人気ブログランキング |

カテゴリ:潮流(赤旗)( 126 )

きょうの潮流

きょうの潮流

 「情」には、おもに三つの意味があるといいます。「感覚によっておこる心の動き(感情・情動)」「本当のことや本当の姿(実情・情報・情景)」「人情や思いやり(情け)」▼その情を、さまざまに表す作品に通底させた愛知の国際芸術祭が75日間におよんだ会期末をあす迎えます。人の内面に働きかける作品とむきあう静かな空間。それとは対照的な外からの嵐のような騒動は大切なものを奪い、私たちはそれを奪い返しました▼再開された「表現の不自由展・その後」。関心を抱いて見に来たという20代の女性は「歴史を学べ、いろんなことを考える機会になった」。何度も韓国に行きながら、平和の少女像のことは知らなかったといいます▼今回の脅迫や政治による圧力はこうした人たちから知る権利を奪い、情報を遮断することにつながります。抽選や入れ替え制をはじめ制約のもとでの再開は入場者の何倍もの人を落胆させ会場から遠ざけています。何度も抽選に外れたという男性は「これでは不自由のままだ」▼訪れた日、名古屋市内では河村たかし市長が相変わらず一部の作品や主催者を攻撃していました。「陛下への侮辱を許すのか」「天皇御真影を燃やすな」といったプラカードに囲まれながら▼分断や困難に直面する現代社会を象徴するとして「情の時代」をテーマに掲げた芸術祭。いまの日本に横たわるゆがんだ歴史認識、憎しみや差別をあおる勢力をあぶり出すとともに、それに抗し内外で連帯する姿を示した意義は大きい。



by daisukepro | 2019-10-13 14:43 | 潮流(赤旗)

中島敦といえば「山月記」

きょうの潮流

 中島敦といえば「山月記」。下級官吏の地位に満足せず、歴史に残る詩人になろうとして夢破れ、失意の底で虎に化す男の悲劇は、高校の国語の教科書で読んだという人が多いのではないでしょうか▼横浜市の県立神奈川近代文学館では、生誕110年を記念して「中島敦展」が開催されています。少年の頃から文学を志し、持病のぜんそくに苦しみながら妻子を養い、創作を続け、ついに文壇デビューするも10カ月後、33歳で早世。残した二十数編の多くは死後に読まれました▼物語の舞台は古代中国のみならずアッシリア、エジプト、ミクロネシアと世界規模で展開され、自我と生きる意味の模索、幸せとは何かという問いが通底し、人間の数々の善きものを追究する筆致は香気を放ちます▼「巡査の居る風景」には、日本の植民地支配下の朝鮮・京城の陰惨な日常風景が描かれています。教員の父の転勤に伴って11歳から中学卒業までかの地で暮らした少年の目に、民族差別と虐げられた人々の姿は悲しく理不尽なものに映っていました▼32歳で南洋庁国語編集書記としてパラオに赴任した際は、島民の幸福を顧みない日本の施政への不信感を妻への手紙に記しています。そして言論弾圧が進む1942年、絶筆となった随筆「章魚木(たこのき)の下で」で、文学を戦意高揚の道具にすることを批判しました▼教科書に載っていた、たった一つの作品がきっかけで出会った作家の、なんと豊かな思想と人生であることか。国語という教科の大切さを思います。



by daisukepro | 2019-10-12 19:43 | 潮流(赤旗)

停電や断水、飲食の不足や通信障害

きょうの潮流

 お母さんが話しかけても、お父さんはテレビ、息子は音楽、娘はスマホに夢中。よくある家族の日常がある日一変します。突然、電気がなくなり、ガスや水道までも。果たして家族は―▼おととし公開された映画「サバイバルファミリー」です。矢口史靖監督は「だれもが自分の身に降りかかるかもしれないと思ってもらえたら」と話していました。生き抜くためだけの日々。それは今でも現実に起こりうると▼「つらい」「どうしようもない」。千葉県の広い地域でつづいている停電や断水、飲食の不足や通信障害。手だてのなさに住民は悲鳴を上げながら、水や食料を求め、給油にも列をつくっています。時はたっても状況は改善するどころか悪化しているという町も▼各地で道が封鎖され、移動も困難に。屋根が飛ばされ、シートで覆っている家も多い。体調を崩す人が増え、電波が届かずにSOSの声さえ上げられない人もいます▼直接の原因は最強クラスの台風ですが、何度も記録的な雨や強風に襲われ災害が相次ぐなか、もはや想定外では済まされない問題です。東電は見通しの甘さを口にしましたが、日頃から危機管理や国土強じん化をいいながら対応できない政府にも重い責任があります▼原発事故で経営が厳しくなった東電が送電関係の設備投資を抑えたことも原因の一つにあげられています。命綱を意味するライフラインが何日も止まる恐怖。それを現実にしてしまう電力会社や政府に身をゆだねる危うさにもつながっています。



