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絶滅のスピードは「過去1000万年の平均より10倍から数百倍に加速している」

きょうの潮流

 かつて読んだ自然科学の教科書に、次のような趣旨の一節がありました。“生態学は100年の歴史しかないが、200周年を祝うことがないと運命づけられている。その時までに自然の生態系がなくなっているだろうから”と▼これを思い出したのも、国連の科学者組織が「自然の喪失はかつてなく、動植物の絶滅は加速している」という報告書を出したからです。公表されたのは政策決定者向け要約で、132カ国が参加した総会で承認されました▼それによると、絶滅のスピードは「過去1000万年の平均より10倍から数百倍に加速している」といいます。人類によって陸地の75%が大きく改変され、湿地の85%が消失、海洋の66%が悪影響を受けていると指摘します▼1500年以降に少なくとも680種の脊椎動物が絶滅し、800万種と推定される動植物のうち、100万種が絶滅の危機にひんしていると。海洋のプラスチック汚染も1980年以降10倍に増え、ウミガメなど267種に影響を与えています。人類が知らずに消えていく動植物もあるでしょう▼人は自然の恵みによって食料や飼料、燃料、薬などを得ており、果物や作物の多くは動物の受粉に依存しています。海洋や陸の生態系は二酸化炭素を吸収する役割を果たしています▼「経済、生計、食料安全保障、健康、生活の質を支える真の基盤を私たちがむしばんでいる」と科学者組織の議長。報告書はこう結論づけています。「経済や社会、政治などにわたって変革が必要だ」


by daisukepro | 2019-05-10 10:30 | 潮流(赤旗)


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