は「今回は構わず撃っており、顔に当たって失明した子どもがいる」と訴える。

 トルコのエルドアン大統領は今月十三日のイスラム協力機構(OIC)緊急首脳会合で、拘束されたパレスチナ人の少年が二十人のイスラエル兵に囲まれる写真を示し、「占領国家だ」と非難した。コズマール事務局長は「収監されれば学校に行けず、子どもの未来が破壊される」として人権への配慮を求めている。


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by daisukepro | 2017-12-30 19:18 | 中東問題

爆風(31) 

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

爆風(31) 17/12/27

明日へのうたより転載

 10時頃、吹野少佐夫妻がお別れを言いにきた。「一蓮托生、やあ愉快ですよ、奥さん。長友さんにはいろいろと苦労をかけました。またあの世でよろしくお願いします」。夫妻はニッコリ笑って国民学校へ向かった。

 11時、鐘の音を合図に長友一家も正装して家を出た。人々が賑やかに歩いている。死にに行く行列とは思えない。道は淡々として白く、月が人々の影を写す。幼い子どもたちはまるで遠足にでも行くように嬉しそうだ。長友いさ子は細長い影を引きながら、何物かに引き寄せられるように静かに歩いた。 

 突然「長友中尉殿の奥さん」と声がかかる。見るとリュックを背負った松藤軍曹が立っていた。「奥さん私は1人身ですから海を泳いででも、這ってでも内地へ帰ります。何かことづけることはありませんか」。松藤軍曹は佐賀県出身で唄の上手い青年だった。「ありがとう。もし無事に内地へ帰れたら、主人と私の両親に遼陽のこんなところで親子5人立派に玉砕したと伝えてください」。いさ子はそう言って懐に入れていた預金通帳や現金を渡した。「どうかこれを持って一刻も早く脱出してください」。

 学校は煌々と電灯が点き、教室や廊下に沢山の知った顔が並んでいた。浅野中尉の尺八の音が流れている。曲目は「千鳥の曲」、いさ子は心の中で琴をひき合奏した。奥さん方との別れの目礼。髪を切った方、白装束の方、それぞれに国に殉じる覚悟が見える。

 人々は配布された青酸カリのアンプルを1本ずつ手に持つ。最後のシャンパンが抜かれる。「乾杯!」の発声。いさ子は青酸カリのアンプルを歯で噛み切って湯のみの水に移した。主人の長友中尉は羊羹に青酸カリを詰めて子どもらに端から食べるよう教えている。2階では次々に幼な子が死んでいる様子。「待っておれ、すぐ行くぞ」の声が。かと思えば歌い踊るような賑やかな声もする。死を前にした狂気の光景だ。

 まだ火薬には火が点かぬ。そのうち林部隊長と将校たちの間で緊迫したやりとりがあり、突如玉砕は取り止めになった。いさ子は子どもたちの手を握って学校を後にした。あちこちで火の手が上がっており、夜空が赤い。長友家の隣の生駒大尉宅も焼けて無残な姿を晒していた。

 翌日、幼い子どもは「お母ちゃん、面白かったけど火事が怖かったね」と言って元気に遊びに出かけた。いさ子は次々と起こる事態に思考力を失っていた自分を情けなく思った。

 


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by daisukepro | 2017-12-30 18:57 | 爆風

爆風(30)

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

爆風(30) 17/12/26

明日へのうたより転載

 しばらくしたら産室から赤ん坊の泣き声がした。河合夫人が小さな男の子を抱いて出てきた。死の淵で新しい生命が誕生する。西村は神の加護を感じて聖書を取り出しそっと撫でた。男子誕生を祝して陸甲房の袁屯長から卵を籠に一山、韓家墳の緒文光屯長から野菜やまくわ瓜が届いた。

 翌日、佐々木、中村が戻ってきて、東京陵は平常に復したと言う。引き上げることにした。一行の滞在を快く世話してくれた湯さんに厚く礼を述べる。西村たち一行は馬車で、妻と赤ん坊は担架に乗せられて高凹を出発した。農民たちが交代で担架をかついでくれた。

 東京陵の自宅に着いてみると家中が荒らされていた。書籍以外は何も残っていない。書籍の間に何か隠されていると思ったのか、乱雑に放り出されている。とても住める状態ではない。どこがいいか探した末にやっと白百合寮に落ち着くことができた。

 吉林から命がけの逃避行でやっと東京陵に辿り着いた長友安中尉の妻いさ子は25日夕方、玉砕の決意を固めて子どもたちに言い含めた。「玉砕よ、他にないのよ。お父さんも、お母さんも一緒に死ぬんだからね。泣いたら笑われるよ。日本人は日本人らしく死ぬの。玉砕なの」。それは自分自身への言い聞かせでもあった。5歳の子は「お母さん、玉砕ってなあに、慰問演芸なの?」と聞くが答えられない。

 近所の政井中尉の奥さんが子ども2人を連れてきて「いよいよ来るところまで来ましたね」とニッコリ笑って家に上がり込んだ。子ども同士で遊び始めたがやはりしんみりしている。「あらすっかり夕飯を忘れていたわね」と母親たちに寄宿の女子挺身隊員も一緒になって食事の支度を始めた。

 お寿司をつくり、ありったけの缶詰、お菓子も広げて「さあ沢山お食べ」と子どもたちに。日頃は飛び付いて食べるのになかなか手が出ない。そこへ外出していた長友中尉が帰ってきて「とうとう駄目だった。これで内地へ帰る夢も生きる希望もなくなった。一緒に玉砕しよう。おれはもう覚悟はできている。お前はどうか」と聞く。「ええ、私だって生きることは諦めました」。

 長友中尉は大切にしていた双眼鏡を取り出して「この世の見収めだ。よく見ておけ」と子どもらに渡す。下の子たちは珍しがって双眼鏡に目を当てたが、13歳になる長女の恵子は手も触れない。何か考え込んでいる様子。いさ子は「恵子ちゃん」と呼んでしっかり抱きしめた。

 


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by daisukepro | 2017-12-30 18:29 | 爆風

こけたレポート40  月は東に、

こけたレポート40

 月は東に、徘徊する範囲は狭くなる。記憶だけが時空を超えて広がる。1945年3月10日、頭上を通過する爆弾の音を聞く、防空豪は焼け落ち、我が家は跡形もなかった。同年8月6日、9日広島、長崎に原爆が投下された。敗戦も知らず。8月14日夜半、熊谷市が爆撃されるのを疎開先の田んぼからみていた。それが最後の空襲であった。あれから70年以上の歳月が流れた。いつまでも消えない記憶だ。(iphone6)



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by daisukepro | 2017-12-30 18:21 | コケタレポート