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続責任ある自由

大手新聞の元編集委員の見識ある発言を紹介しよう。読売新聞社ではありません。
長いので数回に分けてお伝えします。原文は匿名ではありませんが、「発見の同好会」として配慮してあります。

「私は昨年5月に新聞社を退社するまで社会部記者、社会部デスク、編集委員として過ごした。新聞で半生を過ごした私は、新聞に生き残ってほしいと願っている。こう言わねばならぬほど新聞の危機は深い。手をこまねいて衰退の進行を許せば、多くの読者に見放される時期は遠くないのでないかと危惧している。
 新聞は今、読者と権力の両側から批判を受けている。私は読者からの批判に危機感を覚えるが、新聞経営者は権力や企業からの批判に神経を尖らせがちだ。個別配達制度、再販制度が大発行部数を支えており、読者の不満を余り気に留めていないように見える。読者に伝えるべきニュースを新聞がきちんと伝えてきたと胸を張って言えないのはひどく残念なことである。本稿は自省を込めた体験的新聞批判としてお読み頂ければと思う。

■横並び、権力依存
 新聞に対する批判は多岐にわたるが、(1)横並びの洪水報道、(2)官・権力依存報道? の2つに大別できる。この2点は相互に絡み合っている。
 洪水のごとき横並びの大報道は過去から現在まで絶えることなく続いている。ここ数年だけでも、野村サッチー脱税、辻元清美・元衆議院議員の秘書給与詐欺事件、そして今は三菱自動車が欠陥車問題で集中砲火を浴びている。いずれも警察や検察の強制捜査の対象になったケースである。
 社会部記者時代、「水に落ちた犬は叩くんだ」とはっきり口にした上司のデスクがいたが、警察や検察の発表やリークに依拠して書いているのだから、という安心感に支えられている。いわゆる「権力依存報道」である。
 警察や検察に逮捕されると安易に「犯人」扱いをしてしまう。逮捕されたら裁判を待たずに社会的に葬られてしまうのである。
 こうした報道姿勢は人権侵害を引き起こす。松本サリン事件がその代表的な例だし、仙台北陵クリニック事件では仙台弁護士会が昨年11月、朝日、毎日、読売、河北新報の4社に人権侵害にあたる報道があったとして勧告書を送っている。宮城県警に逮捕された容疑者を頭から犯人扱いした記事への警鐘である。「報道被害」という報道関係者には至って不名誉な言葉まで生まれた。
ーーーーーーーーーーーー続く
by daisukepro | 2005-01-05 08:16


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