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<働き方改革の死角>社員は消滅する

 「わたしは、ダニエル・ブレイク」などで二度のカンヌ最高賞を受賞した英国の巨匠ケン・ローチ監督が新作で世界で進む「社員消滅」の現実に警鐘を鳴らしている。八十三歳の監督が、引退を撤回して告発するのは働き手を社員として雇うのではなく、個人事業主に置き換える潮流。雇用システムの世界的な変化の「落とし穴」だ。

 「もう社員は雇わない。個人事業主として契約する」-。十三日に公開した映画「家族を想うとき」はこんなシーンで始まる。

 中年男性がマイホームと家族の幸せを夢見て運送会社の採用面接に行く。「収入増の誘い」に応じた男性だが、個人事業主ならではの落とし穴に気付かず、家族も崩壊の危機に陥る-。

 二〇〇〇年ごろからパートや派遣など非正規社員の増加が問題になってきた。だが、いま企業は雇うことすらやめ社員を個人事業主に置き換え、リスクもコストも全て働き手に押しつけようとしている。日本でもウーバーイーツの配達員や一部の企業で加速する流れだ。カンヌ映画祭での会見でローチ監督は言った。

 「仕事をするのは家族を守るためのはず。仕事によって家族が崩壊するのは根本的に間違っている」(編集委員・久原穏)

◆個人事業主化、日本では政府主導 コストもリスクも押し付け

 ローチ監督の映画の主人公が直面した「個人事業主の落とし穴」はこうだ。

 面接担当者の誘い文句は「働き次第で稼ぎは増え、もうけは全部自分のものだ」。社員なら固定給だが、個人事業主になれば働いただけ収入増にはなる。

 だが、トラックは自前でガソリン代も駐車代も自己負担。運ぶ荷物の個数で報酬は決まるが、ノルマをこなせねば高い罰金。事故に遭っても治療費は自己負担。GPS付き専用端末で監視され、分刻みで追い立てられる。ノルマ達成のため男性は一日十四時間働くはめに。目の届かない長男が非行に走り家族は崩壊寸前に追い込まれる。映画は何人もの労働者の実体験を下敷きにした。

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 映画が描いた働き手の落とし穴は写し絵のように日本でも現実になっている。

 「兄が亡くなったのは長時間労働させた会社の責任だ」。十一月下旬、佐川急便から配送業務を請け負っていて亡くなった大阪市内の個人事業主男性の妹が、死因は過労死として訴えた裁判の初回口頭弁論が大阪地裁で開かれた。

 佐川は「雇用契約はなく、当社に責任はない」と主張した。配送業では社員でなく個人事業主に請け負わせる例が増えている。

 計測器メーカーのタニタは社員に一度退職してもらい、個人事業主として会社と契約を結び直す制度を一七年一月から導入。契約の切り替えは、強制ではなく本人の希望を聞き、社員の約一割にあたる三十六人が応じた。二一年新卒社員の採用からは、制度に賛同するかを問うという。同社は「能力とやる気を高めるため」と説明する。

 だが、日本労働弁護団の嶋崎量(しまさきちから)弁護士は「労働基準法による規制は当事者間で合意しても免れるものではない。違法行為となる可能性は濃厚」と指摘。「一社が法を守らずに利益を追求したら、しわ寄せは同業他社のみならず社会全体を蝕(むしば)む」と懸念する。

 今や世界的に進む個人事業主化の流れだが、日本は政府が旗を振って主導している。安倍政権が進める働き方改革は、柔軟で自由な働き方として個人事業主やフリーランスなどを推奨している。こうした「雇用によらない働き方」を増やす一方、さらにその先を示唆する報告書もまとめた。厚生労働省の懇談会がまとめた「働き方の未来 2035」は「社員ゼロ」の企業社会をこう描く。

 「二〇三五年の企業は、プロジェクトごとに人が入れ替わり、柔軟に企業の内外を移動する。企業組織が人を抱え込む『正社員』のようなスタイルは変化を迫られる」

 そこでは社員(労働者)は消滅、雇用関係を前提とする労働法制は不要となる。経営者らは経済取引の民事ルールを基礎にすればよくなるとまで展望した。

 労働問題に詳しい法政大の上西充子教授はこう警鐘を鳴らす。「歴史を振り返れば、労働法ができたのは、劣悪な労働条件で働かせれば社会の持続可能性が脅かされることが理解されたからだ。今、必要なのは労働法の縛りから経営者を解放することではなく、新たな法的な仕組みを整えることだ」 (編集委員・久原穏)

<ケン・ローチ監督> 1936年、英国生まれの映画監督。労働者階級や貧困、移民などの問題に焦点を当てた作品を数多く発表。2006年、「麦の穂をゆらす風」でカンヌ国際映画祭の最高賞、パルム・ドール賞を受賞。16年には「わたしは、ダニエル・ブレイク」で再び同賞受賞。その後、引退宣言したが、急速に広まる「雇用によらない働き方」に危機感を抱き引退を撤回。

(東京新聞)



# by daisukepro | 2019-12-14 21:48 | 映画

辺野古で海上抗議、土砂投入1年 カヌー約30艇、船やボートも

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部で土砂投入が始まってから1年となった14日、辺野古移設に反対する市民らが埋め立て海域周辺にカヌーや船で繰り出し、抗議活動を展開した。

