人気ブログランキング | 話題のタグを見る

総選挙とイラク新政府の成立

3月、自衛隊のイラク撤を認める代わりにアメリカは治安部隊派遣を要求しているという情報が流れる中、プレスセンタービルにでかけた。隣国のイランは核問題で国連付託が議決されようとしている。日比谷公園を通り抜ける。寒風に噴水が吹き流され、びしょ濡れになった。イラクの人々はフセインの圧政とアメリカの暴虐に苦しみ、8年間も戦渦にさらされている。苦難の道を今生きている。イラクの情勢を出来るだけ知りたい。
総選挙とイラク新政府の成立_c0013092_1624561.jpg「総選挙とイラク新政府の成立」と題する大野元裕さんの報告はシンプルにまとめられ、戦後の政治プロセスを知る上で勉強になった。大野さんはイラクに戦災孤児院を建てるために2000万円の募金を行い、目的を達成して、現在孤児院を建設中と報告、お礼を述べた。
昨年12月15日に行われた国民議会選挙は275議席、各県枠230、全国45で争われた。投票率は78%、米軍の徹底した地域制圧によってテロ勢力の抵抗は面や線にならず、スンニ派が選挙に参加したため、国民の多数が投票した。投票は登録制度で行われたため、高い投票率は登録者数の割合であるが、選挙は一応成功したと云える。結果は128議席を獲得した統一イラク同盟が第一党になった。クルド連合が53議席で第二党に、連立政権のキャスティングボードを握った。どの党派も米軍と外国軍の撤退では一致している。過激派のサドル支持勢力は統一イラク同盟に加わり政権に入った。人口比と得票の分布ではスンニ派が議席を大幅に後退させていることが利益配分をめぐって不満がのこるだろう。政党の異議申立て期間が2月3日に終わり、独立選挙委員会の審議を経て公式な選挙結果が発表される。選挙の不正を訴える数万人規模のデモが行われたが、大勢に変化はないと思われる。発表後15日以内に議会が招集され、その後30日以内に大統領評議会を選出、15日以内に新大統領、首相を任命、その後30日以内に組閣、新内閣を承認、憲法修正を審議という政治日程が行われることになる。3月下旬には組閣が終わる見込みである。
宗派、民族を問う選挙になったため課題は先送りされたとも云える。しかし、大野さんは内戦になる可能性は低いと見ている。これまでアメリカ軍は治安最優先で破壊一辺倒であったが、ここにきて占領政策を転換、治安と復興、政治の課題を視野に入れるようになった。しかし、現実には米軍とイラク軍の一緒の基地では、まずイラク軍との間に塀をつくるなど米軍はイラク人を信頼していない。これらの政治日程が順調にすすめば、イラク人はアメリカとテロリストに破壊されつくされた日常生活を取り戻すためにイラク復興に取り組むことになる。だが、隣国イランの核、石油利権など周辺諸国との課題など政治的不安定要因は山ほど残されている。仕事のできる首相が誕生して、手腕が発揮されることを祈るばかりだ。(写真は2月2日夕方バクダット東部のガソリンスタンド、この自爆テロで16名が死亡した).AP
by daisukepro | 2006-02-04 16:25 | イラク戦争


<< ブダペスト、ホーローコースト記念日 怪奇辻広場、豊島区の「モーモー広場」 >>