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アメリカ映画「ブラックダリア」、恐怖と病根

アメリカ映画「ブラックダリア」

監督:ブライアン・デ・パルマ
1940年のロサンゼルスで胴体を切断された女性の死体が発見された。生前、被害者が黒の衣服を好んで着ていたことから、この事件はブラックダリアと呼ばれた。いまだに迷宮入りのままである。
映画はジェームス・エルロイの原作を脚色している。猟奇趣味のある人には見応えがあるだろう。事件が発生すると人は誰でも、誰が、なぜ、このような残虐な罪を犯したか知りたがる。とても、人間の仕業とは思えないので、おおむね殺人鬼として始末される。
しかし、頻発する日本の猟奇的事件はさらに恐ろしい。捕らえられた加害者はどこにでもいそうな、普通の人のようにみえる。実地検証などに引き回し、憎悪をむき出しにした投げやりな表情を繰り返しTVで流す。世間や社会に対し反抗的な態度をとり、早く俺を殺せという。私には権力やマスコミが好む共通した犯人像を仕立て上げているように思えてならない。
「もしかすると、自分が殺人鬼になったかもしれない」という恐怖と病根は置き去りにされる。
デパルマ監督は映画を猟奇的な関心でまとめている。そのため事件の真相は余計に分からなくなる。エンターテイメントだと云えばそれまでの話だがーーー。
日比谷スカラ座などで全国上映中
by daisukepro | 2006-11-02 12:54 | 映画


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