2018年 05月 19日 ( 8 )

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 爆風(87) 18/05/17 明日へのうたより転載

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

爆風(87) 18/05/17

明日へのうたより転載

 河田哲(南満高専学生)「46年3月、松本百公さんに呼ばれて峨嵋荘というところまで会いに行った。八路軍の急な撤退と国府軍の進攻に挟まれて一夜を日本人宅で過ごした。その時の話し合いで、日本へ帰るより中国に残る方がかえって日本のためになるのではないかということになり残留を決意した」
 玉井林(奉天工大学生)「内地の混然たる状況を想像して、慌てて帰るより内地の安定を待った方が身が処し易いだろうと判断した」

 工場再開を図った国府軍だったが、旧火工廠の工場設備はソ連軍、八路軍により大方接収され主要部分は壊滅状態だった。そのため設備の残存している旧奉天造兵所から東京陵、唐戸屯の各工場へ機器を移転、軍用火薬の製造を開始した。工場の日本人最高責任者は吹野信平少佐で、松野徹は庶務課長、辻薦、和泉正一は工程師、玉井林は工程師補、木山敏隆は技術員などそれぞれ役職を与えられた。

 国府軍はこの工場を「聯合勤務総司令部第九十工廠遼陽分廠」と命名し、黄大佐が廠長として業務を管轄した。幹部の中には女性も含まれ、奉天工大など日本の学校を出た技術者が大半を占めた。このようにして工場生産は再開されたが、設備不足のため本格操業には程遠かった。

 生産準備のために各工場に残存している図面の整理、補充がまず最初の仕事だ。成田正三は中国人の技術者に補充図面の作成を指導したが、製図能力、理解力に欠けほとんど役に立たない。敗戦時に焼却した工場配置図と水道管敷設図を新たに作成する作業も困難をきたした。

 工場によっては全然仕事がなく、自宅待機状態の部署もあった。日本人留用者たちは自宅で豆腐や飴をつくって生活の糧にした。時には太子河に釣り糸を垂れたり、一般引揚後の空き家の残品整理をしたりして日を過ごす。吹野信平をはじめ日本人幹部数人で囲碁を楽しむ姿も見られた。

 仕事らしい仕事としては46年10に設置された研究室がある。国府軍将校の銭が責任者で、日本側は鈴木弓俊が業務を仕切った。中国側から発煙弾の分析法、発煙剤の製造法などについての質問があり、それに丁寧に答えた。ダイナマイトの製造と爆破実験も行われた。

 留用者の子供は30人で、1人は中学生だが他は国民学校の生徒だった。桜ヶ丘国民学校の教師で残留に応じた鈴木久子と岡島悦子が教育に当たった。旧火工廠幹部の伊藤礼三、稲月光、和泉正一、佐野肇、鈴木弓俊らがカバー、勝野六郎が校医として名を連ねた。この桜ヶ丘国民学校は在満教務部の正式承認を得ており、校長・伊藤礼三名で卒業(終業)証書が授与された。

 家族のいる留用者の宿舎は一般引揚者が帰った後の弥生町の官舎を使った。独身者は旧松風寮に中国人独身者とともに住まわされた。食事は金を払って中国人と同じものを食堂で食べた。火工廠幹部将校が住んでいた職員宿舎は中国人高官の住まいとなる。元の吹野信平宅には黄廠長が住んだ。
 
 


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by daisukepro | 2018-05-19 11:00 | 爆風

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 爆風(86) 18/05/15

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

爆風(86) 18/05/15

明日へのうたより転載

 次に国府軍留用者について記す。1946年3月18日に八路軍が火工廠を撤退し、替わりに国府軍が進駐してきた。国府軍も八路軍と同様、火工廠を活用して工場復旧、火薬製造再開を企図していた。そのためには日本人技術者の大量残留、つまり留用が必須条件だ。一方、一般引揚げの動きも本格化する。国府軍は引揚げに協力する見返りとして工場再開に必要な人材の提供を火工廠幹部に迫った。

 居留民会に責任を持つ吹野信平少佐は、全員揃っての引揚げを念願しながらも、引揚げ業務を円滑に進めるため一定の人員の残留を承諾する決断をした。留用者の人選は日本側に任され、吹野は旧職場のそれぞれの担当者に選考を依頼する。留用者の中には個人的判断で残留した人もあったが、大部分は旧上司の依頼・説得によるものであった。一般引揚げの促進というのが説得の材料になった。

