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カテゴリ:明日へのうたより転載( 3 )

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 朕のため死ねと命「令」昭「和」の世 19/04/21

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

朕のため死ねと命「令」昭「和」の世 19/04/21

明日へのうたより転載

 新元号を歓迎する国民が圧倒的多数だというが、我々戦中世代はそう単純には祝えない。そもそもこのグローバルの時代に、世界に通用しない元号をまことしやかに制定し崇め奉る神経が分からない。時代錯誤ではないか。しかも令和の和は昭和の和に通じる。誰も気にしていないようだがおれには気になる。

 軍歌「海行かば」に「大君の辺にこそ死なめ かへりみはせし」という一節がある。日本の軍隊は玉砕に際して「天皇陛下万歳」と叫んで敵陣に突撃した。もう一つ「暁に祈る」という軍歌を引き合いに出す。「遥かに拝む宮城の空に誓ったこの決意/捧げた生命これまでと月の光で走り書き」。

 天皇は74年前まで己のために国民に死ねと命令する存在だった。命令された国民は「かへりみはせぬ」と満足し「天皇陛下万歳」と叫び「生命を捧げた」のである。朝鮮や台湾を植民地化し、中国東北部に日本の傀儡「満州国」をでっち上げたのも天皇の名のもとに行われた。アジアの近隣諸国からの怨嗟の的になったのも当然と言えば当然の話だ。昭和の和は平和の和などでは絶対にあり得ない。

 おれは今船戸与一著「満州国演義」を読んでるが、その第二巻に満州事変に対する天皇の「御嘉賞の勅語」が紹介されている。要約すると「満州事変が勃発するや、関東軍は自衛の必要上果断神速速やかにこれを制圧、爾来各地の匪賊を掃討しよく警備の任を全うした。チチハル、錦州地方にても勇戦力闘し、皇軍の威武を内外に宣揚せり。朕深くその忠烈を嘉(よみ)す。汝将兵ますます励めよ」となる。

 船戸はこの勅語は天皇の本意ではなく、わが身の暗殺を恐れて軍部の意向を斟酌したものではないかと解釈している。しかしいずれにしてもこの勅語が関東軍による中国侵略に正義のお墨付きを与えたことは事実だ。その結果どうなったのか。日本は戦争の泥沼にはまりこみ、国民は塗炭の苦しみに突き落とされたのではなかったか。朕は軍が担いだ神輿に乗っていただけだ、というような言い訳は通じない。

 ネットの世界では令和の「令」に「ン」をつけて冷和とし、「(世の中)冷たいわー」という言い方が広まっている。アナクロニズムの元号にしがみつき、昭和の時代をもう一度と画策する輩(やから)に政治を任せているわけにはいかない。来る参院選での反自公勢力の大同団結に期待する。

 


by daisukepro | 2019-05-02 10:11 | 明日へのうたより転載

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 立ち上がった技能実習生 19/03/06 明日へのうたより転載

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

立ち上がった技能実習生 19/03/06

明日へのうたより転載

 厚生労働省の外国人雇用状況調査(17年10月現在)によれば日本で働く外国人労働者の国別のトップは中国で37万人(29.1%)、2位がベトナムの24万人(18.8%)である。ちなみに3位以下はフィリピン、ブラジル、オーストラリア・ニュージーランド、ネパール、韓国、ペルーの順だ。

 ドイモイ路線で経済発展中と言われるベトナムだが、都市と農村とか富と貧困とかの格差があるということなのかも知れない。「日本に行けばお金になる」と誘われて、渡航費用を借金で工面して日本に来たがその実態はどうか。3月2日付『京都新聞』が次のような記事を載せている。

 39歳のベトナム人技能実習生(女性)が、最低賃金以下で働かされたとして京都地裁に労働審判を申し立てた。女性は夫と死別後、2人の娘の大学進学費用を作るために「送り出し機関」の紹介で福知山にある縫製会社に技能実習生として雇われた。仕事は単純なミシンがけだがノルマがきつく、監視人から大声でプレッシャーをかけられる。他の8人の実習生とともに二段ベッドの狭い寮に入れられた。

 女性の申し立ては①最低賃金との差額の250万円、②パスポートの取り上げや強制貯金、過労死ラインを超える残業命令などの仕打ちに対する慰謝料110万円の請求という内容だ。「連日の残業で頭痛が続いた」「ひどい仕打ちを受けた。来たことを本当に後悔した」と女性は述懐している。  

 女性の声を聞いて労働審判への申立てを援助したのは、京都で外国人労働者問題を取り上げている個人加盟の労働組合「きょうとユニオン」である。女性は来日後11か月ほどしてユニオンの存在を知り、組合員になった。それを知った会社は組合脱退を求めて脱退届への署名を迫った。同時に法的手段をとることに備えて給与支払明細書や労働条件通知書、残業時間を記した業務日誌も示さなくなった。

 この京都新聞の記事を見る限り明らかな法違反がある。最低賃金法と労働組合法の二つだ。日本国内で人を雇って働かせてたら最低賃金法は守るべきだし、組合脱退を強要するのは労組法7条違反の不当労働行為である。労働審判申立てを受けた京都地裁がどのような判断を示すか注目される。

 本6日付『毎日』万能川柳に「平成の野麦峠ね実習生」という句が入選していた。100年以上前の女工哀史が未だに通用する日本。立ち上がったベトナム人女性の頑張りに期待する。


by daisukepro | 2019-03-16 14:48 | 明日へのうたより転載

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員) 官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ 19/02/06

戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ 19/02/06

明日へのうたより転載

 NHKで安倍首相の記者会見を視聴したことがある。あまりの迫力のなさに愕然とした。記者の質問は新聞記事にすれば一行で済むような紋切り型。答える首相は官僚がつくったであろう原稿を読むだけ。質問者以外は下を向いてノートパソコンのキーを叩いている。空虚な時間の流れだ。

 そんな記者会見の中で、官房長官会見だけは迫力と緊張感に溢れているとのこと。東京新聞の望月衣塑子記者ががんばっているからだ。おれにはこれが普通の記者の姿だと思えるが、今や彼女は突飛な記者らしい。菅義偉官房長官は嫌悪を露わにし、司会の上村秀紀報道室長は「簡潔に」を連呼し質問を妨害する。

 昨年8月、東京新聞政治部・官邸キャップに対し、上村室長名で「質問は正式決定・発表前の内容に言及したもので誠に遺憾である。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請する」旨の抗議書を突きつけた。さらに年末の18年12月28日、今度は内閣記者会宛に同趣旨の申し入れを行っていたというのだ。

 この官房報道室長の「申し入れ」について新聞労連が2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」という南彰執行委員長名の声明を発表した。声明は「官邸の意に沿わない質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません」と強く抗議の意思を示している。

 そもそも官邸が質問内容を「事実誤認」と騒ぎ立て、「正確な事実を踏まえた質問」を要求すること自体がちゃんちゃらおかしい、とおれは思う。辺野古のサンゴ移設問題やその他諸々の嘘を並べ立てる安倍首相はどうなんだ。平気で虚偽・隠蔽された資料を作る官僚機構をまずやり玉にあげたらどうだ。

 「2017年5月17日の記者会見で、『総理のご意向』などと書かれた文部科学省の文書」を「怪文書のようなものだ」と否定した菅官房長官こそ「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為の張本人ではないか。「日本政府の国際的信用を失墜させるものです」と声明は鋭く指摘する。

 新聞労連の声明は最後に「日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸はただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます」と結んでいる。その通りだと思う。

 


by daisukepro | 2019-02-09 20:52 | 明日へのうたより転載