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イラク戦争「兵士たちを擁護し、彼らを家に帰せ」


死者60人、負傷150人に イラク北部の自爆テロ
 【カイロ5日共同】イラク駐留米軍は4日、イラク北部のクルド人自治区アルビルで同日起きた自爆テロでの死者は約60人、負傷者は150人になったと発表したとBBCなどが伝えた。自爆テロはイラク警察のリクルートセンターで爆発した。
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 この事件では「アンサール・スンナ軍」を名乗るグループがウェブサイト上でテロ実行を認める声明を出している。
ベスト・セラー『民衆のアメリカ史』の著者、ハワード・ジンがヘラルド紙に寄稿した論文を紹介します。
自衛隊の兵士たちを家に帰せ。
            
「われらが兵士たちを擁護し、彼らを家に帰せ」     ハワード・ジン                                                                2005年1月22日 翻訳・千早/TUP 

『私たちは、イラクから私たちの軍を引き揚げさせなければいけない。それも早ければ早いほどいい。理由は簡単だ——イラクに私たちがいることがアメリカ人にとってとんだ災難であり、イラクの人々にとってはもっと大きな災難でしかないからだ。
 ワシントンのお偉方の多くが言明する「イラクを侵略するのは間違いだったが、われわれがあそこに留まることは正しい」というのは奇妙な論理だ。最近、ニューヨーク・タイムズの社説は現状を正確に要約していた。
 「アメリカの侵略開始から21ヶ月ほどたち、合州国の軍隊は、予見し得る将来に決定的な成功を収められるというなんらの明確な見込みもなく、拡大する一方と見られる反乱軍と、実質的にただ一人で闘っている」
 だが、とてつもなく不合理な結論として、
 「他国が自主的に名乗りを上げずにいる以上、唯一の答は米兵の増強と見られる。それも現在計画されている春までにとどまらず……兵力は新兵補充の強化によって拡大されることを必要としている」
と述べた。この論理には欠陥がある。「この侵略において、私たちは世界の中で孤立している。反乱軍は拡大の一途だ。成功の見込みは全くない。だからもっと兵士を送ろう」って? 「狂信」を定義すると、こんなぐあいだ——「方向を間違えたとわかったら、速度を倍加すればいい」。
 これらすべての中には「軍の勝利は、成功を作り出す」という、検証されていない前提がある。
 莫大な兵器を所持するアメリカは、多分最終的にイラクのレジスタンスを壊滅するかもしれない。でも代価は膨大だ。すでに何万、いや何十万人もが命を失っている(もし全人類が「生きる権利」を平等に持っていると信じるなら、「彼らの」犠牲者と「我々の」犠牲者を区別してはならない)。それは「成功」だろうか?
 1967年に、私たちが今耳にしているのと同じ議論がベトナムからの撤退に関して行われていた。米国は、その後6年も兵を引き揚げなかった。その間、戦争は少なくとも100万ものベトナム人と、3万ほどの米軍人を殺したのだ。
 「私たちはイラクにとどまらなければならない。そうすれば、あの国に安定と民主主義をもたらすことができる」と、何度もくり返し言われている。だが、もうすぐ2年になろうという侵略と占領のあと、認識できる民主主義の名に値するものなどはまるで見当たらず、私たちがあの国にもたらしたものは混乱と、暴力と、死だけだということは明白ではないのだろうか?
 街を破壊し、爆弾を落とし、人々を自分の家から追い出すことで民主主義が
育まれるとでも言うのか? 私たちがいなくなったらどうなるかは、定かではない。しかし、私たちがいるが故の結果については疑問の余地もなく確かである——両方の側の死者が増えるだけだ。
 イラク市民の死亡者数は、殊に衝撃的である。英国の医学雑誌ランセットは、この戦争の結果10万人の市民が死に、その多くは子供だったと報告している。アメリカ側の犠牲者数には1350人以上の死者と、何千もの障害を負わされた兵士——手足を失った者や視覚を失った者——が含まれている。加えて、何万人もが(戦争の)後遺症として心理的な損傷にさいなまれている。
 被占領者たちを助けるフリをしただけの「帝国の占領」という歴史から、私たちは何も学ばなかったのだろうか?
 「偉大な帝国」の最新版である米国は、私たち自身の過去を含めて歴史を忘れ、多分これまでで一番ひどく自分自身を欺いているのだ。その私たちの歴史とは、50年に及ぶフィリピンの占領、ハイチの長期的占領(1915年〜1934年)、またドミニカ共和国の(1916年〜1924年)。そして東南アジアにおける軍事介入やニカラグア、エル・サルバドルとグアテマラでくり返された介入だ。
 私たちの軍隊がイラクにいることは、私たちをより安全にするのではなく、より危険にしている。中東の人々を怒らせ、それによってテロの危険を拡大させている。ブッシュ大統領が主張した「ここで闘うより、向こうで闘う」どころかこの占領は、激怒した侵入者たちがここアメリカで私たちを攻撃する可能性を増大させているのだ。
 撤退にあたり、スンニ、シーアとクルドの間の調停役となる、主にアラブからの国際的な交渉チームを組織させ、それぞれのグループにある程度の自治を持たせる連邦主義を達成すれば、平和と安定の可能性を改善することができるだろう。サダム・フセインと米国占領軍の双方から解放されたイラクの人々の、「自分たちの未来を築いていく能力」を決して過小評価すべきではない。
 しかし、まず第一歩は「サポートする(支援、擁護する)」という言葉が持つ本当の意味で兵士たちを支えること——彼らの命を、四肢を守り、そして正気でいられるように保護するのだ。彼らを家に帰すことによって』
 
by daisukepro | 2005-05-05 10:30 | イラク戦争


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