 このようにして92人の留用者の名簿がつくられた。その家族163人を加えると総勢255人になる。この名簿の中には吹野信平をはじめ、これまで本稿に登場した火工廠幹部の名前が多く見られる。

 吹野信平、松野徹、勝野六郎、木山敏隆、成田正三、鈴木一郎、井上二郎、鈴木弓俊、伊藤礼三、佐野肇、稲月光、加藤治久、麻殖生成信、井上富由、和泉正一、辻薦、鈴木久子などである。ほとんどが技術者だが、残留者の健康と生命を守るために勝野医師が、残留者の子弟の教育を任務として国民学校教師の鈴木久子も残った。

 残留者の胸中にはそれぞれの複雑な思いが去来した。「関東軍火工廠史」に寄せられた手記の中からその「思い」の一端を抜き出してみよう。

 松野徹「こうして留用されるのも、後に再び進出して来る日本人のために、辛かろうが、我々はその捨て石になろう」。
 勝野六郎「淋しさと悲しさを乗り越え、留用者の生命を何とか病気から守ってあげたい強い医師の願望が私を支えていたのみだった」。
 和泉正一「(工場長の立場として)私の場合は、覚悟せざるを得なかったが、さて9名となるとまるで説得の自信はなかった。しかし私を信じて、思ったより早く残る決意をしてくれた」。

 木山敏隆「ある日浅野中尉がやってきて、国府軍から留用の要請がある、日本人の引揚げ促進のためでもある、君に残ってもらいたいと言われた。納得できかねるのでいろんな質問をして抵抗した。しかしまだ若いし健康だ、君の専門の土木関係は老齢者ばかりだ、何とか残ってくれと頭を下げられてしぶしぶ承諾した」。

 野久尾良雄「終戦の日、敗戦を認めずソ連軍と決戦するべく首山堡に立てこもった青年工員の一人として燃えたことがあった。留用に応じ、いつの日か、祖国のために戦おうとの気持ちがまだあったように思う。独身者としての自由さ、身軽さだったのではないか。そこに目をつけられた気もするが」。
 井上富吉「第二工場には愛着があった。復旧して元通りにしてから帰るのが人情、また班長以上の大部分が残るということで、再三すすめられて残ることに決めた」。
 小田政衛「実は迷っていた。親友と相談したらやはり留用の話がきていて承諾したという。医療の保証が心配だったが、勝野医師が残るというので留用に決めた」。
 
 


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by daisukepro | 2018-05-19 10:56 | 爆風

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 爆風(85) 18/05/14

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

爆風(85) 18/05/14

明日へのうたより転載

 (須本佐和子の手紙の続き)漢口を前にして、美しい揚子江に大阪の街を想像しました。感無量です。革命が成功するのも最早目前に迫っております。でも我々は元々は捕虜なわけですから如何になることやら。しかしどんなことになっても私は日本人として中共軍とともに戦います。立派な薬剤師になって帰ります。日本人男女合計60名余りいますが、まだ外国人には結婚を許しておれません。そのため44歳の方を始めとして全員独身です。

 またこの軍隊は、思想の悪い者、日本でいう右翼主義者は、全部、始めから叩き直されます。昔の日本の軍隊とは、全然違った、厳しい軍隊です。我々も戦います。(中略)今宵も美しい星が輝いております。まだまだ書きたいけれど、これにて止めます。この手紙が無事にお母さまの手に渡るよう神様に祈ってぺんを置きます》。所属「中国人民解放軍第三野戦軍 第四〇軍 衛生部野戦第三所」

 外国人の結婚について、49年当時は許されていなかったようだが、解放後は結婚が奨励されたらしい。須本佐和子の51年10月25日付の手紙によれば、同僚の藤野看護婦が結婚し可愛い坊やの母親になったことが書かれている。須本自身は一度婚約したが、相手が病身のため取り消している。

 52年11月19日発信の須本佐和子の手紙。《ご両親様御許へ お父様お母様からお手紙を頂いてもうすぐ4~5ヶ月になりますが、種々何かと取り紛れ、忙しく今日に至りました。今私、体を少し悪くし、手術を要するので病院に入院しております。別に心配する程の病気でもありません故、気にかけないで下さいませ。病院生活も2ヶ月になりますが、毎日皆様良く面倒を見て下さいますのでいつも感謝しております。

