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なぞの地下帝国

快晴の丘陵にたつと時がうしなわれる。右手につらなる山々、眼下にひろがる桃の畑、そして左手遥かに港がのぞめる。なんて、美しいパノラマだろう。
ここに、コンクリート3階建てのしょうしゃな建物が3棟たっている。全室冷暖房完備、もちろん床暖房付きである。もっともすばらしいのは円形大浴場、180度ガラス張りで浴槽から上記のパノラマがみえるのである。
これだけじゃありません。地底には全長数千メートルにおよぶ通路、世界中へ発信できる通信設備を備えた事務棟があるのです。貯蔵室にはスコッチ、ワインなど世界中の高級酒がたくわえられている。まるで、地下都市のようだ。いったいここはどこでしょう。北朝鮮や中国の話ではありません。もちろん、リゾートやホテルではない。??????????
びっくり仰天、なんと、建物は日本の学生寮なんです。しかも戦前の話です。丘陵は日吉台、そこからみえる山は富士山、港は東京湾です。種を明かしましょう。慶応大学の先駆的教職者は学生のためにこの地をキャンパスに選んだ。現在の日吉キャンパスである。
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「学生寮、キャンパスまではわかるけどーーー地下帝国ってなに? 」「SFの見過ぎじゃないの」なるほど、では、世にもおそろしい話をしましょう。
太平洋戦争末期、慶応大学の学生たちは学徒動員で次々と出陣し、最後は医学部の学生しかのこらくなった。ある日、閑散としたキャンパスを海軍参謀将校が訪れて「国のためだ、軍に協力してれ」といった。
拒否はできるはずもなかった。その日、無条件で、日吉キャンパスは海軍に接収された。
地下壕の工事は超突貫でおこなわれ、拉致された大量の朝鮮人が強制的に労働に従事ささせられた。工法は最高の技術がつかわれ、今日にいたるまで地下都市は堅牢である。
最初、連合艦隊司令部、次に大本営海軍司令部が移転した。
そこから、最初の神風特攻隊、戦艦大和の出撃命令が発信された。学生寮は将校クラブハウスとなった。高級将校はそこで高級ウイスキーをのみ疲れをいやした。

神奈川/慶応大学日吉キャンパスは東横線日吉駅から徒歩1分である。地下帝国の見学には案内と事前の許可が必要、地下壕入り口の竪坑や戦前の建造物は現存している。並木の坂道を登るとだれでも特別な感慨をおぼえるだろう。
                                                メリークリスマス   おてごろ観光協会
by daisukepro | 2004-12-24 08:53 | 観光


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