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ビルマ(ミャンマー)、ヤンゴンの抗議デモ

今週のクイズな人はビルマのヤンゴン(旧ラングーン)からです。
皆さんご存知のように、ジャーナリストの長井さんが兵士に射殺されるショッキングな映像がTV放送された。ビルマ(ミャンマー)、ヤンゴンの抗議デモ_c0013092_23545580.jpg長井は抗議デモをビデオで取材中であった。銃を構えたひとりの兵士が長井さんに近づき、いきなり背後から発砲したのだ。銃弾は背中から腹部を貫通した。その瞬間、長井さんはアスファルトの路面にはじけとんだ。
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一週間前、ラングーンの雨上がりの車道を若い僧侶たちは一列に並んで歩き始めた。オレンジ色のローブをまとい托鉢を抱え、経文を唱えた。僧侶たちの素足は水たまりを踏んで進んだ。街の中心部にさしかかった頃、僧侶たちはこぶしを上げて「ガソリン値上げ反対」と叫んだ。待ち構えていたかのように兵士の一群が僧侶の隊列を襲った。ロープを投げて僧侶のひとりを捕獲すると街路樹に縛り付け暴行を加えた。このニュースはネットを走り、怒りがビルマ全土に伝わった。
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全国各地で僧侶たちの抗議デモは始まり、市民も隊列に加って、規模は次第に大きくなっていった。市民は鎖のように手をつなぎ僧侶たちを守りなが共に行進した。数万人にふくれあがったデモ隊が道一杯に広がった時に、催涙ガス弾が打ち込まれ、いきなり群衆に向かって銃弾が撃ち込まれた。そして、一人の兵士が長井さんを背後から狙い撃ちした。
その数時間後、抗議するために僧院に集まった若い僧侶たちを武装兵士が襲い、一網打尽にトラックで連行していった。僧院にはおびただしい血痕と脱ぎ捨てられたオレンジ色のローブが山積みに残されていた。
1988年、民主化を要求して立ち上がったデモを軍部が鎮圧、3000人の血が流されたことを私は忘れない。軍は政権を掌握した。血塗られた政権である。
その後、1990年に軍事政府は総選挙を行ったが、政府の意に反して、選挙結果はサンスーチー女史率いる国民民主連盟が圧勝した。しかし、軍事政府は民意を無視して政権委譲せず、政権に居座った。さらに、サンスーシー女史を自宅に幽閉して、政治活動の自由を剥奪するという近代ではまれに見る異常な事態が続いている。政府関連企業や建築関係の企業はODA経済援助で潤っているにも拘らず、ビルマ国民の大多数は貧困に苦しんでいる。(日本の援助が最も多く5年間で約2000億円)そして、今回、軍事政府はガソリン料金を一挙に5倍に引き上げることを決めた。これが抗議デモの引き金になったのだ。
写真の若い僧侶たちは無事だろうか。
by daisukepro | 2007-10-01 00:03 | クイズな人


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