 日本人の多くが結婚生活に入っておりますが、生活に何の心配もなく、毎日幸福な日々を送っており、生まれてくる子供は、国家の子とし、育てられ、1人の子供に何万円と保育費がつき、成長すれば、日本人の育児所、幼稚園、小学校、中学、大学と進学でき、教育程度もうんと高く、子供も希望のある将来を望めます。

 働けば働くほど豊かになる、楽しい生活、私達もこうして入院しておりましても、入院費もいらなければ、治療代もいらず、給料は普通のように頂け、美味しい栄養価のある食事に感謝しながら、休養いたしております。日本の現在の状況と違って働くものの国は、日一日と豊かになり、私達の生活も益々幸福になって行きます。思いついたまま筆をとりました。皆様お元気で。漢口市 61病院にて》。

 須本佐和子はこの手紙の後日本人男性と結婚し、都村佐和子となって1954年7月に帰国している。
 
 


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by daisukepro | 2018-05-19 10:51 | 爆風

撤回・廃案しかない「働き方」改悪法案 来週明けにも衆院通過狙う

2018年5月19日(土)

撤回・廃案しかない「働き方」改悪法案

来週明けにも衆院通過狙う

 安倍内閣は、「働き方改革」一括法案の今国会成立に向けて、来週明けにも衆院通過をねらっています。労働時間データの改ざんや過労自殺隠しで法案提出の資格が問われ、長時間労働や過労死に拍車をかける危険性が明らかになっており、撤回・廃案にする以外にないことが浮き彫りとなっています。


■データの信用“崩壊”

写真

(写真)「働かせ方」大改悪を許さないと抗議する人たち=18日、衆院第2議員会館前

 厚生労働省は、ねつ造が発覚していた労働時間データ問題を精査した結果、全1万1575事業所のうち2割強に当たる2492事業所のデータを削除しました。

 加藤勝信厚労相は、残りのデータも正しいと明言できないなど、調査全体の信用が崩壊しました。

 問題のデータは、「2013年度労働時間等総合実態調査」。裁量労働制の対象拡大、「残業代ゼロ制度」である「高度プロフェッショナル制度」創設にかかわる審議をしてきた労働政策審議会の冒頭、議論の出発点として提出されました。厚労省は審議会に幾度にもわたって同調査を示し、議論が進行。審議の基礎として活用され続けてきたものです。

グラフ:時間外労働の実績

 新旧データを比較すると、一般労働者の時間外労働は、いずれも低下(グラフ)。裁量制適用労働者よりも一般労働者の方が労働時間が長いといってきた安倍首相の言い分が、いよいよ成り立たなくなりました。

 「働き方改革」一括法案は、現在の労働実態を反映しない、虚偽データに基づいて審議・作成されたもので、もはや国会審議にかける資格はありません。

 加えて、野村不動産で違法に裁量労働制を適用された労働者の過労自殺隠しも、いまだに真相が明らかになっていません。

 厚労省東京労働局は昨年12月、野村不動産への「特別指導」を公表。しかし、特別指導のきっかけが、違法適用の結果として起きた過労自殺の労災申請だった疑いが濃厚になっています。

 新宿労働基準監督署は昨年10月、過労自殺を労災認定する方針でしたが、特別指導の公表後に労災認定を発表したことが明らかになりました。

 裁量制ですら違法適用を事前に見抜けず、過労自殺を防止できなかった可能性が高いにもかかわらず、適用業務がさらに不明確な高プロで適切な指導ができるのか、厳しく問われます。

 安倍首相、加藤厚労相は過労自殺を知りながら隠ぺいし、裁量制の違法適用に対する指導の典型としてアピールしようとした疑惑が深まり、法案提出の資格が問われています。

 労政審に審議を差し戻し、議論をし直すことこそ必要です。

■論戦で危険浮き彫り

表:「高プロ」は究極の「働かせ放題」制度

 衆院厚生労働委員会での野党の論戦で、法案の危険な内容が明らかになっています。

■残業代ゼロ制度…長時間労働の歯止めなし

 法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)は、労働時間規制を撤廃します。政府は、企業に「健康管理時間」を把握させ、一定時間を超えれば医師に面談させて健康を守ると説明してきました。「健康管理時間」とは、在社時間と事業場外の労働時間を合わせたものです。