by daisukepro | 2019-09-13 12:33 | 潮流(赤旗)

アメリカや大企業のために税金を払っているのではありません

きょうの潮流

 10月1日からの消費税10%への増税まで1カ月を切りました。生活苦が広がる中、追い打ちをかけるような消費税増税に対する国民の不安が高まっています▼政府によれば、税率8%から2%引き上げに伴う税収は年約5・6兆円。「高齢化社会における社会保障の財源」と説明しますが、消費税導入から30年間、同じ説明を繰り返しています。その間、社会保障分野の切り捨てが続いてきたことを、国民は身をもって体験しています▼一方、右肩上がりが続いているのが軍事費です。来年度の概算要求は5・3兆円以上。安倍政権の下、8年連続で前年度を上回り、民主党政権の最後の軍事費と比較すれば、6千億円以上の増額です▼なぜ、こんなに上がるのか。米国製の高額兵器を大量購入し、とても単年度では支払いきれないため、分割払いにして「ツケ払い」にするためです。過去の兵器購入に伴う借金返済が軍事費の総額を押し上げ、新たな兵器も購入し、さらに借金がかさむ悪循環です▼やがて「軍事費6兆円台」も現実味を帯びてきますが、これにとどまらない危険があります。トランプ米政権は欧州の同盟国に、GDP(国内総生産)2%分の軍事費を要求。これを日本にあてはめれば、約11・3兆円になります。偶然か意図的か、今年度の軍事費との差額約5・1兆円は、消費税増税の税収5・6兆円と重なります▼私たちはアメリカや大企業のために税金を払っているのではありません。もっと怒り、監視の目を強めなければ。



by daisukepro | 2019-09-02 14:10 | 潮流(赤旗)

学ぶことは人間の権利。

きょうの潮流

 来年の大統領選に向けて候補者選びを進める米民主党。「民主的社会主義者」を名乗り、若者から強い支持を得ているバーニー・サンダース上院議員の陣営がツイッターを使った新しいキャンペーンを始めています▼なぜ自分はサンダース氏を応援するのか。その理由を自らの経験に基づいて語り、支持を広げようという試みです。「#Myberniestory」(私のバーニー物語)とハッシュタグをつけて次々と動画などが投稿されています▼「学費のために借りたローンの返済が心配」と語るのはニューヨークの大学生。進学をめぐり親と一番話し合ったのが学費をどう工面するかでした。「学ぶことは人間の権利。だから私は学費無償化を訴えるサンダース氏を応援します」▼国民皆保険の実現、経済格差の解消、人種差別の撤廃、銃規制。支持する理由は人それぞれです。共通しているのは“自分たちの力で政治を変えたい”という熱意です。多くの人が「サンダース氏の政策に疑問や不安があるなら一緒に話し合いましょう」と対話を呼び掛けているのも面白い▼大企業や銀行からの献金ではなく、支持者の小口献金に依拠して活動するのがサンダース陣営の特徴です。草の根の市民が支える陣営だからこそできるキャンペーンといえるでしょう▼国民の分断や対立をあおる大統領のもと時に暗いニュースも目立つ米国。その中でも差別や偏見、一部の富裕層や大企業を優遇する政治を乗り越えようとする人々の奮闘が続いています。


by daisukepro | 2019-08-20 11:00 | 潮流(赤旗)

