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靖国参拝と戦陣訓「死して?虜囚の辱めを受けず」


敗戦記念日、8月15日、小泉首相は靖国参拝をしなかったようですね。近隣諸国の感情に配慮したためではない。郵政民営化解散で靖国問題がきっかけになって戦略なき外交が選挙戦の争点になることを避けるためでしょう。

小泉首相は戦没者追悼式に出席、開会の辞を読み上げ戦争反省の談話を発表しました。その価値観はダブルスタンダードどころか得体が知れない、カメレオンのように千変万化する。いろいろ話したいことはありますが、同好会としては「戦陣訓」の要を読んで、餓死した兵士を追悼することにしましょう。

「戦陣訓」は、中国各地でのあまりにも腐敗、残虐化した日本軍の蛮行を知り、陸軍上層部があわてて作成したものです。
作家の島崎藤村が草案をまとめたといわれています。
戦場における皇軍兵士のモラルと具体的実践要項を示したもの。1941(昭和16)年1月に東條陸相はラジオでこれを読み上げ、全軍に示達されました。
特に「生きて虜囚の辱めを受けず」というフレーズは世界でもっとも残酷な軍律という評価を受けて、有名になった。(タイトルはもじりで、間違えたのではありません)
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「戦陣訓」(陸軍省、昭和16年1月)
 始めは序文です。戦陣訓の目的が書かれています。
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        序

 「夫れ戦陣は、大命に基き、皇軍の神髄を発揮し、攻むれば必ず取り、戦へば必ず勝ち、遍く皇道を宣布し、敵をして仰いで御稜威(みいづ)の尊厳を感銘せしむる処なり。されば戦陣に臨む者は、深く皇国の使命を体し、堅く皇軍の道義を持し、皇国の威徳を四海に宣揚せんことを期せざるべからず。
 惟ふに軍人精神の根本義は、畏くも軍人に賜はりたる勅諭に炳乎として明かなり。而して戦闘竝に練習等に関し準拠すべき要綱は、又典令の綱領に教示せられたり。然るに戦陣の環境たる、兎もすれば眼前の事象に促はれて大本(たいほん)を逸し、時に其の行動軍人の本分に戻るが如きことなしとせず。深く慎まざるべけんや。乃ち既往の経験に鑑み、常に戦陣に於て勅諭を仰ぎて之が服行の完璧を期せむが為、具体的行動の憑拠を示し、以て皇軍道義の昂揚を図らんとす。是戦陣訓の本旨とする所なり」
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次に、日本はどういう国かという説明があります。
(日本は天皇の国だったのです)
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第一 皇国

 大日本は皇国なり。万世一系の天皇上に在しまし、肇国の皇謨を紹継して無窮に君臨し給ふ。皇恩万民に遍く、聖徳八紘に光被す。臣民亦忠孝勇武祖孫相承け、皇国の道義を宣揚して天業を翼賛し奉り、君民一体以て克く国運の隆昌を致せり。
 戦陣の将兵、宜しく我が国体の本義を体得し、牢固不抜の信念を堅持し、誓つて皇国守護の大任を完遂せんことを期すべし」
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では次に、天皇の国の軍隊はどういう性格の軍隊だったのでしょうか。(天皇が統括する軍隊なのである。だから皇軍と呼ばれる)
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第二 皇軍

 「軍は天皇統帥の下、神武の精神を体現し、以て皇国の威徳を顕揚し皇運の扶翼に任ず。常に大御心を奉じ、正にして武、武にして仁、克く世界の大和を現(げん)ずるもの是神武の精神なり。武は厳なるべし仁は遍きを要す。苟も皇軍に抗する敵あらば、烈々たる武威を振ひ断乎之を撃砕すべし。仮令峻厳の威克く敵を屈服せしむとも、服するは撃たず従ふは慈しむの徳に欠くるあらば、未だ以て全しとは言ひ難し。武は驕らず仁は飾らず、自ら溢るるを以て尊しとなす。皇軍の本領は恩威並び行はれ、遍く御綾威を仰がしむるに在り」
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では皇軍はどのような死生観を示されたのでしょうか。
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本訓 其の二
第七 生死観
「死生を貫くものは崇高なる献身奉公の精神なり。
 生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし。身心一切の力を尽くし、従容として悠久の大義に生くることを悦びとすべし」

第八 名を惜しむ
「恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」
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この「戦陣訓」を全軍に指令した陸軍大臣は「戦陣訓」を守ったのでしょうか。生きて虜囚となり、敵軍の裁判を受容し罪過の汚名を残し、処刑されたのは、天皇を守るために犠牲になったとでも言うのでしょうか。
傷口に蛆がわいても動くことができず、餓死していった皇軍兵士の無念にせめて思いを馳せ、哀悼の意を捧げよう。
by daisukepro | 2005-08-15 15:03 | 憲法


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