 日本共産党の高橋千鶴子議員は9日の質問で、「企業に『健康管理時間』の把握をさせても、上限時間の義務付けがないから長時間労働を是正できない」と追及しました。

 加藤厚労相は、「(残業相当分が)100時間を超えれば医師が面談する」というだけで、長時間労働に歯止めがないことを否定できませんでした。

 加藤氏は、16日の国民民主党・山井和則議員の質問に、医師の面談後も残業を続けさせ月200時間にのぼっても、「違法性は問えない」と認めました。

 時間規制外しはだれのためなのか―。加藤厚労相は「夜間の賃金が高くなれば(会社から)やめてくれとなるが、(高プロなら)夜型の方も自分にあった時間に働ける」と答弁(9日)。深夜・残業手当を払いたくない使用者の願いに沿ったものであることが分かりました。

■残業の上限規制…150時間の抜け穴

 残業時間の上限規制は単月100時間、平均80時間という「過労死ライン」にお墨付きを与える内容です。

 高橋議員は「上限規制」以内の月75時間残業でも、月をまたいで残業が集中すれば、30日間で150時間残業もあると指摘。加藤厚労相は「そういうことはありえる」と答え、上限規制の「抜け穴」を認めました。

■同一労働同一賃金…法案に一言もなし

 安倍首相が繰り返す「同一労働同一賃金」という言葉は、法案に一言もありません。高橋議員の質問に厚労省は「差別的取り扱い禁止」の対象となるのはパート労働者の1・5%だと答え、正規と非正規の格差是正も名ばかりであることが明らかになりました。

 審議すればするほど法案の危険性や問題点が明らかとなっています。

■広がる共同 阻止必ず

 安倍政権は、「働き方」法案の衆院強行をねらう動きを強めていますが、世論調査でも今国会成立は「必要がない」が68・4%(共同通信)と多数です。

 過労死遺族や弁護士らは「働きすぎで家族を亡くす地獄のような苦しみをだれにもさせたくない」(寺西笑子・全国過労死を考える家族の会代表)として、「高プロ」導入に反対する声明を発表するなど幅広い共同のたたかいが広がっています。

 日本共産党は、野党と共同して法案阻止のたたかいを広げるとともに、政府案への対案として、「『働かせ方』大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために」と題した「労働基準法等改正大綱」を発表しました。

 政府案の高プロは削除し、残業時間の上限は現行の月45時間、年360時間とするなど「8時間働けば普通に暮らせる社会」の実現を打ち出しています。

 日本共産党の志位和夫委員長は17日の記者会見で「人間の命がかかった法案を、その前提が完全に崩壊しているままで強行などとんでもない。法案の撤回と労政審への差し戻しを強く求める」と表明しました。



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by daisukepro | 2018-05-19 10:45 | 労働運動

衆院本会議で与党「TPP11」承認案可決強行 野党、茂木担当相の不信任案提出 安倍暴走政治に対抗 田村氏が反対討論


2018年5月19日(土)

衆院本会議で与党「TPP11」承認案可決強行

野党、茂木担当相の不信任案提出 安倍暴走政治に対抗

田村氏が反対討論

 会期末まで1カ月となった国会で、森友・加計疑惑にフタをしたまま、悪法を力ずくで押し通そうとしている政府・与党の姿勢が際立っています。米国を除く環太平洋連携協定(TPP)加盟11カ国による新協定「TPP11」の承認案が18日の衆院本会議に野党の反対を押し切って緊急上程され、自民党、公明党、維新の会などの賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党などは反対しました。共産党は田村貴昭議員が反対討論に立ちました。


写真

(写真)反対討論に立つ田村貴昭議員=18日、衆院本会議

 「TPP11」は、関税・「非関税障壁」撤廃などで国民生活に大打撃を与えるものです。

 承認案は同日午前の衆院外務委員会で採決されました。

 共産、立民、国民、自由、社民の5野党は同日、TPPについては、国民の根強い反対論も踏まえて十分な議論を要するのに、問題の多い協定の発効を強引に進めようとする茂木敏充TPP担当相にこれ以上、その任を続けさせることは許されないと同担当相不信任決議案を共同で衆院に提出しました。

 与党側は、同日の衆院内閣委員会でのTPP11関連法案の採決や、カジノ実施法案の審議の前提としてのギャンブル依存症対策法案の審議入りまで狙っていましたが、不信任案提出を受け、同委は散会となりました。

 提出後、野党の国対委員長が共同で記者会見し、日本共産党の穀田恵二氏が、充実した審議を求めてきたのに政府・与党が一顧だにしないと批判した上で、今回の不信任案提出について「安倍暴走政治に対し、市民と野党がともに手を取り合って粉砕する足掛かりとしたい」と表明しました。