「君がその道をつくるんだよ」

きょうの潮流

 「君がその道をつくるんだよ」。朝ドラの主人公「なつ」が夫に背中を押され、子どもを産む決心をかためました。アニメーターの仕事を続けながら▼同じ職場の女性が妊娠し、会社から契約社員になることを迫られ退職していました。自分は辞めたくないと悩むなつ。夫は子育てしながら仕事を続け、それが認められれば、ほかの女性にとっても働きやすくなるんだ、と励まします▼事情を聞いた職場の仲間たちも立ち上がり経営者に直談判。なつは社員のままで作画監督という大役にも挑むことに―。じつはこれ、ドラマの舞台とされている当時の東映動画(現・東映アニメーション)で実際にあった話です▼入社時に女性は結婚して子どもができたら退職するとの誓約書を書かされました。しかし、労働組合の要求で撤廃。日本の女性アニメーターの草分けで、なつのモデルといわれる奥山玲子さんは出産後も仕事を続けた先駆けとなりました▼女性差別や出来高払い、組合員の大量解雇…。高畑勲さんや宮崎駿さんらがいた東映動画労組の仲間とともにたたかい続けた奥山さん。本紙日曜版(7月14日号)にもその様子が描かれています。3年前には契約者への労働基準法の完全適用や無期転換制度をかちとりました▼現在の労組を取材した記者は、良い作品づくりと人間らしい働き方を求めた奥山さんたちのたたかいが今に引き継がれているといいます。働きやすい環境をのぞむ声はこれからも。先人が切り開いてきた道をひろげるために。



by daisukepro | 2019-08-19 10:46 | 潮流(赤旗)

東電が第1原発で増え続ける放射能汚染水をためるタンクが3年後に満杯になると公表しました。

きょうの潮流

 ニイニイゼミに交じってミンミンゼミが鳴きだしました。小学校の夏休みの宿題だったか、画用紙にミンミンゼミの水彩画を描いたことを思い出します▼辞書で「宿題」を引くと、家に持ち帰る学習課題のほかに、「後日に解決の残されている問題」(『広辞苑』)とも。8年前に事故を起こした東京電力福島第1原発をめぐる宿題は多く、汚染水問題もその一つ。事故収束を困難にしています▼東電が第1原発で増え続ける放射能汚染水をためるタンクが3年後に満杯になると公表しました。タンクには、高濃度の放射性物質トリチウム(3重水素)などがたまっています。国の委員会は海洋放出などの処分方法を検討しています▼しかし、地元の漁業関係者などは風評被害で漁業が壊滅的な打撃を受けるからと、海洋放出に強く反対。昨夏の公聴会でも、タンクでの長期保管を求める声が上がっていました。東電のタンク計画は2020年末までしかありません。一方で汚染水は毎日170トン増えており、いずれ満杯になるのは誰の目にも明らかでした▼東電は今回、タンク「満杯」の時期明示と合わせ、タンクでの長期保管に難色を示しました。取り出しを計画している溶け落ちた核燃料(デブリ)の保管施設など廃炉作業に必要な施設を設置できないと▼“もう限界、なんとかして”と宿題を投げ出すかのよう。しかし、委員の一人は「地元の人の生活を犠牲にして廃炉をすすめるのは、論理が破たんしている」と。国民的な議論の場が必要な問題です。



by daisukepro | 2019-08-12 21:18 | 潮流(赤旗)

「N家の崩壊」と題した白黒の写真群。

きょうの潮流 「N家の崩壊」と題した白黒の写真群。働き者の漁師だったNさんは、あの日、建物疎開の作業に動員されて被爆。全身にやけどを負いました。写真はその後の家族を追っています▼家計を支えた妻が亡くなり、病苦と極貧の谷間であえぐNさん。日々、飢えの恐怖におびえる子どもたち。やがて子も家を捨て、原爆の後遺症と窮乏のなかで一家は終わっていく。写真家の故・福島菊次郎さんの作品が足を止めます▼展示内容を一新した広島の原爆資料館を先日訪ねました。犠牲になった生徒たちが身に着けていた衣服、遺体の下にあった弁当箱や水筒、焼け焦げた三輪車と丸い頭の骨が残っていた鉄かぶと…。一つ一つの遺品から一人ひとりの苦しみや悲しみが伝わってきます▼被爆の前から後まで。一発の核兵器が人間の営みから何を奪ったのか。立ちすくみ、食い入るように見つめる無言の列が続いていました。吉永小百合さんの声による音声ガイドも、より深く理解する助けに▼外国からの見学者も多く、はじめて原爆の恐ろしさを知り、肌で感じたという人たちも。いろんな言葉で核兵器反対と書かれた感想をみると、世界を結ぶこの館の大切な役割を改めて▼被爆から74年となる6日、広島の松井一実市長は核兵器禁止条約への署名・批准を日本政府に求めました。唯一の戦争被爆国として、被爆者の思いをしっかり受け止めてほしいと。その実現は、あの日の歴史を語り続け、人類の未来につなげようとする資料館の思いでもあります。
by daisukepro | 2019-08-07 10:37 | 潮流(赤旗)