 抗議には約30艇のカヌーのほか、船やボートも加わった。海上で「全基地撤去」「サンゴを殺すな」などと書かれたプラカードを掲げ「諦めず最後まで頑張ろう」と声を張り上げた。

 参加した宜野座村の屋良節子さん(76)は「移設工事はやるべきではない。こんなきれいな海がなくなると思うと悔しくて仕方がない。絶対に諦めない」と話した。

(共同)


# by daisukepro | 2019-12-14 21:39 | 沖縄

桜を見る会」 首相に直結、数々の違法疑惑

「桜を見る会」 首相に直結、数々の違法疑惑

 野党による首相主催「桜を見る会」疑惑の追及が続いています。公的行事の私物化、国会での虚偽答弁、資料の廃棄・隠ぺいなど、数々の問題が指摘されています。重大なのは、安倍晋三首相に直結する違法行為の疑惑が多数あるということです。

政治資金規正法 公職選挙法

 まず、政治資金規正法違反、公職選挙法違反が問われている問題です。

 政治資金規正法は、政治団体に収入や支出があった場合、政治資金収支報告書への記載を義務付けています。収支があっても報告しなかったら「不記載」で同法違反となります。

 安倍首相の後援会は2013年から毎年、「桜を見る会」の前日に東京都内のホテルで地元支援者らを招いた「前夜祭(夕食会)」を開催しています。

 今年の「前夜祭」について安倍首相は参加者約800人で、会費1人5000円はホテル側が設定したと説明。「ホテルの会場入り口の受付で安倍事務所の職員が集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金したすべての現金をホテル側に渡した」と説明しています。

 しかし、「前夜祭」を主催し、会費を集めてホテル側に渡したのは首相の政治団体。政治資金規正法で規定した収支が発生しますが、後援会を含む安倍首相の関連政治団体すべての政治資金収支報告書にはこの「前夜祭」の記載がないのです。

 野党の調査で、「前夜祭」が開かれたホテルの立食パーティーの会費相場は「1人1万1000円から」となっています。安倍首相のいう「会費5000円」との差額をホテル側が値引きをしていれば、ホテル側から後援会側への「財産上の利益供与」に当たり、政党・政党支部以外への企業献金を禁じた政治資金規正法違反となります。

 公職選挙法との関係では、「前夜祭」で集めた会費と実際かかった経費との不足分を首相側が負担していたら、選挙区内の有権者に対する寄付行為を禁じた同法違反となります。

 同じことは、「桜を見る会」そのものでもいえます。税金を使った公的行事に、安倍首相をはじめ自民党議員らが自らの選挙区の後援会関係者を招待し、もてなしていることが明らかになっており、公選法で禁じる買収にあたるとの指摘もあります。

公文書管理法 財政法

 安倍政権は、野党が要求する「桜を見る会」の招待者名簿などの資料を国会に提出することを拒み、「招待者名簿」など廃棄されたとされる資料のバックアップデータの復元すら拒んでいます。

 公文書管理法はその目的として、「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」を挙げています。安倍政権による資料の廃棄・隠ぺいが、公文書管理法違反に問われる可能性も指摘されています。

 「桜を見る会」は、「功績、功労のある方々を招待して慰労」することを目的として開催されています。

 しかし、実際には安倍首相の地元後援会員が多数招待され参加し、その上、反社会的勢力の参加や悪徳マルチ企業関係者の招待などが明らかになりました。

 「功績、功労者の慰労」という目的を逸脱し、自らの後援会行事として公的行事を私物化していた安倍首相。予算の目的外使用として、財政法違反が問われる可能性もあります。




# by daisukepro | 2019-12-14 17:32 | 桜を見る会

小平市 前川喜平講演会

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# by daisukepro | 2019-12-13 11:45 | 憲法

香港デモに80万人 大規模抗議本格化から半年

香港デモに80万人

大規模抗議本格化から半年

写真

(写真)8日、香港の主要幹線道路を埋めるデモ参加者たち(釘丸晶撮影)

 【香港=釘丸晶】政府への抗議行動が続く香港で8日、主催者発表で80万人(警察発表18万3000人)が参加する大規模デモが行われ、香港島中心部の道路を埋め尽くしました。逃亡犯条例改定案への反対を発端とした政府への抗議行動が本格化してから9日で半年。自由と民主を求める香港市民のたたかいは続いています。

 8日のデモは10日の「世界人権デー」に合わせ、これまで100万人規模のデモを行ってきた民主派団体「民間人権陣線(民陣)」が主催。警察はこの間、民陣のデモ申請を認めてきませんでしたが、約4カ月半ぶりに許可を出しました。デモは平和的に行われ、大きな衝突は起こりませんでした。

 デモ隊は、香港島中心部のビクトリア公園から政府本部のある金鐘(アドミラルティー)を通り、金融街の中環(セントラル)までの約4キロを行進。抗議行動から生まれた歌「香港に栄光あれ」を歌いながら、「(真の普通選挙実現など)五大要求は一つも欠かせない」「警察の暴力を調べ、警察のウソを止めよう」「言論の自由を守れ」などのスローガンを叫びました


# by daisukepro | 2019-12-11 07:34 | 香港市民運動