 立憲民主党の辻元清美氏は「TPPについて十分な説得力のある説明がなかった。大臣として不適格」と指摘。「『働き方改革』やカジノなどの重要法案をどんどん進めようとする安倍政権にストップをかける」と述べました。

 国民民主党の泉健太氏は「国民の声に聞く耳を持たない大臣だ」、自由党の玉城デニー氏は「木で鼻をくくったような答弁しか返ってこない」と批判しました。


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by daisukepro | 2018-05-19 10:41 | TPP11

佐川前長官、不起訴へ 説明責任 必要性さらに


 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざんで、大阪地検特捜部が虚偽公文書作成容疑で告発された佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官らを不起訴とする方針を固めたことが十八日、関係者への取材で分かった。売却価格が八億円余り値引きされた問題の背任容疑についても、財務省近畿財務局担当者らの立件を見送る方向で最高検と協議している。 

 財務省は、改ざん当時理財局長だった佐川氏の追加処分のほか、複数の同局幹部を処分する方向で最終調整に入った。改ざんは理財局内部で行われ、佐川氏らが関与したと認定。減給か戒告の懲戒処分を軸に検討し、一部の幹部についてはより重い停職処分とすることも選択肢とする。省内の文書管理を統括する立場にあった岡本薫明(しげあき)前官房長(現主計局長)の監督責任も明確にする見通しだ。

 不起訴の場合、市民団体などは検察審査会に審査を申し立てるとみられる。

 改ざんは昨年二月下旬~四月、決裁文書十四件で行われた。安倍昭恵首相夫人や複数の政治家についての記述、土地取引を巡る「特例的な内容」や「本件の特殊性」といった文言が削除された。特捜部は佐川氏らへの任意聴取を進めたが、交渉過程や契約内容など根幹部分には大きな変更がなく、文書が虚偽の内容になったとは言えず、立件は困難と判断したもようだ。

 大阪府豊中市の国有地を約八億二千万円値引きして売却した問題では、近畿財務局担当者らへの背任容疑の告発を受けて捜査してきた。値引きの根拠になったのは国有地の地中で見つかったごみの撤去費だった。

 背任罪の立件には、自身や学園のために任務に背く行為をして国に損害を与えたとの立証が必要。特捜部は撤去費の算出方法に明確なルールはなく、担当者らに裁量を逸脱するまでの行為は認められないとみているもようだ。一方、財務省は改ざん経緯を検証した調査結果と合わせ、月内にも処分を公表する方針だ。

 佐川氏は国有地売却を巡る答弁で国会審議を混乱させたなどとして、三月九日に減給20%・三カ月の懲戒処分を受け、同日付で国税庁長官を辞任した。財務省はその後の調査で、佐川氏が理財局のトップとして改ざんを認識していたと判断。「懲戒処分相当」と認定し、支払いを保留している約五千万円の退職金を減額することなどを検討するとみられる。

◆国会で全容解明を

 佐川前国税庁長官が刑事責任を追及されない可能性が高くなった。だが、違法性を問われなくても、公文書改ざんという民主主義の根幹を揺るがした問題に対する佐川氏の責任は残る。三月に行われた証人喚問で佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否を連発したが、その根拠が失われれば、佐川氏の説明責任はますます高まることになる。

 財務省から「(改ざんへの)関与の度合いが高い」とされた佐川氏は三月に辞職した後、衆参両院の証人喚問を含め改ざんの経緯について全く語っていない。佐川氏が不起訴になれば法廷での真相解明ができなくなる。財務省が佐川氏ら関係幹部の処分を行えば、問題がうやむやになりかねない。

 刑事責任を問われなくても、公文書の改ざんは「歴史を変え、政策の検証もできなくなる異常事態」(公文書管理委員会委員の三宅弘弁護士)として、その罪は大きい。佐川氏が「廃棄した」と国会で説明してきた財務省と森友学園の交渉記録の存在も判明し、新たな疑惑も浮上している。

 一方、財務省は現在、改ざん問題の原因を調査中だが、結果の信頼性はあまり期待できない。文書改ざんの後に発覚した福田淳一前次官のセクハラ問題では身内への調査に対して甘い姿勢を露呈した。

 納得のいく説明がされない限り、政府への信頼は回復しない。捜査の行方に左右されず、佐川氏に説明責任を果たさせ、森友問題の全容を解明する調査の場を政府や国会で設ける必要がある。 (桐山純平)

(東京新聞)

