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暴徒、土民、不逞(ふてい)鮮人

きょうの潮流

 暴徒、土民、不逞(ふてい)鮮人。「あらゆる戦慄(せんりつ)すべき文字を羅列して」伝えてきたことが、潜在意識となって関東大震災における朝鮮人虐殺を招いた―。当時のプロレタリア作家が記しています▼帝国日本に抵抗する野蛮でけしからん奴(やつ)らとあおりたてる新聞。「朝鮮人は、何らの考慮のないジャーナリズムの犠牲となって、日本人の日常の意識の中に、黒き恐怖の幻影となって刻みつけられている」(『婦人公論』1923年11・12月合併号)▼戦前の朝鮮人蔑視や偏見報道は、侵略と植民地支配をひろげる国家権力と一体でした。いま、それをほうふつさせる事態が起きています。「韓国なんて要らない」などと題する特集を組んだ週刊誌のように「嫌韓」が垂れ流されています▼作家の柳美里さんは「欲情というのは下に下に流れるものだけれど、今の『週刊ポスト』の誌面は人の劣情のみを相手にしている。あふれたトイレの臭いがする」と批判。TBS報道特集の金平茂紀キャスターも、憎しみをあおって売り上げや視聴率を上げるのは恥ずべき行為と断じました▼過熱するヘイト発言にあらがう人びとの目は、あくまで強硬で見下した態度をとりつづける安倍政権にも向けられています。菅官房長官はテレビで「すべて韓国に責任がある」と▼本紙は日本が軍靴で踏みこんだ歴史と実態を振り返るシリーズを始めました。アジアと手を携えていくうえで最も肝心な問題。被害の痛みと反省が抜け落ちたメディアの姿勢もまた、政権に通じています。


by daisukepro | 2019-09-10 09:50 | 人権


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