人気ブログランキング | 話題のタグを見る

韓国映画「トンマッコルへようこそ」と南北統一

韓国映画「トンマッコルへようこそ」
6月21日、韓国映画「トンマッコルへようこそ」のプレス試写が朝日ホールで開かれた。今秋、日本で初公開される。日活配給韓国映画「トンマッコルへようこそ」と南北統一_c0013092_0183818.jpg客席は超満員、既に前評判の高さがわかる。監督と作曲家の久石護さんが照れて挨拶した。パク・クアンヒョン監督は若く、ハリウッド映画の影響を強く受けたと云われている韓国新世代に属する。パク監督も新人なら、スタッフも新人、この映画にかけた情熱が画面から伝わってくる。韓国映画「トンマッコルへようこそ」と南北統一_c0013092_019226.jpg
分類すれば人情喜劇と云うことになるだろう。韓国が置かれた悲劇的な状況を背景に作劇している。道教的精神から戦争を見つめれば、アメリカ軍の介入が南北統一の障害だ。そのことを映画は伝えているような気がする。共に働き、遊び、食べるとき人間は生きていることを実感して、幸せだ。南も、北も、アメリカもない。喜劇が生まれる。しかし、そこへ価値観の違った軍隊が入ってくる。すると、喜劇はたちまち悲劇となる。戦争をするも、やめるも同じ人間、韓国映画の層の厚さを感じた。劇画タッチで表現されたイノシシ退治のエピソードがこの映画の魅力のひとつになるだろう。
影響を受けたと思われる映画手法がもろに出てくるところもかえって清々しい。何でも血肉にしてやろうとういう気概があふれている。スピルバーグ、ルーカスだって映画を始めた頃は同じだったと思う。特にパク監督はイメージ表現に独創的なこだわりを見せて、近頃流行のCG技法も巧みにこなしている。情熱と才能によって広がりがちなストーリー展開を久石護さんが上手にまとめ、音楽が接着剤になっている。そのため、観客は無理なく映画を楽しむことが出来る。韓流ブームとは味が違う娯楽映画に仕立て上がった。演技陣は臭みが少なく堅実にやっている。とりわけ、北鮮軍の少年兵が印象に残った。宣伝には戦略とタイミングが求められるが、話題作になる可能性は十分だ。期待される新人監督の映画、ヒットさせたいなと思いながら、韓国製と日本製ポスターをじっと見る。
by daisukepro | 2006-06-26 00:22 | 映画


<< テポドン2号の空騒ぎと情報操作 オーストラリア/ハワイ産ヒキガ... >>