佐川宣寿前長官

佐川宣寿前長官


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by daisukepro | 2018-05-19 10:35 | モリカケ事件 総理大臣の犯罪 

メディア関係者へのセクハラ 「性的関係強要されそうに」4割 アンケート調査 複数回被害96%

メディア関係者へのセクハラ

「性的関係強要されそうに」4割

アンケート調査 複数回被害96%

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(写真)アンケート結果を報告する山本潤さん(右)と上谷さくら弁護士=17日、東京都内

 性暴力被害当事者と報道関係者らで構成する「性暴力と報道対話の会」の山本潤発起人らは17日、前財務事務次官による記者へのセクハラ問題を受け、メディア関係者に行った被害アンケートの結果を発表しました。20代~60代の107人(うち女性が103人)の回答者のうち「性的な関係(性行為)を無理やり持たされた」が8人、「性的な関係を強要されそうになった」は39人で深刻な被害の一端が明らかになりました。

 被害を受けたことがあるのは102人と圧倒的多数。会は「無作為抽出でなく関心のある人が答えている影響もある」としています。被害者は全員女性、加害者の94%は男性でした。

 被害の状況(複数回答)では、性的関係の強要のほか「抱きつかれた」「性的な冗談やからかい」がありました。(グラフ参照)

図

 被害回数は10回以上が50%、2~9回が46%と、96%が複数回の被害を受けています。

 加害者は取材先・取引先が40%に上る一方、上司24%、先輩19%など職場・業界内が多数を占めました。自分よりも社会的な関係や地位など「関係が上」の相手が95%を占めています。

 65%が被害を相談していません。相談できない、したくない理由(複数回答)では、「だから女は面倒だ、などと言われる」「きちんと対応してくれるとは思えなかった」が多数でした。

 会見に同席した上谷さくら弁護士は「セクハラはメディア業界の特殊性もあるが、他の職種でも起きている可能性は大きい。派遣や営業職など女性労働一般の問題として考えていくべきだ」と語りました。



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by daisukepro | 2018-05-19 08:04 | セクハラ パワハラ

森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、政権・与党はきのう、野党に約束していた改ざん前文書の国会提出を23日に先送り

 国会の会期末まで残り1カ月。相次ぐ不祥事の追及から逃げ切りを図り、首相肝いりの法案は数の力で押し通す。終盤国会に臨む安倍政権の戦略が、あからさまになってきた。

 森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、政権・与党はきのう、野党に約束していた改ざん前文書の国会提出を23日に先送りした。文書が膨大で、「非公表部分の黒塗りが間に合わない」として、一方的に前言を翻した。

 これを受け、安倍首相が出席する予算委員会の集中審議は、想定されていた21日から、首相がロシア訪問を終えた後の28日以降にずれこむことになった。

 加計学園の獣医学部新設をめぐる問題でも、野党が求める加計孝太郎理事長や愛媛県の中村時広知事ら関係者の国会招致に応じる姿勢は全くない。

 審議日程が限られる中、真相解明の機会を先延ばしする。国民への説明より、責任回避を優先するかのような政権の対応は不誠実というほかない。

 政権・与党は一方で、首相が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案やカジノを含む統合型リゾート(IR)の実施法案などを、野党の反対を押し切ってでも今国会で成立させる構えで、審議を加速させている。

 きのうは、野党の多くが慎重審議を求める中、米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP11)の承認案を衆院で通過させた。熟議とは程遠いありさまだ。

 国会が閉会すれば、9月の自民党総裁選への準備が本格化する。首相は自らの3選につなげるためにも、重要法案を仕上げて、実績をアピールしたいのだろう。

 だが、そんな首相の「自己都合」で、国民生活に広範な影響を及ぼす法案の審議を拙速に進めることは許されない。

 与党内では、働き方改革法案の衆院厚生労働委員会での採決を、森友文書公表日の23日にぶつける案も検討されているという。メディアや国民の関心を分散させ、森友問題での政権へのダメージを少しでも和らげようという思惑だ。あまりにも姑息(こそく)な考えに唖然(あぜん)とする。

 「うみを出し切る」。首相は一連の不祥事について、国民にそう誓ったはずだ。真相解明が中途半端なまま国会の幕が下りれば、国民の政治不信は深まるばかりだろう。

 強引な国会運営をしても、あと1カ月を乗り切れば何とかなる。首相がそう思っているのだとしたら大間違いだ。


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by daisukepro | 2018-05-19 07:55 | モリカケ事件 総理大臣の犯罪