続々続「南京事件の真相」
福田首相が訪中します。中国は歓迎ムードのようです。発言はテレビで生中継されるそうで、注目したいものです。 さて、「南京記念館」は正式には「南京大虐殺同胞記念館」と云います。 「旧日本軍の南京での暴行をあばき、人々が歴史の真相を知り、歴史を鑑(かがみ)として平和を愛する」ことを目的として開設されました。 この記念館の開設に反対する日本の人々がいます。「南京大虐殺はなかった。幻だ。記念館の展示はでたらめ、闘った日本軍人をおとしめるものだ」「あの展示を見た日本人がひとつひとつ頭を下げるのを中国人がみたら南京虐殺が本当にあったと思うだろ」と云うのが反対の理由です。また、民間人でなく捕虜を処刑したのだから虐殺ではないと言う人がいますがこれも問題外です。日本の若い世代の将来を損ねないためにも南京事件の真相を直視する事が求められています。 去年の秋、大江健三郎さんは南京大虐殺記念館を初めて訪れました。「館内には展示品がたくさんあるが、大江氏は一つひとつに丁重に頭を下げていた」「頭を下げた回数は全部で100回を超えているだろう」と伝えられています。 苦痛ですが日記の続きを読みましょう。 12月16日付け、現場の下士官の日記です。第13師団砲兵隊第19連隊第8中隊近藤栄四郎伍長の出征日記からの転載です。虐殺現場での目撃ですから凄惨な様子が骨まで伝わってきます。実際に見たものでなければかけない描写で鬼気迫るものがあります。 「午後,南京城の見学の許しが出たので勇躍して行馬で行く、遂に二万の内三分の一、七千人を今日揚子江畔にて銃殺と決し護衛に行く、そして全部処分を終わる、生き残りを銃剣にて刺殺する。月は十四日(十五夜の一日前)、山の端にかかり皎々として青き影のところ、断末魔の苦しみの声は全くいたましさこの上もなし、戦場ならざれば見るを得ざるところなり、九時半頃帰る、一生忘るる事の出来ざる光景であった。」 同じ13連隊の第三大隊の黒須忠信上等兵は陣中日記に次のように記している。「二三日前捕虜せし支那兵の一部五千名を揚子江の沿岸に連れ出し機関銃を以て射殺す、その後銃剣にて思う存分に突き刺す、自分もこの時ばかりと憎き支那兵を三十人も突き刺した事であろう。」「山となっている死人の上をあがって突き刺す気持ちは鬼をもひしがん勇気が出て力一杯に突き刺したり,うーんうーんとうめく支那兵の声、年寄りも居れば子共も居る、一人残らず殺す、刀を借りて首をも切ってみた、こんなことはいままでに中にない珍しい出来事であった。—————帰りしは午後八時となり腕は相当つかれていた」 これだけの人間を銃殺するには小銃ではなく、機関銃による乱射が行われた。それでも、足りず命あるものを銃剣で刺し殺したのだ。 一人の下士官は「いたましさでこころが痛み生涯忘れることができない」と書き記し、もう一人は「こころを鬼のようにして刺し殺し、刀を借りて、首をはねた」と述べている。そして、「支那兵の捕虜の中には年寄りも子どもも居たが一人残らず殺した」というのだから虐殺としか言表わしようがない。 さて、南京入場式の当日はどうだったか、前回に紹介した宮本少尉の日記を見てみよう。 12月17日「本日は一部は南京入場式に参加、大部分は捕虜兵の処分に任ず、小官は8時半出発南京に行軍、午後晴れの南京入場式に参加、荘厳なる史的光景を目の当たりに見る事が出来た。」 もう一度南京入場式の映像を見てください、この入城行進の外では捕虜兵の処分が行われていたのだ。 「夕方漸く帰り直ちに捕虜兵の処分に加わり出発す、二万以上の事とて終いに大失態に会い友軍にも多数死傷者を出してしまった。中隊死者1傷者2に達す」 教授の説明によると大失態とは多数の捕虜兵を取り囲み、四方から銃撃したために味方を撃って死者がでてしまったと云う事らしい。 12月18日「昨夜来の出来事にて暁方漸く寝につく、起床する間もなく昼食をとる様である。午後敵死体の片付けをなす、暗くなるも終わらず、明日又なす事にして引上ぐ、風邪寒し」 処分が夜まで続き、宿舎に着いて寝たのが明け方になった。起きたら昼頃になっていた。午後から死体の処理を始めたが夜になっても終わらず、明日にする事にしたという。遺体は穴を掘って埋めたか、揚子江に流したかとおもわれるが、いずれにしろもの凄い作業であったろう。 翌12月19日、「昨日に引き続き、早朝より死体の処分に従事す、午後四時までかかる。」 結局,2万人近くの遺体の処理は一日では終わらず、翌日の4時までかかったと云う事だ。 しかし、これは宮本中隊から見た出来事であって、処分はその後も続いていたのだ。 5日後12月24日に南京に到着した第16師団小原孝太郎特務兵の日記には次のように記している。「さて、岸壁の下をのぞいたら、そこの波打ち際の浅瀬に、それこそえらいもの凄い光景を見た。何と浜の真砂ではないかとまがうほどの人間が、無数に往生しているのだ。それこそ何百、何千だろう。南京の激戦はここで最後の幕をとじたに違いない。決定的のシーンだ。数えきれない死体が往生している。敵はここまで来て,水と陸より挟み撃ちにあって致命的な打撃をうけたわけなのだ。わが南京陥落はかくてなったわけなのである」と小原特務兵はそれが捕虜兵の処分であったとは知らずに南京陥落の戦場の跡としてその印象を書き残した。教授の話によると、連隊によって程度の差はあるが、日本軍は上陸作戦以来各地で虐殺、略奪、放火、性暴力を繰り返し、1937年12月から38年3月の間に、20万人前後の戦闘員、捕虜、一般市民を殺害したという。日本軍「慰安所」が設置されたのもこの作戦の経緯から生まれたとも言われている。 これ以上の記述を続けると嘔吐しそうになるので連載はここでとどめておくが、私は中国の皆さんにこころからの謝罪をするとともに、戦争をしないという日本憲法の誓いを実現するための活動を命ある限り続けていきたいと思う。
by daisukepro
| 2007-12-27 18:39
| 憲法
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