七有八無(潮流)

きょうの潮流 町で見かけた「七有八無」と書かれた貼り紙。幼少期を中国東北部の「満州」で過ごした、なかにし礼さんは終戦の記憶の中にその光景が畳まれています▼7月まで日本は有るが、8月には無い。突然のソ連軍の侵攻に「ああこれか」と。家族で避難した列車が機銃掃射を受け、目の前で頭を撃ち抜かれた軍人。おびただしい死体。死の淵に立たされながら、生きて日本に帰りました▼なかにしさんは戦後、数々のヒット曲を作詞。その後、みずからの戦争体験を小説化し、これを書くために自分は今日まで生きてきたんだという達成感にひたったといいます(『わが人生に悔いなし』)▼共産党の小池晃書記局長との対談ではこんなことも。「戦争という巨大な暴力の前では人間なんて藻屑(もくず)みたいなもの。いま戦争を知らない政治家が危機をあおり、戦争を是とする国論をつくろうとしている。だから戦争に反対するまともな政党を応援したくなる」▼追憶と追悼の8月が、まためぐってきました。まもなく終戦から74年を迎えますが、いまだに安らげない現実も。シベリア抑留者の遺骨を持ち帰ったところ、それが日本人ではなかったという失態は戦争犠牲者にたいする国の無責任な姿をあらわにしました▼「国の命令で戦地に赴き、どんな思いで彼らが死んでいったか」と憤る元抑留者。なかにしさんの父親もソ連軍の使役から戻り、すぐに亡くなりました。あの戦争を語り継ぎ、痛苦の意味を問いつづける。それが平和をつくる道にと願って。
by daisukepro | 2019-08-02 00:17 | 潮流(赤旗)

9議席減で単独過半数を失い、比例票も約240万票減。全有権者に占める絶対得票率は第2次安倍政権以来最低の16%台まで落ち込む

きょうの潮流 長かった梅雨も終わり、各地に夏晴れがひろがりはじめました。日本は四季ではなく五季だという向きもありますが、めぐる季節に物事の移り変わりを感じます▼z。自民党の石崎徹衆院議員から何度も暴行を受けたと秘書が警察に被害届を出しました。前にも女性議員による秘書への暴言や暴行が問題になりましたが、同党のマニュアルには反省の文字がないようです▼もっとも束ねる人からしてそうなのですから、しかたがないか。力強い信任を得た、改憲に向けて議論すべきだという国民の審判は下った。今回の選挙結果をみて、平然と口にする党首で首相の姿をみていると痛感します▼9議席減で単独過半数を失い、比例票も約240万票減。全有権者に占める絶対得票率は第2次安倍政権以来最低の16%台まで落ち込む。自身がくり返し応援に入った1人区の激戦区では軒並み野党統一候補に敗れ、改憲勢力は3分の2を割り込む▼民意を真摯(しんし)に受けとめず、逆さまに描く勝手に各界から批判が上がっています。市民連合の中野晃一さんは「勘違いも甚だしい」。落語の立川談四楼さんも「安倍さんあなた、字が読めないのは知ってたけど算数もからっきしなんだね」▼選挙後の世論調査で首相に力を入れてほしい政策を問えば、40%近くの社会保障に比べて改憲はわずか3%。国民から離れゆく、この党と政権もいつかは。ときが移ろい、曇天が青空に変わるように。
by daisukepro | 2019-07-28 19:52 | 潮流(赤旗)